スーパーGT第5戦
スーパーGT第5戦
必勝態勢で富士500マイルに挑むauトムスのレクサスLC500(トヨタ提供)
必勝態勢で富士500マイルに挑むauトムスのレクサスLC500(トヨタ提供)
 スーパーGT(SGT)第5戦は静岡県の富士スピードウェイで5日に決勝が開かれる。今シーズン最長距離の500マイル(約800キロ)で争われ、今季のタイトル争いの行方を左右する大事な1戦だ。GT500クラスの本命はウエートハンディが軽いauトムスの中嶋一貴(33)/関口雄飛(30)組(レクサスLC500)で、GT300クラスは富士でめっぽう強いARTAの高木真一(48)/ショーン・ウォーキンショー(24)=英国=組(BMW・M6)。過酷な真夏の戦いで主役を張る。

GT500

富士の頂点を狙うauトムスの中嶋一貴(左)と関口雄飛(中)(トヨタ提供)
富士の頂点を狙うauトムスの中嶋一貴(左)と関口雄飛(中)(トヨタ提供)
 何としても富士を制したい。今季は流れに乗れず総合12位に甘んじているauトムスが、シーズンで最も過酷な500マイルレースの大駆けを狙う。

 エースの一貴にやる気がみなぎる。「富士では勝つこと以外は考えていない。車は速くなってる。しっかりかみ合わせていきたい」。見据えるのは表彰台の一番高いところだけだ。

 今季はチャンピオン候補に挙げられながら、不運やアクシデントで4戦を終えて表彰台にも上れていない。700キロ以上のレースに加算されるボーナスがある第5戦の富士で一気の巻き返しを狙っている。

 前戦タイ大会(第4戦)でも優勝を狙える力はあった。「鈴鹿(第3戦)辺りから車は速くなっている。タイも勝つつもりだったが、予選で雨にたたられたのが痛かった」と振り返る。走行前に突然降った雨で路面はぬれていたが、予選中に徐々に乾き、雨用タイヤでの走行を続けた一貴は10番手に終わった。これがつまずきの第一歩。

 そしてレースでは大きな試練に見舞われた。一貴が着実に順位を上げて同僚に車を託し、後半を担当した関口が驚異的に追い上げてトップ争いに加わった。何度か首位に浮上するチャンスはあったが、まさかのガス欠症状に見舞われて最終ラップで力尽きた。

鬱憤は富士で晴らす

関口雄飛

得意な富士を疾走するARTAのBMW・M6。第2戦では独走Vを飾った(GTA提供)
得意な富士を疾走するARTAのBMW・M6。第2戦では独走Vを飾った(GTA提供)
 コース脇に車を止めた関口は「悔しすぎる」と天を仰いだが、その鬱憤(うっぷん)は富士で晴らす覚悟を決めた。「(勝てる)確率は高いと思う。ウエートが軽いですから。もちろんタイで味わったこともあるし、今年はまだ表彰台にも上れていない。(気持ちは)プラスαですよ」。今季の沸々とした思いを全てぶつけるつもりだ。

 関口は今季、横浜ゴムのタイヤを装着するバンドウからブリヂストンを履くトムスに移籍した。車はレクサスで変わらなかったが、シーズン当初は異なるタイヤの感触に戸惑うこともあった。「冷えたタイヤのアウトラップとピックアップ(タイヤがコース上のゴムカスを拾う症状)の2つが課題だったが、もう大丈夫」。シーズン前テストなどでは車の挙動を乱すこともあったが、驚異の追い上げをしたタイの激走が証明するよう完全に手なずけた。

後半戦に勢いつける

中嶋一貴

第2戦の富士を制したARTAの高木真一(左)とショーン・ウォーキンショー(GTA提供)
第2戦の富士を制したARTAの高木真一(左)とショーン・ウォーキンショー(GTA提供)
 一貴はトヨタ・ガズー・レーシングのメンバーとして参戦する世界耐久選手権(WEC)で快挙を成し遂げ、6月の仏ルマン24時間レースでトヨタの33年越しの悲願だった初優勝を飾った。一貴自身も2年前のゴールまであと1周で止まった悲劇などあと一歩で優勝を逃し続けた負の連鎖を断ち切った。SGTでも良い流れに乗りたい。

 「いつもと同じ。予選で前に出て逃げるだけ−」。一貴がそう宣言するauトムスが真夏の過酷な戦いを制し、シーズン後半戦に勢いをつける。

得意の富士に自信あり

ARTA BMW・M6 GT300

 GT300はARTAのBMW・M6が優勝候補の筆頭だ。2016年から同車を投入して以来、富士では今年の第2戦まで5戦3勝&2位1回、4度のポールポジションを獲得する群を抜く強さを見せてきた。
 「長いので燃費とかは心配だが、車は富士には合っている。それはぶれないと思う」。エースとしてけん引してきた高木は今季の第5戦にも自信を深める。

 5月の第2戦でもポールtoウイン、他の追従を許さない圧勝だった。「今年のアップデート(改良部品)も悪い方向にはならず、第2戦でも勝てた。ただし、第5戦は長いレースなのでアクシデントやトラブルが心配」という。前戦タイ大会でも優勝争いを繰り広げながら、レース終盤に左後輪がパンクして入賞圏外の11位に終わった。得意なコースでも慢心はしない。

 富士は長いストレートに代表される高速のコース前半部分と、テクニカルなコース後半部分では全く異なる特性を持つ。多くの車はどちらに重きを置くか車体調整に悩まされるが、バランスの良さが魅力というM6はその富士で最も力を発揮する。

 「富士だけはBMWが本当に速い。レースが長いからいろんなことが起きると思うが、大きなポイントも入る。楽しみにしている」

 高木が今年掲げた目標はチャンピオン。そのため全戦入賞を誓った。タイ大会は思わぬ不運で無得点に終わったが、ウエートハンディは52キロ(総合4位)のまま。勝てば25ポイントも入る500マイルの富士に良い状態で挑めることになった。「タイトル争いはここから。このチャンスをしっかりモノにしたい」。いの一番でゴールを切り、2002年以来となる16年ぶりのタイトルに突き進む。