2003年7月10日掲載
 インディカー第8戦カンザス(6日決勝)での高木虎之介(29)=モーナン=は今季4度目の予選3番手をゲットしながら、決勝では予想外のメカニカルトラブルで苦汁をなめた。カンザスのような気温の高いコンディション下の1・5マイルオーバルコースは、虎之介が乗り込むGフォースシャーシには不利だったが、チームが総力を挙げて見事克服したという収穫はあった。残るは運だけか――。複雑な胸中を虎之介が漏らした。(虎之介=18位リタイア、優勝=ブライアン・ハータ)



■気温30度以上 1・5マイル

 カンザスシティーの一戦は僕ら「パイオニア・モーナン・レーシング」にとって開幕戦ホームステッドの雪辱戦という意味があった。苦戦した気温30度以上の1・5マイルオーバルという同じ舞台だからだ。結果からいうと同じパッケージのチップガナシ、そしてモーナンもレースでは新たなトラブルに直面して優勝戦線から遠ざかったが、スピードの追求という面ではかなりのレベルに達せたと思う。

 僕の予選タイム25秒1542は狙って出したものだ。これまでで最高の出来といっても過言ではない。コースインが1番目だったこともあり、路面はベストコンディションとはいえない状況下で、トップのスコット(ディクソン)から0・0631秒落ち、2番手のトーマス(シェクター)から0・0223秒落ちというのは悪くない。彼らと同じような路面コンディション(10番手スタート)でアタックできていれば、トーマスのタイムを上回ることができた計算だった。

 それにしても3番手から上というのはなかなか難しい。これでもてぎ、テキサス、リッチモンド、カンザスとIRLに転向してから4度目の3位なのだが、まだ煮詰めなければならないことはたくさんある。が、ポールポジションまではあと少し。手が届きそうなところまできたという実感がわいているのはうれしい限りだ。

 予選日の最終プラクティスのグループ分けはリッチモンドと同じ予選出走順。これはプラクティス終了から予選終了までの作業時間をフェアにする措置なので理にかなっている。もっとも僕はクジ引きで1番目だったので1グループ目の出走。でも、セッティングの方向性は決まっていたので中古タイヤでバランスを確認し、ニュータイヤを2セット使ってスコットとトーマスにきん差の3番手に仕上げた。25・1秒台はチップガナシ2人と僕だけ。気温は日陰でも30度以上というコンディションで、開幕で散々だった1・5マイルオーバルでのGフォースのハンディキャップは克服できたという感じだった。

 そして予選のコースイン。計測1周目、2周目とタイムを縮め、25・1452という2日間のベストが出せた。セッティングはまさに狙い通りだ。といいながらもコースにラバーが乗っていない状況で僕がこれだけのタイムが出せたのだから、スコットは25・0秒台、そしてトーマスも……と思っていた。結局この2人には予想通りに敗れたが、チップガナシとのポール争いは本当にハイレベルなものだった。

■アンダーステア&燃圧低下

 レースは日曜日にウオームアップなしでいきなり12時にスタート。サポートレースの影響で路面も変化し、気温も上昇、1スティント目はだれもがセッティングを完全に合わせることができていないようだ。僕もひどいアンダーステア(曲がりづらい状況)に悩まされ、コーナリングスピードが落ちて次々と後続車両に道を譲らなければならなかった。が、ラップタイムはトップグループと遜色(そんしょく)なく、スコットとトーマスも先頭で2台並んで後続車両を抑えるのが精いっぱいという感じだ。僕はその隊列の最後尾P(ポジション)10。アンダーは1回目のピットストップで修正できるだろうし、これまでのレースで問題だったオーバーステアよりははるかにマシだ。

 37ラップ目にイエローコーションとなり、39ラップ目のピットオープンで全車一斉にピットイン。素早くなったピット作業のおかげでブライアン・ハータを抜いてP9でコースに復帰したが、グリーンフラッグになるとアンダーが解消していないのが分かった。幸いトップ集団に引き離されることはなく、後ろから来た(サム)ホーニッシュJrとサイド・バイ・サイドで抜きつ抜かれつを10ラップ以上繰り広げていると、目前で(ダン)ウェルドンとフェリペ(ジャフォーネ)がT2で絡んでクラッシュした。

 フェリペがなかなかマシンから降りてこない。心配しながらイエローコーション解除を待つ。ピットオープンになったら前方のジル(ド・フェラン)がピットインしてP8となり73ラップ目にグリーン。順調にリスタートしたが、急に燃圧が下がってエンジンが息つき始めた。こんな時は燃料を足して急場をしのぐのが一番、すぐにピットインして燃料を満タンにしてタイヤも替えてコース復帰。グリーン中のピットインなのでラップダウン(周回遅れ)したが、イエローのタイミングをうまく利用してリードラップに戻れる可能性は十分にある。まだレースは120ラップ以上も残っているのだ。

 77ラップ目に再びイエローとなったが、もちろん僕はピットインしない。83ラップ目にグリーンとなり後続車両を抑えつつ走っていたら、10ラップもしないうちにまたも燃圧が……。10ラップごとにピットインしながら走り続けるのは、残りが100ラップもあることを考えると現実的ではない。残念ながらリタイアする以外なかった。

 予選では開幕戦の雪辱を果たせたが、レースでは僕と同じ燃圧トラブルで下位に沈んだチップガナシの2台ともども暑いコンディションでの課題を残した。前半8戦を終えると各チームともデータ量が増え、本当に激戦だ。このリポートが出るころ、僕はナッシュビルに移動して合同テストに臨んでいる。夏場はスケジュールも厳しい。フェリペのクラッシュで稼働シャーシがさらに1台減り、モーナンのシャーシローテーションは大変な状況となったが、消耗戦を何とか乗り切るつもりだ。