2003年9月25日掲載
 インディカー第15戦フォンタナ(21日決勝)の高木虎之介(29)=モーナン=は今季最悪の内容に終わった。初日からいま一歩。さらに決勝に施したセッティングは最高気温が37度にも達した酷暑で大外し。序盤に3周遅れとなり、中盤以降の盛り返しも届かず、レースを走りきった中では今季最低の18位に終わった。日中に気温が上昇するこの時期のカリフォルニア特有の天候に敗れたかたちだが、残りは1戦。虎之介はこの苦戦を糧にチーム一丸で最終戦に挑む決意をみなぎらせた。(虎之介=18位、優勝=サム・ホーニッシュJr.)



■弱点出た!!

 9月のこの時期、カリフォルニアは朝晩が涼しく、日中はものすごく蒸し暑い。特に山のすそ野にあるカリフォルニア・スピードウェイ、通称フォンタナは、ビーチ寄りのコスタメサやトーランスと違いその傾向が強い。こんな気候を地元の人たちは「インディアンサマー」という。そして僕のレースは、このインディアンサマーにほんろうされ、今季最悪の内容に終わった。

 予選順のくじ引きは3番手。そのためプラクティスはポイント順の金曜、くじ引き順の土曜とも第1グループからの出走となった。タイムスケジュールは、金曜午前9時から同45分、午後1時30分から2時15分、土曜午前9時から同30分がプラクティスで予選は同11時から。その後、4時45分から5時15分がウオームアップで、日曜の午後0時30分からがレースだ。

 まだ気温が高くない午前中のプラクティス1ではトップのトニー(カナーン)から0・1371秒落ちの32・1609秒でまあまあの滑り出し。しかし、午後のプラクティス2ではレースセッティングが中心だったこともあるが、燃料搭載量が少なくなっても32・3924秒とタイムが落ちた。熱さに弱いGフォースの弱点が出た感じ。Gフォース勢トップのスコット(ディクソン)も同じ傾向だ。それでも何とかトップグループに食い込めるかなぁ〜というフィーリングは得た。

■今季最悪!!

 チームメートのフェリペ(ジャフォーネ)はプラクティス2がトップから1・6344秒遅れの最下位。僕からも1・2918秒も遅く“半べそ”状態。結局、予選日は僕のセッティングをコピーしてプラクティス3で32・0133秒とトップのエリオ(カストロネベス)から0・1811秒落ちまでばん回。僕は違ったセッティングを試して32・1744秒で14番手。朝の涼しい時間だからこれくらいのスピードは出る。予選トップ10、レースで上位、を狙うレースセッティングを詰めていたのでこの辺りは許容範囲だろう。

 が、予選でギア比を読み違え、アタック中にリミッターに当たりタイムロス。データ上では32・0000秒が可能だったが、32・1426秒の11番手に終わった。それでもロスがなければGフォース勢2番手は見えており、ウオームアップでさらにセッティングを詰め、レースでばん回するつもりだった。 

 しかし、ウオームアップは涼しくGフォース向きなのに32・8118秒とタイムが伸びない。

 タイミングが合わずトップグループのドラフティング(前車の真後ろにつけスピードを上げる)も使えず16番手と低迷。トップタイムのケニー(ブラック)からは0・5407秒も遅れた。あまりにスピードが伸びず、オーナーのモーリス(ナン)の意見もあり、レースではスピードを優先してローダウンフォース仕様(空気の流れでマシンを路面に押さえつける力を減らす)でいくことになった。

■スピン寸前

 結果として、この判断は37度という猛暑の中では間違いだった。

 スタート直後のタイヤ内圧が上がりきらない“腕”の領域となる最初の数ラップは順位を上げられても、タイヤ空気圧が安定すると僕のマシンはオーバーステア(曲がり過ぎる状態)がきつくてスピン寸前の状態でまわりのペースについていけず、1回目ピットインまでに早々とラップダウン(周回遅れ)。イエローコーション中の2度目ピットインも僕にはタイミングが悪く、先頭のトーマス(シェクター)にまたもラップダウンされた。

 ラップダウンでの走行だと、チャンプ争いしているドライバーの妨げになるわけにはいかず、進路を譲るのに気を使う。僕のマシンはタービュランス(乱気流)の中ではダウンフォースが足りずにフラフラ状態。2回目のピットイン時にウイングやタイヤの内圧を調整してやっと調子を取り戻し、上位陣と遜色(そんしょく)ないタイムを刻めたが、この時点ですでに3ラップダウン。ランク10位を死守するため少しでも順位を上げようと集中するしかなかった。

 ポジションツリー(順位が表示してある塔)を見ると、Gフォースを使うグレッグ・レイ、チャンプ獲得のためGフォースに替えたジル(ド・フェラン)、そしてフェリペがどんどん順位を下げている。

 問題を抱えているのは僕だけではないのが分かったのが、下位走行中のせめてもの慰めか。終盤にペースが上がった僕はフェリペ、ジルを苦もなく抜けたが、彼らのGフォースはフラフラ。進路を譲ったトーマスやスコットにしても、(サム)ホーニッシュJrやトニーのタービュランスの中ではフラフラなのが手に取るように分かった。気温は37度、苦戦した開幕戦ホームステッドの再現だった。

 結局、14番手から18番手の僕までGフォースが並んだ。序盤のペースがもう少し良かったら8番手の(スコット)シャープらの“1ラップダウン組”に入れたかもしれないが、それをいっても始まらない。ただ、セッティングが外れた――と切り捨てるのではなく、ラップタイムの推移は正確に認識しなければならない。最初はトップグループから2秒近くラップタイムが遅かったが、3、4セット目のタイヤでは悪くないペースだったのだ。今回の大不振で、ここのところダラーラでもGフォースでもスピードが出なかった原因の特定に近づきつつある。最終戦のテキサスは“そこ”に対策を施し、予選スピードは無視しても上位ゴールにチーム一丸となって集中するつもりだ。