11日スーパーGT最終決戦
偉業に挑むクニミツのメンバー。SFとのダブルタイトルに挑む山本尚貴(右)、チーム初タイトルを狙う高橋国光監督(中)、フル参戦初年度の王者に挑むジェンソン・バトン(左)=初勝利を挙げた第6戦で(ホンダ提供)
偉業に挑むクニミツのメンバー。SFとのダブルタイトルに挑む山本尚貴(右)、チーム初タイトルを狙う高橋国光監督(中)、フル参戦初年度の王者に挑むジェンソン・バトン(左)=初勝利を挙げた第6戦で(ホンダ提供)
 スーパーGTの2018年シーズンは栃木県のツインリンクもてぎで最終戦(11日決勝)を迎える。GT500クラスのタイトル争いはクニミツの山本尚貴(30)/ジェンソン・バトン(38)=英国=組(ホンダNSX)とKeePerトムスの平川亮(24)/ニック・キャシディ(24)=ニュージーランド=組(レクサスLC500)が67ポイントの同点というしびれる展開だ。上位入賞回数の差で首位に立つクニミツの山本はスーパーフォーミュラの王者を5年ぶりに獲得したばかり。2004年のリチャード・ライアン(日産)以来の国内2冠に挑む。

「もう一つ残っている」

初物づくしのタイトル奪取に挑むクニミツのNSX(ホンダ提供)
初物づくしのタイトル奪取に挑むクニミツのNSX(ホンダ提供)
 日本のレース史にその名を刻む時が訪れた。スーパーフォーミュラ(SF)で2度目のタイトルを逆転でつかみ取った山本が、もうひとつの国内最高峰、スーパーGT(SGT)の頂点に挑むことなった。

 「もうひとつ残っている。来週はスーパーGTの最終戦。こちらも何としてでも勝利を収め、チャンピオンに輝けるよう力を出し切って精いっぱい戦いたい」

 10月末に5年ぶりのSF王者を決めた山本は、支えてくれた関係者やファンへの感謝が爆発して涙を流したが、やるべきことは忘れていなかった。元F1ドライバーのバトンとコンビを組むことになり、注目される中でも確実に結果を残してきたSGTの王者だ。

 2005年に始まったSGTと、13年からのSFとの2冠達成はこれまでない。それぞれ前身の全日本GT選手権とフォーミュラ・ニッポンでは2004年にリチャード・ライアン(英国)がダブル制覇しており、実に14年ぶりの快挙達成。

14年ぶり快挙達成へ

 最速を競うフォーミュラカーとSGTなどツーリングカーの両シリーズを同じ年に制するのは簡単ではなく、ライアン以前では03年の本山哲、1997年のペドロ・デラロサ(スペイン)、そして1990年に全日本F3000とグループAと呼ばれた全日本ツーリングカー選手権を制した星野一義さん。山本はそんな歴史的な快挙に挑むことになる。

 F1のスター選手とコンビを組んだ今季は必要以上の緊張を強いられただろう。相棒の人気は極めて高く絶えず多くのファンに見守られることになり、サーキット内の移動にも気を使う場面も数多かった。自分のペースを守ってレース週末を過ごすことにも一苦労したはずだ。

 さらに2人のドライバーで争うSGTは経験の少ないバトンにとってハードルが高い部分もあり、レース中にGT300クラス車両を追い抜くことなど課題は多かった。山本が築いたリードをバトンが失ったり、バトンが失ったポジションを山本がリカバリーする場面も目立った。

「良い走りがしたい」

 しかし、山本は愚痴を漏らすようなことは一度もなく、自らがやるべきをことをやり通した。そんな献身的な努力が開幕戦と第3戦の2位表彰台を導き、9月の第6戦スポーツランドSUGO(宮城県)でのコンビ初勝利につながった。レースでホンダ勢が軒並み後退した10月の前戦オートポリス(大分県)でもチームの結束を呼び、陣営最上位の5位に踏ん張って総合首位で最終戦を迎えることになった。

 「久しぶりにチャンピオンの権利を持って臨める。全ての力を注いで、良い走りがしたい」。自身初めてのSGT王者に就き、2018年の国内レースを山本尚貴で埋め尽くす。

06年2位が最高

 全日本GT選手権時代の1994年から参戦を続ける「チームクニミツ」が初めてのタイトルに挑む。これまでのベストリザルトは2006年の2位(セバスチャン・フィリップ/細川慎弥)で、山本と伊沢拓也がコンビを組んだ15年にも3位を獲得している。高橋国光総監督は「山本、バトン両選手のコンビでチャンピオンになれたら、多くのレースファンのみなさんがうれしく思ってくれるでしょうから、そんな結果を残せたらいいなと思います」と話す。悲願達成なるか−。