スーパーGT開幕特集
Dステーションのポルシェは安定したタイムを刻む(多賀まりお撮影)
Dステーションのポルシェは安定したタイムを刻む(多賀まりお撮影)
 GT300クラスに初挑戦する「Dステーションレーシング」はいきなり王者を狙う。ドライバーには同クラスで通算9勝(特別戦含む)の実績を持つ藤井誠暢(36)をエースとして迎え入れ、もうひとりは独ポルシェから派遣されたワークスドライバーのスベン・ミューラー(25)=ドイツ=を起用。総監督は元メジャーリーガーの佐々木主浩さん(49)。豪華なメンバーをそろえた。

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安定して上位タイム

新規参入にもかかわらずDステーションは本番で豪華なガレージを製作して存在をアピールする
新規参入にもかかわらずDステーションは本番で豪華なガレージを製作して存在をアピールする
 新規参入のDステーションがいきなりタイトル争いに食い込む勢いだ。開幕前の公式テストでは安定して上位タイムを刻み、その存在感をアピールする。

 「まずは1勝。そしてチャンピオンを目指したい」

 藤井の鼻息は荒い。2010年から親交のある星野敏オーナー(55)が立ち上げた新チームに迎え入れられ、充実したオフシーズンを過ごしてきたことが確かな自信に現れている。

 コラボレーションを組んで車両メンテナンスを担当するKTRは、10年途中から13年まで在籍した勝手知ったる古巣。12年にはシリーズ2位も記録している。2005年から参戦するSGTでは特別戦のJAFグランプリを含めて通算9勝を挙げているが、あと一歩で逃してきたタイトルをつかむ絶好の機会だ。

 「チームを立ち上げる時、全てに妥協せず勝てる体制を整えてくれた。クルマやタイヤ、スタッフなどすべてのレベルが高い。今まで以上に高いモチベーションで挑んでいる」。これ以上はない−とまで言える環境で戦えることは、ドライバー冥利(みょうり)に尽きる。

 決して順風満帆なレース人生ではなかった。レーシングカートに出場していた少年時代には新聞配達で参戦資金を捻出し、入門レース時代には資金が尽きて走れない時もあったが、周囲のサポートにも恵まれ、与えられた環境で結果を残してきたからこそ、今がある。

 乗り込むポルシェはGTレースで数々のタイトルを獲得してきた名車だが、SGTではここ数年不振をかこっている。12年のJAFグランプリで藤井が勝って以来、4シーズンも勝利から遠ざかっている。久しぶりの勝利を自分が−の思いも強い。

 「すごくワクワクしている。まだ一発のタイムはうまく引き出せていないが、レース中の安定感は素晴らしい。ポルシェはタイヤが摩耗してもタイムが変わらない」。乗り慣れた名車を得た藤井の期待は膨らむばかり。新しいチームとともに快進撃をみせる。

星野オーナー念願自チーム

目標はルマン

星野オーナー(右)のやる気に結果で応える藤井
星野オーナー(右)のやる気に結果で応える藤井
 Dステーションの星野オーナーは大のモータースポーツ好き。レーシングチームをスポンサーするかたわら、自らポルシェ・カレラカップ・ジャパンやスーパー耐久選手権に参戦するレース活動を続けている。

 「本当は(SGTにも)ドライバーとして参加したかったが、それでは完走もおぼつかないので…。体制は整えたので、ぜひともシリーズチャンピオンを取りたい」。国内最高峰のシリーズでは後方支援を決めた。

 自チームでのSGT参戦は長年の夢だった。2010年から出場チームへのスポンサーを始め、12年からはKONDOレーシングのメインスポンサーにもなった。「スポンサーではなく、チームを持ちたかった。やりたいこともあって。今回はいろいろなタイミングが合った」。10年からドライビングの指導を受ける藤井を迎え、ポルシェで実績のある「KTR」とのコラボレーションの実現も後押しした。

 群馬県を中心に遊技場施設の運営会社を経営していることもあり、レースに出るだけでは満足できない。「速いのは当たり前。強くて、かっこ良いチームを目指す」。ファンが夢を持てるようなチームを目指し、本番ではピット回りの演出にも気を配る。

 14年にサポートレースに出場してから、仏ルマン24時間レース参戦を夢見ている。ただし、世界の人気シリーズは、アジアン・ルマン・シリーズなどのタイトルを取らなければ出場権すら手にすることはできない。まずはSGTで初年度王者の快挙を狙い、その先の夢実現に挑む。

総監督は大魔神・佐々木さん

2月に開いた参戦発表会で意気込むDステーションレーシング。左から星野オーナー、佐々木総監督、武田監督、藤井(鈴木伸夫撮影)
2月に開いた参戦発表会で意気込むDステーションレーシング。左から星野オーナー、佐々木総監督、武田監督、藤井(鈴木伸夫撮影)
 元メジャーリーガーの佐々木主浩さんがDステーションの総監督に就任した。星野チームオーナーと親交があったことで実現したが、14年ぶりのモータースポーツ復帰となる。

 「やるからには勝てるチームにしてほしいとお願いしたら、素晴らしいスタッフがそろった」とやる気満々だ。2002、03年には「チーム22」のチームオーナーとしてフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)に参戦。2年目には脇阪寿一がランキング4位につけて以来のレース参戦となる。

 もともとはDステーションの星野オーナーが夢として掲げる仏ルマン24時間レース参戦を実現できた時に要請する予定だった。ひと足早いオファーとなったが、「二つ返事で引き受けてくれた。場を盛り上げるのも、人を使うのもうまい人だから」と星野オーナーは人心掌握を期待する。

 佐々木総監督は同チームが並行参戦するスーパー耐久シリーズでも総監督を務める。超多忙な身ながらフル参戦を予定し、「優勝を目指して頑張りたい」と意気込む。
 ★Dステーションレーシング 遊技場施設などを運営する「NEXUS(ネクサス)」(星野敏取締役代表執行役員)が母体のレーシングチーム。スーパーGTには2010年からスポンサーとして参画し、12〜15年にはKONDOレーシングのメインスポンサーを務めた。今年から自チームを立ち上げ、GT300クラスに初挑戦する。スーパー耐久シリーズのSTXクラスにも佐々木主浩総監督の体制でフル参戦し、ドライバーは荒聖治と近藤翼、そしてオーナーの星野。