最終戦もてぎGT300
GT300クラスの首位に立つARTAのBMW・M6(GTA提供)
GT300クラスの首位に立つARTAのBMW・M6(GTA提供)
 GT300クラスはARTAの高木真一(48)/ショーン・ウォーキンショー(25)=英国=組(BMW・M6)が独走状態で最終戦を迎えた。総合2位につけるレオンの黒澤治樹(41)/蒲生尚弥(28)組(メルセデスAMG)に12ポイント差をつけており、同3位apr31号車の嵯峨宏紀(35)/平手晃平(32)組(トヨタプリウス)には14ポイント差。ライバルの成績にかかわらず3位以上でゴールを切れば戴冠だ。

首位独走

不運続きで初タイトルが遠のいてしまったaprのプリウス(トヨタ提供)
不運続きで初タイトルが遠のいてしまったaprのプリウス(トヨタ提供)
 待ち望んだタイトルはもう目の前だ。混戦必至のGT300では珍しく後続に大差を築いたARTAが、同クラスでは16年ぶりの戴冠に王手をかけている。

 「確かにチャンスなんですが、いろいろと考えるとそんなに甘くないんじゃないかと…」

 2001年からARTAのGT300クラスをけん引するベテランの高木真一は慎重だ。周囲から見れば圧倒的な差を築いているように映るが、「何が起きるか分からない。相手が勝って、こっちが沈んでしまえば…。切迫した状況だと思う」と漏らした。

 無理もない。これまで何度なく最終戦決着に持ち込みながら、ことごとく敗れてきた。16年前に頂点に立ってからは、総合2位が3度、同3位は1度、同4位も2度。あと一歩に泣き続けてきたのだ。

 必勝を期する今年はアプローチを変えた。「ずっと目の前のレースに勝とう−と前ばかり見てきたが、今年は一歩引いて無理をしない戦い方に変えたら、この結果につながった」。のるかそるかのぎりぎりの戦いから、リスクを排除して戦うことで安定した成績を残すことができた。

 乗り込むBMW・M6の車両特性に合った富士スピードウェイ(静岡県)では今季開催した2大会をきっちり制した。そして車両との相性が悪い鈴鹿サーキット(三重県)とアクシデントに見舞われたタイ大会(チャン国際サーキット)以外は着実にポイントを重ねてリードを築いた。

 特に10月の前戦オートポリス(大分県)では、予選で失敗して22番手に沈みながら、決勝で驚異的な追い上げで4位に食い込んだ。参戦2年目で成長著しいショーン・ウォーキンショーも「素晴らしいレースができた」と自画自賛。この粘り強い戦いぶりがタイトル争いを有利にした。

 それでも数々の苦汁をなめてきたベテランの高木は気を緩めない。「オートポリスの展開は予想していなかった。タイヤがコンディションに合い、戦略も決まった結果だが、これは僕ら以外にも起きること」。神懸かった戦いでタイトルに王手をかけたが、ライバルに神が降臨することだってある。

 今季はことあるごとにタイトル獲得を目標に掲げ、あえて口に出してアピールしてきた。「何が起きるか分からない。気を引き締めて、油断しないように−」。目標を達成するゴールを切るまで、チームも高木も気を張り詰める。

プリウス初戴冠へ 嵯峨&平手諦めん

最後に一花咲かせたいグッドスマイルのメルセデスAMG(GTA提供)
最後に一花咲かせたいグッドスマイルのメルセデスAMG(GTA提供)
 タイトルを意識してシーズンを過ごしてきたaprの31号車だが、前戦オートポリスの不運が重くのし掛かる。予選アタック中に赤旗となって最下位に転落、そこから必死に追い上げたものの10位が精いっぱい。加算できたのはたった1ポイントに止まり、それが首位との14ポイント差につながった。

 例えポールtoウインを決めても、ARTAが4位に入ったら万事休す。それでもドライバー2人は諦めない。嵯峨は「最終戦では最善を尽くす」と力を込め、コンビを組む平手も「得意のもてぎでしっかり優勝し、あとは他の結果を待ちましょう」。参戦7年目となるプリウスの初戴冠に向け、最後までやるべきことをやり遂げる。

昨年逆転V…得意舞台で逆転狙う

奇跡の大逆転に挑むレオンのメルセデスAMG(チーム提供)
奇跡の大逆転に挑むレオンのメルセデスAMG(チーム提供)
 総合2位で得意なもてぎに挑むレオンだが、初タイトル奪取には厳しい状況であることを覚悟する。黒澤は「頑張るとしか言えない。レースは何が起きるか分からないことを信じて−」と自らを奮い立たせた。

 前戦オートポリスでは予選12番手から5位まで盛り返したが、最後に総合首位のARTAに抜かれてしまった。そのため総合順位は4位から2位に上がったものの、首位との差は逆に12ポイントまで開いてしまった。

 もてぎは昨年3番手スタートからタイヤ2本交換作戦で逆転優勝を飾った得意なコース。チーム設立6年目を迎えた今年はここまで全戦入賞のしぶとい戦いを続けてきた。何としても昨年の総合2位を上回りたい。

昨季王者谷口&片岡、最後に一花咲かすぞ

今季3勝目を挙げて奇跡の逆転を狙うKチューンズのレクサスRCF(トヨタ提供)
今季3勝目を挙げて奇跡の逆転を狙うKチューンズのレクサスRCF(トヨタ提供)
 〇…昨年のGT300王者、グッドスマイルの谷口信輝(47)/片岡龍也(39)組(メルセデスAMG)は首位から15ポイント差で最終戦に挑むことになった。総合2位で挑んだ前戦オートポリスで首位ARTAとの13ポイント差を少しでも詰めるギャンブルに打って出たが、空振り。無得点に終わったことで、総合4位に後退してしまった。片岡は「赤に限りなく近い黄色信号になってしまいました。ただ、最終戦は得意なもてぎなので、一花咲かせます!」。最後まで意地を見せる。