大混戦GT500 2年ぶりタイトルへ
スーパーGT第6戦鈴鹿1000km特集
鈴鹿で2年ぶりのタイトル奪還の足掛かりを狙うニスモのGT−R
鈴鹿で2年ぶりのタイトル奪還の足掛かりを狙うニスモのGT−R
 スーパーGT(SGT)第6戦(27日決勝)の鈴鹿1000キロはタイトルの行方を左右する大事な1戦となる。GT500クラスは総合首位から7位までが8点差にひしめく大混戦。ぎりぎりのせめぎ合いが予想されるが、2年ぶりのタイトル奪還を目指すニスモの松田次生(38)/ロニー・クインタレッリ(38)組(日産GT−R)は頭一つ抜け出すことに虎視眈々(たんたん)。開幕当初は思わぬ不振に苦しんだが、前戦の富士スピードウェイ(静岡県)で2位に食い込み今季初表彰台を獲得し、その勢いのまま鈴鹿に乗り込む。

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厳しい表情でヤマ場を見据えるニスモの松田次生(左)とロニー・クインタレッリ
厳しい表情でヤマ場を見据えるニスモの松田次生(左)とロニー・クインタレッリ
 憎たらしいほど強いニスモが帰ってきた。開幕当初は車両の戦闘力不足で苦戦の連続だったが、7月の第4戦SUGOから地力を取り戻し、前戦の富士で今季初表彰台に上って、総合順位も首位から3点差の5位まで盛り返した。

 チームを率いる鈴木豊監督は「(シーズン当初は)クルマの中で見落とした部分があった。SUGOで投入した2基目のエンジンに合わせて対策を施せた」と現状を分析。今季から導入の新規則に合わせて開発したクルマは明らかなスピード不足だったが、開発陣の努力でシーズン半ばにはライバルと同じ土俵で戦える状態になった。

 当初は鈴鹿を最重要レースに据え、「SUGOからの3連戦でライバルに追い付くのが目的。鈴鹿では勝たないといけない」という戦略を練っていた。ところが富士で予想を上回る好成績を残し、タイトルを争うライバルと互角の状態で鈴鹿に挑むことに。当然、成績に応じて搭載するウエートハンディは82キロにも達し、簡単に勝てる状況ではなくなった。

 ドライバーの松田は「鈴鹿で勝ちたい」という目標から、「ウエートが重い中でトップを取れるよう頑張る」と方針を変更。ここまで成績を残せずウエートが軽いクルマの先行は許しても、タイトルを争う総合上位につけるライバルには道を譲らない戦略に変えた。

 コンビを組むクインタレッリも「ポイントランキングは接戦。最終戦でチャンピオンを取れるよう、後半戦もしっかりと戦いたい」と鈴鹿での具体的な目標を掲げなくなった。同僚と同じように、まずはタイトルを争うグループの先頭を走り続ける狙いだ。

 昨年は開幕2連勝を飾り、常にタイトル争いの主導権を握ってシリーズ初の3連覇に王手をかけて最終大会に挑んだ。しかし、熊本地震で中止になった第3戦オートポリス大会の代替え戦を含めた変則2レース制となり、冷たい雨が降る苦手なコンディションだったことも悪影響し、まさかの逆転を食らった。それだけに今年にかける思いはどこよりも強い。

 「シリーズチャンピオンを狙っている。その意味でも、鈴鹿は重要なレースに変わりない」。鈴木監督がそう言い切るニスモが、シーズンで最も過酷な1000キロレースで底力を見せつける。
ウエートの軽さを生かして鈴鹿の主役を狙うクニミツの伊沢拓也(左)と山本尚貴(ホンダ提供)
ウエートの軽さを生かして鈴鹿の主役を狙うクニミツの伊沢拓也(左)と山本尚貴(ホンダ提供)
 総合上位のチームが横並びで重いウエートを背負う中、鈴鹿の優勝候補として注目されるのが、総合9位につけるモーラの本山哲/千代勝正組(GT−R)と、同10位のクニミツの山本尚貴/伊沢拓也組(ホンダNSX)。搭載ウエートはそれぞれ46キロ、44キロと総合首位に立つトムスのジェームス・ロシター(レクサスLC500)から40キロ以上も軽い状況だ。

 モーラは富士で車体調整を進められず、入賞を逃す11位に終わった。しかし、本山は「鈴鹿までに原因を究明して万全の状態で挑む。最後の鈴鹿1000キロにふさわしいレースを約束する」と力強い。GT参戦22年目、3度の王者を経験した大ベテランは伝統の一戦の有終を飾る覚悟だ。

 一方、クニミツは上り調子。富士では予選までの不調を決勝ではね返し、最後尾スタートから8位まで盛り返した。山本は「徐々に良くなったので、鈴鹿に向けて好材料。次はチャンス。最後の1000キロで優勝したい」。好感触で終えられた流れを、NSXが得意な鈴鹿で加速させたい。

◆リアル&インパルも

 総合11位(ウエートは36キロ)につけるリアルの塚越広大/小暮卓史組(NSX)、同12位(同26キロ)のインパルの安田裕信/ヤン・マーデンボロー組(GT−R)を含め、ウエートが軽いグループが優勝争いをリードしそうだ。
前戦Vで勢いに乗るARTAのNSX
前戦Vで勢いに乗るARTAのNSX
◆ARTA連勝だ

 富士で4年ぶりの勝利を挙げたARTAは鈴鹿で連勝を狙う。今年からGT500に復帰した小林崇志は「しっかり走り切ればチャンスはある」ときっぱり。2年ぶりの勝利だったホンダNSXは徐々に戦闘力を上げており、コーナーが続く鈴鹿は得意。コンビを組む野尻智紀も「ウエートが増え厳しい戦いになるが、クルマのバランスも良く、スピードもある」。首位から13点差で挑む1000キロで、初タイトルを引き寄せたい。


◆勢いあるセルモ

 首位から3点差の総合4位で鈴鹿に挑むセルモ(レクサスLC500)には勢いがある。予選まで苦戦した前戦の富士では、決勝で見違える走りを見せて3位に食い込んだ。立川祐路は「ここからが勝負。(鈴鹿は)長いレースになるし」と82キロのウエートを搭載しながらの快走を思い描く。コンビを組む石浦宏明は「ランキング上位の中で最も前でフィニッシュできれば良い流れにできる」と今季のヤマ場を見据えた。
鈴鹿からが勝負と見据えるセルモのLC500
鈴鹿からが勝負と見据えるセルモのLC500
富士の不調を分析し、鈴鹿で雪辱Vを狙うモーラのGT―R(日産自動車提供)
富士の不調を分析し、鈴鹿で雪辱Vを狙うモーラのGT―R(日産自動車提供)