レクサスLC500の3連覇へ
2018年開幕特集(2)
テストでは思うようにクルマを仕上げられなかったが、本番では一気の大変身を狙うサードのレクサスLC500
テストでは思うようにクルマを仕上げられなかったが、本番では一気の大変身を狙うサードのレクサスLC500
 レクサスLC500陣営の目玉は、元F1ドライバーの小林可夢偉(31)がサードからレギュラー参戦することだ。昨年は1戦のみのスポット参戦だったが、今年は元F1のヘイキ・コバライネン(36)=フィンランド=とシーズンを戦い抜く。事前テストでは車体調整が進まず苦戦したが、いざレースとなれば対応力の高さで乗り切るはずだ。

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可夢偉、テストで苦戦も勝利へ走り抜く!

なかなかセッティングが決まらない可夢偉だが、最後には帳尻を合わせる覚悟だ
なかなかセッティングが決まらない可夢偉だが、最後には帳尻を合わせる覚悟だ
 テストで渋い顔が続いた可夢偉だが、本番になれば話は違う。何とか帳尻を合わせ、必ず力強い走りを見せてくれるはずだ。

 「僕は文句は言わずに乗るから。(セッティングが)これじゃないと乗れない−ということもないし。WECをやっているとそうなるよ」

 新しいシーズンを目前に控えた可夢偉はそう宣言する。テストでは基本的な車体調整が決まらず大苦戦したが、5年間のF1参戦に加え、2016年からはトヨタの一員として世界耐久選手権(WEC)を戦ってきた実績がある。とりわけ3人のドライバーで1台の車両をシェアするWECでは好みなど言ってはいられない。目の前にあるクルマで戦うだけだ。

 テストでは本当に苦しんだ。開幕戦の舞台となる岡山国際サーキットで開かれた第1回公式テストでは2日間とも最下位に沈んだ。「セットアップが決まらない。クルマのバランスも悪いし…。」と漏らす始末。第2回テストの富士スピードウェイで車体調整の方向性を大きく変え、少し持ち直した。

 一時はクルマの曲がりづらい症状が改善せず、コンビを組むコバライネンと頭を抱えた。そこで問題になったのが、レギュラー初年度の可夢偉がなかなか満足な状態で走れず、クルマの限界を経験できなかったことだ。「まずはクルマのレベルを上げないと。その状態で自分の経験を上げていく必要がある」。雲をつかむような作業を強いられた。

 それでもコンビを組むコバライネンは今季の活躍を信じて疑わない。「可夢偉はF1のころからよく知っている。強いドライバーだからSGTでもきっと良い仕事をしてくれる」。テストでは2人が真剣な表情で語り合う姿も見られたが、自身は参戦4年目。2016年にはタイトルも獲得した。トンネルには必ず出口がある。

 「今は頑張ります−ってしか言えないかな。実際やるしかないし」。腹をくくった可夢偉のマンパワーで勝利を手繰り寄せる。

トムス・平川、狙うは連覇のみ!

連覇に意欲的な平川
連覇に意欲的な平川
 ゼッケン1をつけて挑むKeePerトムスの平川亮(24)が静かな闘志を燃やす。「連覇する−とかじゃなく、そこしかないですから」。狙うは昨年に続くGT500クラスの王者だ。

 事前テストは順調にこなした。「やれることはやった。あとはレースウイークで調整するだけ。今年は日産やホンダも調子が良いので目立たないが、最後にあたま一つ抜け出せれば良い」。岡山の公式テストでは初日が8番手、2日目は4番手も、予定したプログラムは確実に消化した。

 昨年は完璧だった。開幕戦を制して第2戦も3位表彰台に上る最高のスタートを切り、終盤の第7戦で2勝目を挙げ、続く最終戦も2位表彰台。全戦入賞という粘りもみせ、ともに23歳だった同僚のニック・キャシディ(23)=ニュージーランド=と記録したシリーズ最年少コンビの戴冠とは思えない堂々たる戦いぶりだった。

 「今年は接戦で戦力図も変わりそう。全戦ベストを尽くして粘っていきたい。まずは得意の岡山で表彰台に食い込みたい」。ディフェンディング王者の称号に甘えることなく、平川は泥くさい戦いを貫く。

ルマン・大嶋、最高の仕上がり

今年こそは頂点を狙う大嶋和也
今年こそは頂点を狙う大嶋和也
 この2年、あと一歩というシーズンを過ごしたルマンの大嶋和也(30)が最高の仕上がり状況で開幕を迎える。「クルマは昨年から速かったが、今年仕様はもっと乗りやすい」。岡山の公式テスト初日にはコースレコードを上回る驚速タイムを記録した。「今年こそは−の思いはある。まずは久しぶりに勝って勢いに乗りたい」。タイトルを争った2016、17年はもうひと押しが足りず、総合2、3位。今年は開幕戦で5年ぶりの勝利を挙げ、一気に突き進みたい。

「空力もエンジンもだいぶ頑張ってきた」

TRDの永井洋治開発部長に聞く

 昨シーズン圧倒的な速さを見せたレクサスLC500はさらなる進化を遂げた。車両開発の責任者、TRDの永井洋治開発部長(59)は「チャレンジャーのつもりで空力もエンジンもだいぶ頑張ってきた」と言い切った。

 今年は車両規定2年目のため大幅な変更はできないが、やれる範囲の中で最善を尽くした。「空力はいろいろと…。エンジンも頑張って、改良の度合いを大中小で表すなら、大きい方に入る」。3メーカーが激しい戦いを繰り広げるSGT。具体的な進化や開発状況を決して明かすことはないが、自信たっぷりなその表情からは確かな進化を感じられる。

 岡山の第1回公式テストでは3メーカーの車両が入り乱れる結果となった。ただし、あくまでもテスト。本番に投入する隠し球を幾つも持っている可能性はある。

 「今年は混戦だと思っている。それはテストの結果でも分かる。だからこそチャレンジを続けないとならないのが、このカテゴリーの難しいところ」。挑戦する姿勢を貫き、今年も日産、ホンダを抜き去る。