スーパーGT開幕特集
スーパーGTのさらなる発展を誓うGTAの坂東正明代表取締役(多賀まりお撮影)
スーパーGTのさらなる発展を誓うGTAの坂東正明代表取締役(多賀まりお撮影)
 スーパーGT(SGT)を運営するGTアソシエイションの坂東正明代表取締役(62)が同シリーズの将来像を熱く語った。車両規則を変更したGT500クラスは技術規則を統合するドイツツーリングカー選手権(DTM)と2019年の交流戦開催を目指し、GT300クラスはアジア各国でのSGTを頂点にしたピラミッド構築を狙う。代表に就任して10年、これからの10年も同じ歩みを続け、人気シリーズの発展に力を注ぐ。

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新しい指針を模索

国内のモータースポーツで人気ナンバーワンを誇るスーパーGTはテストでも観客で埋め尽くされる
国内のモータースポーツで人気ナンバーワンを誇るスーパーGTはテストでも観客で埋め尽くされる
 今年のGT500クラスはウイングなどの空力部品の規則を変更して約25%ダウンフォース(気流で押さえ付ける力)を軽減し、コーナリングスピードを落とした。コラボレーションしているドイツツーリングカー選手権(DTM)の要請もあって、双方の技術規則を統合したクラス1規則導入に向けた判断だ。

 これによりコーナリングスピードは落ち、ブレーキを踏むタイミングも早くなった。コーナーでの安全性を増すことができたが、空気抵抗が減ったことでストレートスピードが伸びてラップタイムは変わらず。スピードを落とすことなく、車両を安全性の方向に振ることができた。

 この部分が昨年からの一番の違い。これがうまくいけば、レースの魅力であるスピードを落とさず、安全性を高めることができる。さらに車両開発のコストダウンにもつながるのではないか。今後の運営に対し、新しい指針となる可能性を秘めていると考えている。

 合同テストを含め、ここまでの感じではレクサスLC500陣営がちょっと速いかな。テストだから何をやっているかは分からないが、少し速そうな感じだ。一方で日産/ニスモ、ホンダが苦しんでいる感じがする。いずれにしろ、開幕戦で全てが分かるだろう。

 GT300クラスはFIA−GT3車両のベントレー・コンチネンタルが初めて参戦し、レクサスRC F・GT3が2台となり、埼玉トヨペットがマザーシャシーを使ったマークXを投入するのが新しいところ。

 GT3車両は昨年よりも速くなった。欧州で開かれていたブランパンシリーズがアジアでも盛んになり、輸入車の各メーカーも日本のGT300に力を入れてきた。販売戦略的にメリットがあると判断し、メーカーが勝たなければいけないシリーズと認められてきたと考えている。ベントレーの参戦でひとつステップアップした。

10年先も同じ道を

公式テストではレクサス勢(写真上位4台)が好調だったGT500クラス
公式テストではレクサス勢(写真上位4台)が好調だったGT500クラス
 対するJAF−GT車両はマザーシャシーの最低重量を性能調整で40kg引き上げ、エアーリストリクター(エンジンへの空気流入口)の総面積の見直しを行った。ストレートが遅くコーナリングが速い車両特性を生かせるよう、GT3とのバランスを取った。ただし、開幕戦ではGT3の方がクオリティーが高い感じだ。

 今年はタイから初めてフルエントリーがあった。出場枠は海外チーム用に二つ設けているが、今後はそれが埋まるようにしたい。ただし、アジアのチームからするとSGTのレベルが高すぎて、現時点で戦えるチームはなかなかない。敷居ではなく、レベルが高い状況になっている。

 アジアの各国で開かれているシリーズから選抜するシステムを作れないか考えている。今年出場するタイのチームも母国でシリーズ戦に出場しているが、例えばそれをSGTのタイシリーズのようにして、技術的にも組織的にも日本とコラボレーションし、そこからのステップアップする方法が一番ではないか。

 タイで成功すれば、中国でもできるようになるかもしれない。そうなれば東南アジアやオセアニアで誰が一番なのか選抜できるGT300クラスのシステムができる。まずはSGTにつながる各国のシリーズ戦を構築するシステムを作らなければと考えている。

 レースイベントのクオリティーを判断する材料は、まずは集客になると思う。SGTはモータースポーツの認知度向上を最大目標に掲げているが、観客動員を増やすことでSGTが大きくなれれば、アジアを含めた底辺を引っ張り上げられる要素になる。もっともっとSGTの存在を大きくしたい。

 こんな環境をつくりたいと思って10年やってきた。これからの10年も同じ道を歩みたい。同じことを繰り返してどれだけ認められるか−だと思う。違うことをしようとは思わない。確実に歩みを進めるしかない。

 世界中のモータースポーツの流れはツーリングカーレースに向いている。そこで注目されているのが、DTMと規則統合を進めているSGTのGT500クラスで使うクラス1車両。そうなれば日本での注目度も高まり、ファンにも親しみやすい選手権になると思う。

 その規則統合の成果の一つとして、現在2019年に日本でDTMとの交流戦を開けるように進めている。エンジンを含めた規則統合ができれば、日本の3メーカー(トヨタ、日産、ホンダ)とドイツの3メーカー(メルセデスベンツ、BMW、アウディ)で一番を競いたい。レースはファンあってこそ。ステップbyステップで進めたい。

 まずは今年1年、岡山国際サーキットで開幕するSGTを楽しんでほしい。
 ▼坂東 正明(ばんどう・まさあき) 1955(昭和30)年1月15日生まれ、62歳。北海道出身。20歳でレースデビューし、その後、坂東商会を立ち上げレーシングチューナーとして名を馳せる。代表を務めた「レーシングプロジェクトバンドウ」は97年からGT300クラスに参戦し、11年からはGT500クラス。07年に発足したGTアソシエイション(GTA)委員会の委員長を務め、08年4月の法人化に伴い代表取締役。GTAの職務に専念するため、坂東商会、レースチームの運営を長男・正敬さんに譲る。