カルソニック80周年イヤー インパル一丸!
2018年開幕特集(3)
今年こそは頂点を狙うインパルの日産GT−R
今年こそは頂点を狙うインパルの日産GT−R
 GT500クラスの日産GT−R陣営で最もタイトルに意欲を燃やすのは、インパルの佐々木大樹(26)/ヤン・マーデンボロー(26)=英国=組だ。星野一義監督(70)が現役時代から支援を受けるメインスポンサーの自動車部品メーカー「カルソニックカンセイ」が創業80年を迎え、長い間のサポートに結果で報いる構えだ。もちろん、ニスモの松田次生(38)/ロニー・クインタレッリ(38)=イタリア=組も3年ぶりの王座奪還に燃える。

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今年こそ!勝利のために!!

佐々木ピリピリムード歓迎

星野監督にタイトルをプレゼントすると誓うインパルのヤン・マーデンボロー(左)と佐々木大樹
星野監督にタイトルをプレゼントすると誓うインパルのヤン・マーデンボロー(左)と佐々木大樹
 戦う集団の本領発揮だ。22年間もGTのタイトルから遠ざかっているインパルが、今年は何が何でも王者の称号をつかみ取る覚悟だ。

 「今年はカルソニックが80周年記念の年。何とか名誉を届けてお祝いしたい」。闘将とも表現される情熱的な星野監督がそう決意を込めた。

 SGTの前身となる全日本GT選手権の初年度(1994年)から「カルソニック・スカイライン」として参戦し、同社の企業カラーの青いクルマで走り続けた。94、95年にはGT500クラスの王者に就いたが、それからはさっぱり。2015年には最終戦に総合首位で乗り込んだが、まさかの失速で同じ日産陣営のニスモに5ポイント差でタイトルをさらわれた。

 その後はタイトル争いにも絡めず、トラブルが多発した昨年は同15位という厳しいシーズンを過ごした。星野監督は「この2年ぐらいは低迷しているし、今年は何としても−」と結果にこだわる。GTに限らず「日本一速い男」と呼ばれた現役時代から支援を受けるカルソニックに、王者の称号を必ず届けたい。

 今年は佐々木がKONDOから移籍した。星野監督は「クルマのことは良く分かっている。ヤン(マーデンボロー)だと英語だから細かな部分が伝わりにくいが、佐々木とならスムーズ」と高く評価する。

 その佐々木は「とてもピリピリとしたムードのチーム。全員がもっとタイムを出そう、速く走ろう−という気持ちで戦っているから、僕も言いたいことが言える」。全てが勝利のため−という独特なムードのチームに溶け込んだ。

 インパルは昔かたぎの厳しいチームだが、レーシングカート時代に父の常治さん(54)からスパルタ教育を受けた佐々木に違和感がない。「お父さんが厳しい人で、ほめてもらった記憶がない。そんな中で育ったので、結果を残すために厳しいのは当たり前」と言い切る。

 チームカラーに合った佐々木が加入し、マーデンボローの速さも健在。節目を迎えた今年のインパルはひと味違う。

3年ぶりタイトルへ開幕ダッシュだ!

ニスモの松田/クインタレッリ組み

テストでは暫定カラーのブラックを通したニスモのGT−R
テストでは暫定カラーのブラックを通したニスモのGT−R
 日産ワークスのニスモも3年ぶりのタイトル奪還に燃える。出遅れた昨年も中盤から追い上げてタイトル争いに絡んだが、2ポイント及ばず総合2位。今年こそ−の思いはひときわ強い。

 通算最多、4度の王者に就いているクインタレッリはクルマの仕上がりに好感触を持つ。「基本的なベースが見つかった。岡山、富士の公式テストで試したモノの良いところを合わせれば、最初から戦える」。開幕戦から勝利を伺う勢いだ。

 コンビを組む松田も「ダウンフォース(気流で押さえ付ける力)が増え、セットアップも良い方向。あとはタイヤを合わせていければ−」と見据える。上位陣から1周で1・5秒も遅れた状態からスタートした昨年とは雲泥の差だ。

 岡山のテストでは下位に沈んだが、トップとのタイム差は0・4秒ほど。確実にクルマを煮詰め、開幕戦からタイトル争いをリードしたい。クインタレッリは「気持ちを強く持ってチャンピオンを取りたい」と宣言すれば、松田も「集中して戦いタイトルを奪還!」と言葉をそろえた。

KONDOからフル参戦、高星が存在感

高星明誠(左)が新加入してJ・P・デオリベイラとコンビを組むKONDO
高星明誠(左)が新加入してJ・P・デオリベイラとコンビを組むKONDO
 KONDOから初めてのフル参戦に挑む高星明誠(25)の存在感が増している。富士スピードウェイ(静岡県)の第2回公式テストの初日にライバル勢を退けて最速タイムを記録した。それでも「全体的に(車体調整で)足りない部分が多い」と冷静に状況を見据える。2年前にスポット参戦の経験はあるが、「まだ300クラスの追い抜きが慣れない。経験を積むしかない」と自らの課題も隠さない。そのひた向きな姿勢は大化けを予感させる。

「空力は大幅に変えその成果も出ている」

ニスモの鈴木豊ゼネラルマネジャーに聞く

 昨シーズン序盤に出遅れ、苦戦を強いられた日産陣営は汚名返上をかけた車両開発に力を注いだ。開発責任者を務めるニスモの鈴木豊ゼネラルマネジャー(52)は「昨年も中盤から盛り返したが、改めて自分たちの弱点を洗い直し、初心に帰って今年のクルマを作り上げた」と語る。

 弱点は空力面やエンジンでもあったという。「(開発を)数値的に評価するのは難しいが、実験や解析を駆使して形として見えるようにした。それを目標にして開発を進めた」。足りなかった部分を可能な限り可視化し、勝つための明確な目標を定めた。

 「まだ目標に至っていないところもあるが、大部分は予定通り。空力は大幅に変え、その成果も出ている」。序盤に大苦戦した昨年もニスモがシーズン半ばから驚異的な追い上げでタイトル争いに加わった。今年はその勢いを維持し、テストでも陣営としてまずまずの走りをみせている。

 鈴木GMは「2年取っていない。ぜひ奪い返したい」と宣言。見据えるのは3年ぶりのタイトル奪還だけだ。