2004年4月22日掲載
ドクターストップを振り切って決勝を完走した虎之介(資料)
ドクターストップを振り切って決勝を完走した虎之介(資料)
 日本人ドライバーにとってシリーズのハイライトともいえるもてぎ戦(第3戦インディジャパン、17日)。その初日にクラッシュして体にダメージを負い、いつドクターストップが掛かってもおかしくなかった高木虎之介(30)=モーナン。そんな最悪の状況に陥りながらも、ファンのために強行出場。そして21番グリッドから、緻密(ちみつ)なレース運びで11台抜きの10位フィニッシュを果たした。命を削って地元戦に挑んだ戦士の胸中は――。(虎之介=10位、優勝=ダン・ウエルドン)



■本当に感謝

 とにもかくにも、今回は初日プラクティス中のクラッシュで、ファンの皆さんに、ご心配をおかけしたことに対し、申し訳なく思うとともに、最後まで応援してもらって本当に感謝していることをお伝えしたい。

 実のところを言うと、予選も決勝も、頸椎(けいつい)圧迫骨折の疑いでドクターストップがかかっていたのだが、競技長のブライアン・バーンハートと、IRLドクターのジェフ・ベロウズ、そして、もてぎの川崎嶺夫医師の連携作業のおかげで、何とか予選、決勝出場がOKとなった。

 時速370kmで走るオーバルレースでは自らのリスク管理はもちろんのことだが、今回は体を痛めた僕が走ることによって、ほかの21人のドライバーにリスクを負わせることになってはならないという、競技団にとっては極めて高度な判断が要求された。しかも、僕にとってホームレースであることも十二分に尊重してくれた。

■点滴で体回復

 レース前の晩、夜遅くまで点滴をしてもらったりしたおかげで、決勝朝は大幅に回復した。ドクターの触診を含め、エックス線、CTスキャン、そしてMRIという3重のチェックをクリアした僕は、条件付きでレース出走OKをもらうことができた。午前9時30分のことだった。その条件とは、少しでも運転に集中することができなくなった場合、自らレースをやめること、もしくはストレートで蛇行したり、コーナリングでふらついてレーンチェンジしたり、集中できない兆候が外部から見られた場合は、ブライアンがリタイアを決定する、というものだった。

■10位でも満足

 もちろん「大丈夫」といっても、体の痛みが消えたというわけではなく実際に痛めた背中、そして、激突の衝撃による“むち打ち”状態の二重の痛みで、吐き気や不眠とも戦わなければならなかった。しかし、何としても、僕の走りを楽しみにしてくれているファンの皆さんや、長年お世話になっているスポンサーの皆さんの前で走らねばならない。そして、走る以上は少しでも上位でゴールしたい。スタート後も体調は心配だったが、何とか完走することができた。本当は、ダリオ(フランキッティ)らをかわして、7位までいきたかったが……。

 今回は、セッティング不足、体調不良という状況を考えれば10位という結果に満足しなければならない。僕が走ると信じて、毎セッション、完ぺきにマシンをセットアップしてくれたメカニック、そして、データが少ないのに、競争力のあるマシンをセットしてくれた、イアン(ワット)、ジェフ(ブリトン)、岩下(喜博)の各エンジニアに感謝する。そして、僕が走ると信じてもてぎに来てくれたファンの皆さんに、あらためて感謝したい。

■トップ5狙う

 おかげで、開幕3戦連続トップ10フィニッシュを達成。ランクも7位タイでINDY500に臨むことができる。体調を整え、5位になった昨年以上の成績が残せるように全力を尽くすよ! (高木虎之介)


ファンとの交流を大切にする虎之介(カメラ=鶴田真也)
ファンとの交流を大切にする虎之介(カメラ=鶴田真也)