ヤマハ復活へ“調教”仕上がる
2018年WGP開幕特集(3)
41歳まで現役を続ける意向のロッシ。鉄人だ(ヤマハ提供)
41歳まで現役を続ける意向のロッシ。鉄人だ(ヤマハ提供)
 デビューして今年で23年目。グランプリ最年長39歳となるヤマハのバレンティーノ・ロッシが、最高峰クラス8回目、通算10回目のタイトル獲得に挑む。

 「とても満足している。とくにテスト最終日は良い仕事ができた。ロングランでも、リズムもペースも良くて手応えをつかんだ」。マレーシア、タイの合同テストで確実に調子を挙げ、最後のカタールでも総合2番手タイム。決勝を想定したロングランも1分55秒台の好タイムで連続周回し、今季に向けて準備を整えた。

 テストでは今季型「YZR−M1」の調整に多くの時間を割いた。1月のマレーシアで今季用エンジンのスペックをほぼ決め、2月のタイではエンジンと車体のテストに集中。3月のカタールで最終パッケージを確認した。上位陣は大接戦になると踏んでおり、「まだまだやらなくてはいけないことがある」と気持ちを引き締めた。

 昨季はシーズン序盤にランク首位に浮上してチャンピオン争いをリードした。その後、転倒とけがで3レースを落とし、最終的には同5位でシーズンを終えたが、アラフォー世代で若手をしのぐ活躍を示し、世界中のファンから称賛を浴びた。今季は過去最多の全19戦。体力的に厳しいシーズンとなるが、豊富な経験を生かし、長丁場を戦い抜く。

 発奮材料はチームメートだ。自身が昨季1勝に対し、マーベリック・ビニャーレスはスズキから移籍して初年度ながら3勝。後塵(こうじん)を拝した。「いつだってチームメートが最初のライバル。マーベリックの走りがすごく刺激になった」と大きな存在にもなっている。

 最高峰クラス89勝は史上最多。チャンピオンとなった125cc(現モト3)、250cc(現モト2)の数字を含めてグランプリ通算勝利は115勝。122勝の最多記録を持つジャコモ・アゴスチーニにあと「7」に迫っている。現役ライダーにしてレジェンドライダー。鉄人の走りを世界中が見つめている。

ビニャーレス、タイトル戦線へ名乗り

昨季は前半戦で3勝したビニャーレス(ヤマハ提供)
昨季は前半戦で3勝したビニャーレス(ヤマハ提供)
 2年連続の大旋風なるか。ヤマハ移籍2年目となるマーベリック・ビニャーレスがタイトル戦線に再び名乗りを上げる。

 「ヤマハと2年間の契約更新が決定し、とてもうれしい。これから3年間、(モトGPマシンの)『YZR−M1』に乗ることが決まり、落ち着いてレースに集中することができる。今年は昨年以上に素晴らしいシーズンにする」。冬季テスト前にチームと2020年までの延長契約を結んだことを発表。3カ所で実施された合同テストでも常にヤマハ陣営の最多周回数をマークし、意欲的な姿勢を見せた。

 「マシンのフィーリングはまだ100%とは言えないが、かなり良くなってきている。去年ほどではないが、マレーシア、タイ、カタールと実りのあるテストになった」と前向きに振り返った。

 昨季は開幕戦カタールGP、第2戦アルゼンチンGPと2連勝。一躍、シリーズ主役に浮上した。が、最終的にはランク3位に沈んだ。第3戦アメリカズGPで転倒&リタイア。欧州ラウンドに入ってからもタイヤの性能をうまく引き出せず、チャンピオン争いからじりじりと後退した。

 その反省から今年は徹底的に走り込んで不得手な部分を洗い出した。ライディングの持ち味は深いバンク角とコーナリングの鋭さ。まずは2年連続開幕戦Vを果たし、今年こそ波をつかむ。

マレーシア人初のモトGPライダー、シャーリン

マレーシア人初のモトGPライダーとなったシャーリン(ヤマハ・テック3提供)
マレーシア人初のモトGPライダーとなったシャーリン(ヤマハ・テック3提供)
 マレーシア人で初めてモトGPライダーとなった。ハフィス・シャーリン(23)=写真=が2月に入ってヤマハ・テック3入りを急きょ決めた。

 「素晴らしいチャンスをもらった。シーズン開幕に向けてわくわくしている」。持病による体調不良で今季の参戦を取りやめたヨナス・フォルガー(ドイツ)の代役として起用され、途中参加した合同テストでもめきめきとタイムを縮めた。

 昨季はモト2で2&3位と表彰台2回でランク10位。最高峰クラスで全力投球だ。

昨季新人賞ザルコ、飛躍の2年目

 昨季、総合6位でルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したヤマハ・テック3のヨハン・ザルコ(27)=フランス=は冬季テストでもヤマハのファクトリーチームをしのぐ走りを見せた。

 「テストでは本当にたくさんのメニューをこなした。安定したペースをキープできるようになったことが大きい」。最後の走行機会となったカタール合同テストでは初のトップタイムを奪った。

 昨季は2度のポールポジションと3度の表彰台を獲得。ソフト側のタイヤを好んで選び、マシンパフォーマンスを存分に引き出した。2年目も飛躍のシーズンにする。

遠藤智の目

 マレーシア、タイと18年型YZR−M1の“調教”に苦戦していた印象のヤマハだが、最後のテストとなったカタールで、まとめてきた。ファクトリーチームのロッシとビニャーレスにテック3のザルコが加わり、全体のパフォーマンスも上がった。昨年後半はホンダとドゥカティの戦いだったが、今年はヤマハ勢が復活。3強によるし烈な戦いとなりそう。最年長39歳のロッシのタイトル獲得の可能性もある。