全体的に丸みを帯びた印象となったホンダの4代目「フィット」
全体的に丸みを帯びた印象となったホンダの4代目「フィット」
 ホンダの屋台骨を支える小型車「フィット」が今年4代目になった。自動車業界は新型コロナによる混乱で、世界的な生産調整や販売減少の大打撃を受けたが、新型フィットは3〜5月に軽く3万台を超える販売を記録。クルマづくりをこれまでの数字至上主義から一転し、ユーザーの使い心地の良さを突き詰めたという。見た目も走りも優しい雰囲気になった。 (ペン&カメラ 田村尚之)

外観「柴犬」

ダッシュボードが下げられた運転席周りは視界が広がった
ダッシュボードが下げられた運転席周りは視界が広がった
 外観では「柴犬」をモチーフにしたという顔つきが、まず目に飛び込んでくる。何となく愛嬌(あいきょう)があり、女性ユーザーに限らずファミリー層や、穏やかなものを好む人たちには受け入れられそう。ボディーサイズや全体的なシルエットは前モデルと大差ないが、サイドやリアビューなど全体的に丸みを帯びている印象を受ける。

 走り味も優しい。ボディーはサスペンションの取り付け部分を中心に強化され、剛性は前モデルから13%強くなったという。そのため、良く動くサスペンションを採用しても走行安定性が高まった。また、路面の凹凸を拾うごつごつした乗り心地を極力排除する調整を施したという。

シートも◎

後席の広さも十分。上級志向リュクスは仕立ても良い
後席の広さも十分。上級志向リュクスは仕立ても良い
 室内はダッシュボードを下げ、水平基調のデザインとしたことで、前方視界がすこぶる良くなった。屋根を支える一番前方のAピラー(柱)を細くしたことが効いて、前方視界は前モデルの69度から90度に拡大。開放感も高まった。シートの出来の良さも特筆したい。運転席を含めた前2席は、従来のコイル式から樹脂製の包み込むようなバネを採用したことで、体がスッポリと収まる感じ。ヘッドレストの配置も良く、ロングドライブでも疲れ知らずだろう。ソファ感覚で作ったという後席の乗り心地も悪くない。

 集音材を従来よりも多用したことで、室内の静粛性は高い。高級車とまではいかないまでも、走行中のノイズはほとんど気にならず、ハイブリッドモデルではエンジンの回転音も耳を澄まさないと分からないほど。二重のドアシールドを採用したことで室内の気密性も高く、ドアは吸い込むように閉まった。

 パワーユニットは、ハイブリッドと1・3リットルの自然吸気エンジン。ハイブリッドは基本的にエンジンで発電しながら電気モーターで走行し、高速域でエンジン駆動となるホンダ独自のもので、きめの細かい調整が施されて本当に滑らか。スーと走り出し、必要にして十分以上の速度に達する。

燃費も良い

SUV調に仕立てたクロスターのリアビュー
SUV調に仕立てたクロスターのリアビュー
 あまりアピールしていないが、燃費も良い。ハイブリッドで田舎道を30キロほど試乗した時の車内データは、アクセルを結構踏み込んでも燃料1リットルあたり25キロ。ダラ〜と走っている時は30キロを超えていた。1・3リットルは高速を含めた約60キロをのんびり走って22キロを記録。条件は良かったが、驚きの数字だ。

 開発方針を変え、心地良さにこだわった新しいフィットはユーザーを優しく包み込む。

 ◆安全装備 視界が広いカメラとソナーセンサーを組み合わせた先進の安全運転支援システム「ホンダセンシング」を全車に標準装備。衝突軽減ブレーキや前後の誤発進抑制機能、渋滞追従機能付きのオートクルーズなどを備える。ファミリーカーで欠かせない装備が満載だ。

 ◆5タイプ 基本装備の「ベーシック」、中心モデルの「ホーム」、スポーツ指向の「ネス」、スポーツタイプ多目的車(SUV)に仕立てた「クロスター」、落ち着いた雰囲気の「リュクス」と名称も分けて個性を際立たせた。価格は155万7600円から253万6300円。