GT−R勝利あるのみ!!
最終戦もてぎ特集(2)
8点差を逆転して2年ぶりの王座奪還を狙うニスモのロニー・クインタレッリ(左)と松田次生(右)(日産提供)
8点差を逆転して2年ぶりの王座奪還を狙うニスモのロニー・クインタレッリ(左)と松田次生(右)(日産提供)
 シーズン序盤に車両の戦闘力不足から大苦戦を強いられたニスモの松田次生/ロニー・クインタレッリ組(日産GT−R)が、驚異的な追い上げでGT500クラスのタイトル争いに食い込んで最終戦を迎えた。総合首位から8点差の同3位。昨年まさかの逆転を喫して史上初の3連覇を逃した因縁のツインリンクもてぎ(栃木県)で、今年は大どんでん返しの逆転王者を狙う。

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大混戦を競り抜き総合3位で最終戦に挑むニスモのGT―R(日産提供)
大混戦を競り抜き総合3位で最終戦に挑むニスモのGT―R(日産提供)
 まさに驚異的な追い上げだ。ニスモは開幕前の公式テストではトップ10にも入れない苦戦が今年のスタート地点。そこからシーズン序盤戦は必死に食らい付いて入賞を重ね、2年ぶりの王座奪還を狙う位置で最終戦を迎えた。

 険しい表情が目立ったロニー・クインタレッリも「あれだけあったレクサスとの差をよく埋められたと思う。チームはすごいよ」と穏やかな笑顔を浮かべる。コンビを組む松田次生も「信じられない展開」と劇的なチーム力の向上に目を丸くしている。

 現在のモータースポーツは車両のシーズン中の開発が厳しく制限されているシリーズが多く、SGTも同様だ。開幕当初に今季使う空力部品の基本形をシリーズ運営会社に登録し、それに沿った小変更しかできない。クインタレッリも「普通はシェークダウン(初走行)した時に差があると、ノーチャンス。空力を変えられないし」と語るが、ニスモは常識を打ち破った。

 日々の開発努力とレースで1点に執念を燃やすドライバーらの奮闘がもたらした結果だが、7月の第4戦SUGO大会で新エンジンを投入した英断も効いた。GT500クラスは年間2基のエンジンで戦わなければならず、3基目を投入するとペナルティーが科される。通常はシーズンの折り返しとなる8月の第5戦富士大会か、1000キロの長丁場となる第6戦鈴鹿大会で2基目のエンジンを投入するが、ニスモは1〜2戦も前倒した。

 スピードが足りなかった原因の1つがエンジンにあったためだが、投入前倒しのしわ寄せが終盤にのしかかってくると思われた。クインタレッリは「とにかく挽回しなければ−という思いで投入し、どこかで3基目を投入するのかと思った。それが全然。チームは難しいエンジンの微調整を続けて、心配なく最終戦に挑める状況を作った」と語る。

 ただし、総合首位のトムス37号車とは8点の開きがある。例えニスモが最終戦を制しても、相手にポールポジションを奪われて3位に食い込まれたら逆転はかなわない厳しい状況だ。

 「勝つしか権利はないが、追う立場は気持ち的には楽。速いレクサスの包囲網の前に出たい。苦しい部分もあるが、2014年にも逆転している」。松田は首位から6点差の総合3位から大逆転した3年前の再現をその胸に秘める。

平手、連覇ならず 意地見せる!

連覇は逃したが、最終戦Vを誓うサードの平手晃平(左)(トヨタ提供)
連覇は逃したが、最終戦Vを誓うサードの平手晃平(左)(トヨタ提供)
 昨年の最終大会で劇的な逆転王者に就いたサードのヘイキ・コバライネン/平手晃平組(レクサスLC500)は前戦で連覇の夢を絶たれ、総合7位でもてぎ大会に挑むことになった。

 平手は「連覇を達成できず非常に悔しい気持ちでいっぱい」と語る。今年は開幕戦を3位表彰台でスタートし、第4戦ではモーラの本山哲(日産GT−R)との壮絶な戦いを制して今季初勝利。連覇にまずまずのシーズンを過ごしてきたが、第6戦の無得点、荒れた天候となった第7戦ではニスモとの戦いに集中して6位に終わったことが響いた。

 大事な終盤で失速した悔しさは、得意のもてぎで晴らすしかない。平手は「もてぎでは今季2勝目を狙っていく」。連覇は果たせずとも意地は見せたい。

セルモ石浦、最善尽くす

わずかながらタイトルの可能性を残すセルモのレクサスLC(トヨタ提供)
わずかながらタイトルの可能性を残すセルモのレクサスLC(トヨタ提供)
 今年のスーパーフォーミュラ(SF)で2度目の王者に就いた石浦宏明が立川祐路とコンビを組むセルモ(レクサスLC500)は、首位から18点差の総合5位で最終戦に挑む。わずかながらタイトルの可能性を残す。

 「残っていても1%ぐらいですかね。天候を含め何が起きるか分からないですけど」と石浦。2年前に逃したSFとの2冠達成のチャンスは今年も厳しい状況だ。

 毎年のようにタイトル争いに食い込むセルモだが、石浦が加入した2015年以降は無冠。「GTはポイントの取り方や流れが大切ですが、今年は大事な夏場の連戦で思うようにポイントできなかった。理由は明確なので、来年に生かしたい」。念願のSGT初タイトルは来年に持ち越す覚悟を決めるが、最善は尽くす。

NSX山本、優勝で締める

悔しいシーズンを優勝で締めくくりたいクニミツのNSX(ホンダ提供)
悔しいシーズンを優勝で締めくくりたいクニミツのNSX(ホンダ提供)
 ARTA、ナカジマが第5、6戦で連勝を飾ったホンダNSX勢だが、シーズンを通して安定した結果を残したチームはなく、タイトル争いに絡めず最終戦を迎えることになった。

 それでも総合8位で挑むクニミツの山本尚貴/伊沢拓也組は、車両トラブルでリタイアした開幕戦以外はしぶとく入賞を重ねてきた。シーズンを戦うごとに車両、そしてチームは戦闘力を高め、ホンダのホームコースのもてぎで一矢報いたい。

 山本は「もてぎでは持ち込みの時点から良いクルマを用意し、進化を続けてきた集大成を見せられたら−」と力を込める。第3戦のポールから3位、第6戦も壮絶な追い上げで3位表彰台に上ったが、今年は未勝利。勝ってこの1年を締めくくりたい。


 ★F−2歓迎フライト 決勝日(12日)のオープニングセレモニーで、航空自衛隊松島基地所属の「F−2戦闘機」=写真、モビリティランド提供=の歓迎フライトが行われる。同戦闘機は米国のF16を日本の運営などに合わせ、日米共同で改造開発した戦闘機。必見だ。


 ◯…スポーツ専門チャンネルのJ SPORTSが最終戦の予選、決勝を生中継する。予選は11日午後1時45分からJ SPORTS3、決勝は12日午後1時から同4チャンネルで。

 ダイジェストや決勝オンボードカメラの番組も放送する。
決勝日に歓迎フライトをするF―2戦闘機(モビリティランド提供)
決勝日に歓迎フライトをするF―2戦闘機(モビリティランド提供)