2018年開幕特集(8)
6年ぶりの開幕戦勝利を見据え、気合が入るセルモの立川祐路(左)と石浦宏明(右)
6年ぶりの開幕戦勝利を見据え、気合が入るセルモの立川祐路(左)と石浦宏明(右)
 GT500クラスで5年ぶりのタイトルを狙うセルモの立川祐路(42)/石浦宏明(36)組(レクサスLC500)が今季初戦の快走に虎視眈々(たんたん)だ。今年はホイールメーカーを「BBS」に変更し、それが2人のクルマ作りの方向性にうまく合っているという。まずは不運なアクシデントで昨年4位に終わった岡山国際サーキットで、2012年以来、6年ぶりの開幕Vをつかみ取って勢いに乗りたい。

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立川&石浦、開幕Vに照準ピタリ

BBSのホイールを履き大混戦から抜け出したいセルモのLC500
BBSのホイールを履き大混戦から抜け出したいセルモのLC500
 公式テストでは岡山国際サーキットの初日に3番手につけた以外、地味なポジションにとどまるセルモだが、今季のクルマ作りでは確実な成果を挙げている。

 「テストでは良い部分も悪い部分もあるが、レベルは上がっている。空力にエンジン、そしてブリヂストンタイヤも」。現実的な立川らしく控えめながら、2年目を迎えたレクサスLC500の進化に手応えは十分だ。

 もちろん今季はホンダNSXや日産GT−Rも進化を果たし、レクサスがシーズン序盤を席巻した昨年のようなアドバンテージはない。「他メーカーのレベルも上がっている。今年は昨年のようにはいかない。大変な戦いになる」と大混戦を覚悟する。

 そんな厳しい状況にあって、今年はプラス要素となる変化があった。ホイールメーカーを「BBS」に変更したのだ。立川は「フィーリングが合ったので」と語るにとどまったが、2月のタイヤテストで初めて試して、すぐに導入を決めたという。コンビを組む石浦は「今年のクルマ作りで、僕らが求めていることとうまくはまった」と説明した。

 レース車両ではホイールの特性が運転にも影響する。高い速度でコーナリングすると、負荷がかかるタイヤがまずたわみ、その次に硬いホイールもたわむという。そのたわむ感触が、ドライバーやクルマの基本的な車体調整の方向によって好みが分かれ、セルモの2人が進める車体調整にはBBSの特性がうまくはまった。

 「今年は開幕戦から3メーカーが拮抗(きっこう)する激しい戦いになるのは避けられない。レクサスは空力もエンジンも進化したが、僕らの武器も使って一歩抜け出したい」と石浦。実力が伯仲しているときこそ、自分たちが求める究極のクルマに近づけられる調整作業が勝負を分ける。

 「開幕戦から優勝を狙っていくが、それはみんなも一緒。少なくとも表彰台には食い込みたい」。立川はそう開幕戦の目標を掲げるが、最終目標は5年ぶりのタイトル奪還であり、自身は通算4回目のGT500王者だ。「自分たちができることを確実に行い、もてぎ(最終戦)に勝負できる状態で挑みたい」と誓った。

 それは石浦も同じ。「今年はハンディも厳しくなるが、夏場のレースがキーポイント。そこで取りこぼさなければチャンピオンが見えてくる」。自身はセルモに移籍して4年目、そろそろSGTでは初めての頂点に立ってみたい。

 進化を果たしたレクサスLC500とブリヂストンタイヤ、そしてBBSという新しい武器を手にしたセルモの2人が暴れ回る。

本格参入5年目

BBSしなやかに激走支える

スバルの井口(左)と山内(右)
スバルの井口(左)と山内(右)
 BBSジャパンは2014年からSGTに本格参入し、今年はGT500クラスの「ニスモ」「B−Max」「ルマン」「サード」「セルモ」、GT300クラスの「R&Dスポーツ」に鍛造ホイールを供給する。

 特徴は「強靱(きょうじん)性」と表現するしなやかさ。極限状態で争うレースの世界でコーナリングをするとき、まず荷重がかかるタイヤがたわみ、その次にホイールがたわむという。その時にBBSのホイールはじわりとたわむようなしなやかさが特徴になっている。

 ホイールを供給するメーカーによって開発思想は異なり、乗り味も大きく変わってくるという。また、車両や装着するタイヤの特性、そしてドライバーの走行スタイルによって好みが分かれ、BBSなどのメーカーはチームの要望に合わせたホイールを供給する。レースの結果でホイールはクローズアップされないが、意外と結果に影響しているかもしれない。

 BBSはドイツのBBSモータースポーツを通じて、F1のフォースインディアを筆頭に世界のレースにホイールを供給している。

BRZ井口&山内、もうひと踏ん張り

300クラスで唯一のBBSユーザーのスバルBRZ
300クラスで唯一のBBSユーザーのスバルBRZ
 GT300クラスで唯一BBSのホイールを履くR&DスポーツのスバルBRZはやや苦戦もよう。岡山の公式テストでは初日に4番手、2日目に7番手タイムを記録するも、富士スピードウェイの2回目テストでは下位に沈んだ。

 チーム在籍6年目の井口卓人(30)=写真(左)=は「今年はクルマ作りの方向性を大きく変え、トップスピードは伸びたが…」と漏らす。弱点を克服するためエンジンのパワーを上げる開発を進めているが、現時点ではトラブルも目立ち生みの苦しみを味わっている。

 コンビを組む4年目の山内英輝(29)=同(右)=は「空力を変えてトップスピードは伸びたが、現状ではコーナリングスピードが落ちて…」。クルマを大きく変えた分、バランスを取る作業に時間を費やしている。

 300クラスでは群を抜く速さを誇る2人。BRZが本来の力を発揮できれば、すぐに上位争い絡めるはず。もうひと踏ん張りだ。