高速&テクニカル、名勝負の舞台
スーパーGT第2戦特集
1・5kmにもおよぶ長いストレートが富士スピードウェイの最大の特徴だ(多賀まりお撮影)
1・5kmにもおよぶ長いストレートが富士スピードウェイの最大の特徴だ(多賀まりお撮影)
 スーパーGTが産声を上げたのが、静岡県小山町の富士スピードウェイだ。前身の全日本GT選手権(JGTC)は1994年に全5戦で始まったが、その前年の93年には富士を舞台に他シリーズとの混走で試験的にGTのレースが開かれた。まがうことなく国内でナンバーワン人気を誇るシリーズを産みだしたコースだ。現在でも唯一年間2戦も開かれ、毎年名勝負が繰り広げられる。

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新規則で勢力図変化?

今後占うバトル

2004年の大改修で富士の後半セクションは曲がりくねったテクニカルになった(多賀まりお撮影)
2004年の大改修で富士の後半セクションは曲がりくねったテクニカルになった(多賀まりお撮影)
 富士は華やかなGTがいっそう映えるサーキットだ。排気音をとどろかせて1・5kmにもおよぶ超ロングストレートを疾走する姿は壮観で、レースの華とも言える追い抜きも随所で見られる。現場で観戦するファンには最高のサーキットだろう。

 ただし、2004年にコースの大改修が行われてからは、各チームの車両には難しい車体調整が要求される難コースとなった。長いストレートに代表される高速区間と、終盤の曲がりくねったテクニカル区間はまるで異なる調整が求められるからだ。

 基本的にはスピードが伸びる空力部品を使いながら、低速コーナーが続く終盤でもしっかり走れる調整を施すことになるが、そのバランスが難しい。1周を速く走るにはコーナーを重視した調整が有効とされるが、周回遅れを含めてクルマを追い抜かなければならないレースではスピードが伸びず苦労を強いられる。まさにジレンマだ。

 GT500クラスの車両は昨年までウイングなどが違う2種類の空力部品が使え、富士ではスピードが伸びるレス・ダウンフォース(気流で押さえ付ける力が弱い)仕様の部品を使っていた。しかし、今年は規則が変更され、年間を通して1種類の空力部品しか使うことができず、レクサス、日産、ホンダの3陣営はオールマイティーなクルマ作りを求められた。

 開幕戦で圧勝したレクサスは、今年から投入したLC500のベース車が優れた空力特性を持っているアドバンテージを生かした開発を進めた。そのためストレートの伸び、そしてコーナーを安定して走るバランスを無理なく手に入れた。第2戦の富士でもライバルを圧倒しそうな予感だ。
 シリーズが始まった1994年から富士スピードウェイではこれまで計43戦が争われ、GT500ではGT−Rが最多の15勝でフェアレディZの1勝を含めて日産が計16勝を挙げている。対するトヨタはスープラが8勝でレクサスSC430の7勝と合わせて15勝。ホンダはNSXが9勝で、ポルシェ2勝、マクラーレン1勝となっている。

 レクサス(トヨタ)と日産はここまでほぼ互角な争いをしているが、過去3年間でGT−Rが6戦5勝を挙げるなど、各メーカーとも一度勝つと連勝する傾向が強い。現在は3年で新しい車両に作り替えられるが、新しい車両に切り替わった時に、うまく富士の特性に当たった車両が勝ち続けることが多いようだ。

 今年は新しい規則で作られた車両の初年度。開幕戦で他を圧倒したレクサスLC500が車両特性的にも有利と予想されるが、新たな富士伝説を作るのか。それともNSX、GT−Rが巻き返すのか。今年の第2戦は今後を占う一戦になる。

日本が誇るGTレース誕生の地

 日本独自のGTレースが正式に始まったのは94年だが、その前年には「全日本GT選手権レース」の名称で富士スピードウェイを舞台に3戦開かれた。ただし、現在のGT500クラス相当の車両が1台、同GT300クラス相当の車両が1台の計2台しか集まらず、他カテゴリーとの混走で体裁を保った。

 翌年には運営団体のGTアソシエイションも設立され、2クラスに計?台がエントリーし、富士が2戦、仙台ハイランド、スポーツランドSUGO、MINEサーキットを舞台に全5戦で争われ、一気に人気シリーズに発展した。

 93年は試験的な開催だったが、好成績を残すと翌戦にウエートを搭載して戦力の均衡化を図る考え方は現在も続いている。また、より多くの車両が出場できるよう、運営団体が独自に性能調整を図るなど、世界から注目されるシリーズに育ったSGTの礎は富士で築かれた。