最終戦もてぎ特集(1)
第7戦タイ大会で今季2勝目を挙げた平川亮(左)とニック・キャシディが総合首位で最終戦に挑み、最年少コンビのタイトルを狙う(トヨタ提供)
第7戦タイ大会で今季2勝目を挙げた平川亮(左)とニック・キャシディが総合首位で最終戦に挑み、最年少コンビのタイトルを狙う(トヨタ提供)
 スーパーGTの2017年シーズンも大詰めを迎えた。4月の開幕戦から激しい戦いが繰り広げられ、栃木県のツインリンクもてぎで開かれる最終戦(12日決勝)には、トムス37号車の平川亮/ニック・キャシディ組(レクサスLC500)がGT500クラスの総合首位で挑む。総合2位につけるルマンの大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組(同)とは6点差。トムス37号車は23歳という最年少コンビで初めてのタイトルに挑む。

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総合首位で挑む最終戦で最年少コンビでの王者を狙うトムス37号車(トヨタ提供)
総合首位で挑む最終戦で最年少コンビでの王者を狙うトムス37号車(トヨタ提供)
 大一番を迎えた平川ながら、いつもと変わらずひょうひょうとした雰囲気を崩さない。

 「僕らは2人とも若いので、今年無理やり取る必要も…。まだ猶予があるでしょ」。初めてのSGTタイトル、それも最年少記録がかかる大事な1戦でも、そうおどけて挑む強心臓ぶりをみせた。

 そんな強気の振る舞いができるのも、絶対的な自信があるからこそ。トムス37号車は、開幕戦と直近の第7戦を制するなどシーズン2勝を挙げた今季唯一のコンビだ。平川は「もてぎは昨年の感触からレクサス全体が強いと思う。事前テストをしているルマンが有利だと思うが、普通にやれば(タイトルを)取れると思う」と言い切った。

 ただし、レースは何が起きるか分からないもの。昨年も最終大会に総合首位で挑んだニスモの松田次生/ロニー・クインタレッリ組(日産GT−R)がまさかの逆転を喫し、史上初の3連覇を逃した。平川も「ミシュランタイヤとニスモの状況次第。ニスモが速いと46号車(モーラ)も速いかもしれないし、ヨコハマタイヤ勢も…。6〜8点差なんてすぐにひっくり返されてしまう」。8点差の総合3位につけるニスモの動向に目を光らせるなど慢心はない。

 SGTのフル参戦3年目の平川は、今年の快進撃の要因に「経験」を挙げた。「1、2年目にできなかったことができるようになった。特にやり方を変えたわけではないので、経験が大きい思う。同じチームでエンジニアも一緒だし、チームメートともうまくやれている。いろいろな要素が重なった」。今季唯一の2勝コンビながら、ここまで全戦入賞の粘り強い走りも光る。

 今季は並行して参戦する欧州ルマンシリーズで所属チームのタイトル獲得にも貢献した。「ボクは2戦欠場したのでランキング4位でしたが、チームは最終戦で4位に食い込みタイトルを取れた」。トヨタの若手育成プログラムでの欧州武者修行も2年目となり、平川に経験という武器を授けた。

 23歳コンビの戴冠はSGT史上初の快挙だが、個人では8月生まれの同僚キャシディが記録ホルダーになる。「(タイトルは)取れる時に取っておかないと。この良い流れを生かしたい。チームメートのためにもね。それに37号車はタイトルを取ったことないし」。所属するトムスは計3度のドライバーズ王者を獲得しているが、平川が乗る37号車はタイトルと無縁だった。

 「まあ、世代交代ということで。結果を残したいですね」。もてぎで若い平川が暴れ回る。

キャシディ「楽しみ」

総合2位で最終戦に挑むルマンのレクサスLC(トヨタ提供)
総合2位で最終戦に挑むルマンのレクサスLC(トヨタ提供)
 平川とコンビを組むキャシディはSGTのフル参戦2年目。初年度の昨年は波があったが、今年は安定した走りができるようになって大一番に挑む。「(平川)亮はシーズンを通していつも素晴らしい走りをしてくれる。もてぎは重要なレースになるが、楽しみにしているよ」。日本でのタイトルは2015年にトムスから参戦した全日本F3以来。並行して参戦するスーパーフォーミュラでポールポジションを獲得した速さを、SGTでも見せつけたい。

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火花散るレクサス頂上バトル!

2位大嶋、逆転タイトルへ必勝体制

 総合首位と6点差でもてぎに挑むルマンの大嶋和也も絶対に負けられない。「チャンピオンは諦めるわけにはいかない。最終戦はなんとしても優勝を狙う」と意気込む。

 2009年にGT500クラスにステップアップしてから、ここまでタイトルとは無縁だった。何度もあと一歩のシーズンを過ごし、昨年は総合2位。今年のチャンスは逃したくない。

 もちろん、簡単な戦いでないことも分かっている。大嶋は「僕らが優勝しても37号車が2位だと向こうがチャンピオン。僕らに優勝できるポテンシャルがあると、相手が2位に入る可能性はかなり高い」。同じレクサスを駆り、タイヤも同じブリヂストンを履くパッケージでは、同じような結果となるのは避けられないのだ。
 07年にGT300クラスと全日本F3をダブルで制覇し、08年にはトヨタの育成プログラムで欧州F3に打って出た。初めての海外シリーズの参戦に戸惑いながらも優勝するなど実力を見せたが、たった1年で日本に逆戻り。その後スーパーフォーミュラや前身のフォーミュラ・ニッポン、GT500クラスで優勝争いをするも、「王者」という結果から見放されてきた。

 「レースなので何が起きるか分からない。諦めずに最後まで戦う。クルマは速いし、もてぎは得意。勝ちに行く!」。節目の30歳を迎えたシーズンを気持ち良く締めくくりたい。
何としてもタイトルを奪いたいルマンの大嶋和也(トヨタ提供)
何としてもタイトルを奪いたいルマンの大嶋和也(トヨタ提供)