ホンダ 自信作「CBR1000RR-R」投入!両クラス獲る
ケーヒン・ホンダ・ドリームSIレーシングが勢ぞろい。伊藤監督は後列右から4人目(いずれも竹内英士撮影)
ケーヒン・ホンダ・ドリームSIレーシングが勢ぞろい。伊藤監督は後列右から4人目(いずれも竹内英士撮影)
 ホンダを代表するライダー伊藤真一(53)がついに「ケーヒン・ホンダ・ドリームSIレーシング」を結成。監督として、清成龍一(37)と渡辺一馬(29)をJSB1000クラスに送り込む。新設されるST1000クラスにはチーム高武RSCと合同で作本輝介(23)を起用。新型の「CBR1000RR−Rファイアブレード」を駆って両クラスのタイトルを狙う。
ケーヒンの3人。(左から)作本、清成、渡辺
ケーヒンの3人。(左から)作本、清成、渡辺
 伊藤は1988年にホンダワークスライダーに抜てきされ、全日本のトップライダーとして活躍。ロードレース世界選手権(WGP)の最高峰500ccで何度もトップ争いを繰り広げた。帰国後ワークスを離れてからもチャンピオンに輝き、鈴鹿8時間耐久ロードレースでも優勝した。最近も鈴鹿8耐に参戦、衰えぬライダーとしての技量が称賛されている。開発能力の高さにも定評があり、現在も開発ライダーを務めるなど、ホンダを代表するライダーとして、誰もが認める唯一無二の存在だ。

 そのスーパースターがついに監督としてデビューする。チームを支援するのは自動車部品メーカー「ケーヒン」、そしてメカニックは小原斉氏が務める。2006〜10年に「ケーヒン・コハラ・レーシング」としてJSB1000を戦い、06年にはチャンピオンを獲得した三者が再度タッグを組む。

 エースライダーには、伊藤監督が「日本で一番の技量を持つ」と認める清成を抜てきした。伊藤同様に全日本から世界へ飛び出し、英国スーパーバイク世界選手権(BSB)で3度のタイトルを得て、スーパーバイク世界選手権(WSB)で活躍、鈴鹿8耐で4勝と、伊藤に並ぶ歴代2位の記録を持つ。11年には伊藤、秋吉耕佑と組んで勝利も挙げている。

 清成は17年に一度、全日本に復帰したものの、19年に再びWSBに参戦。しかし本来の走りには程遠く不振を極め、行き場を失っていた。
 「もう走れないのかと悶々(もんもん)としながらトレーニング用のバイクの整備をしていた時に、伊藤さんからの連絡があり、この誘いに飛びつきました。尊敬する伊藤さん、小原さんとのレースにワクワクしない訳はない。声をかけてくれたことに感謝します」

 今季、ホンダはフルモデルチェンジした新型の「CBR1000RR─R」を投入する。WSBと鈴鹿8耐の勝利を渇望するホンダの自信作だ。ワークス仕様車はWSBチームだけに供給されるが、全日本で使用するマシンもワークスマシンに匹敵するポテンシャルがあると言われている。

 JSBに君臨する中須賀克行(ヤマハ)に対抗できるライダーは清成しかいないと言われてきた。今季、ホンダワークスの高橋巧がWSB参戦を決め、全日本を離れた。その穴を埋める清成の復活に期待が集まる。清成も「このままで終わるつもりは毛頭ない。もちろん、チャンピオンを狙う」と意気込んでいる。
渡辺(右)と語り合う小原メカニック(左)と伊藤監督
渡辺(右)と語り合う小原メカニック(左)と伊藤監督
 今季から新設されたST1000には、チーム高武RSCとのコラボで作本が参戦する。伊藤がホンダライダーのアドバイザーをしていた2013年に全日本デビューし、伊藤が目をかけていた若手だ。昨年は桜井ホンダから伊藤とともに鈴鹿8耐に参戦して10位に入賞した。

 「伊藤さんにはいろいろなことを教えてもらいながら全日本、鈴鹿8耐を戦ってきました。チームに加えてもらえて最高にうれしく心強いです。清成さんはチーム高武の先輩でもあり、渡辺さんも尊敬する先輩。その2人とチームメートとして戦えるので、盗めるものはなんでも盗んで成長したい」と大張り切り。

 メカニックは、チーム高武の柳本真吾氏が務める。宇川徹、加藤大治郎、玉田誠、清成龍一らホンダを代表する逸材を輩出してきた実績を持つベテラン。作本にとって願ってもないサポート体制が整った。

 伊藤は「監督としての参戦は初めてだが、これまでのさまざまな経験を生かして、セッティングなどのアドバイスができたらと思う。力のあるライダーが加わってくれたこと、小原さん、柳本さんら実力あるサポート陣、ホンダのバックアップを受けることができた。出来上がったばかりのチームだが、ホンダ勢のトップ、ワークスになり代わるチームを目指す」と決意している。
 清成のチームメートには、昨年までカワサキで活躍していた渡辺一馬が加わる。伊藤は渡辺の伸びしろを買った。「まだまだ速くなるだろう」と言う。

 「伊藤さんがケーヒン・コハラ・レーシングで走っていた時代は、全日本に参戦したばかりで憧れの存在でした。一緒のチームで走ることができて光栄」と目を輝かせる渡辺はコハラレーシングに11〜16年に所属し、13年にはST600クラスのチャンピオンに輝いた。11〜16年は伊藤がホンダのアドバイザー(12年〜)を務めていた時期とも重なっているだけに、「タイトル獲得も小原さんの支え、伊藤さんのアドバイスのおかげ」と感謝している。

 その後渡辺は、カワサキのエースライダーとして活躍したが、古巣ともいえるチームで成長をアピールしようとしている。

 「チームメートが最大のライバル。清成さんを抜くことがトップを取ることに一番近いことだと思うので、清成さんと切磋琢磨(せっさたくま)して自分を高めていきたい」と気合を込める。
 ◆CBR1000RR−R/SP ファイアブレード ホンダのスーパースポーツモデルで、モトGPマシン「RC211V」の開発に対する思想を継承し2004年に発売された。日本国外モデルには「ファイアブレード」のペットネームが与えられている。サーキットで本領発揮することを目指して開発されたCBRシリーズの最上位モデル。今年フルモデルチェンジされ3月20日より発売。