スーパーGT開幕特集(GT500)
納得のテストを過ごしたクニミツのジェンソン・バトン。開幕戦Vを狙う
納得のテストを過ごしたクニミツのジェンソン・バトン。開幕戦Vを狙う
 スーパーGTの2019年シーズンが岡山県の岡山国際サーキット(14日決勝)で開幕する。昨季はフル参戦初年度だったクニミツの元F1ドライバー、ジェンソン・バトン(39)=英国=が山本尚貴(30)とのコンビでGT500クラスの初タイトルを獲得した。オフシーズンに行われた2度の公式テストではいま一歩の結果だったが、今季も狙うのは頂点のみだ。乗り込むホンダNSXは昨季、年間トップ3に2チームを送り込む快進撃。今年も開幕戦から暴れ回る。

ホンダ今年も快進撃

バトンを引っ張る同僚の山本尚貴
バトンを引っ張る同僚の山本尚貴
 主役は渡したくない。F1を2009年に制した底力を見せたバトンはフル参戦初年度でGT500王者に就いたが、連覇を狙う今年も開幕戦から弾みをつけたい。

 「オカヤマ(岡山国際サーキット)はウエートハンディがない。まずは良いレースをしたいね」

 好成績を残すとウエートが加わるSGTでは、シーズンを独走するのはほぼ不可能。まずはウエート搭載がなく、クルマが持つ本来の力が発揮できる開幕戦を取り、シーズンを通した戦いを有利に進めたいところ。昨季も2位表彰台を獲得する滑り出しだった。

 3ポイント差で競り勝った昨季同様に今季も大混戦を予想する。現在の車両規則が最後の3年目を迎え、ホンダNSX、レクサスLC500、日産GT−Rとも熟成の域に入って戦闘力に差がなくなった。「ライバルは速い−がテストでの印象かな。オカヤマでインパル(GT−R)が速く、富士ではルマン(LC500)も速かった。ダンロップタイヤも速いし、ヨコハマのロングランペースも良かった」。

開幕ダッシュでタイトル争いの主導権握る!!

 岡山国際の第1回公式テスト(3月16、17日)、富士スピードウェイ(静岡県)の第2回公式テスト(3月30、31日)ともベストタイムは伸びず。ライバル陣営を警戒するとともに、GT500にタイヤを供給する4メーカーの実力が拮抗(きっこう)していると強調した。

 今季はSGTの活動に集中できるスケジュールを組んだ。並行して参戦する世界耐久選手権の活動を6月のルマンまで休止し、今オフはSGTのメーカーテストにも積極的に参加した。F1での実績はあるが、SGTの戦い方は全く別物。クルマやタイヤを理解するため、納得いくまで走り込むやり方を選んだ。

「速い印象」ライバル陣営警戒

 「チャンピオンにはなれたけど、何も変わらない。GTは誰にでも勝てるチャンスがある。それが面白い。開幕戦を迎えないと、誰が速いかなんて分からない」

 無我夢中で戦った昨季より、じっくりとシーズンを迎えた今季はまわりが良く見える。「テストではロングランに好感触を得ていたが、ショートランはどうも良くなかった。でも、レースは何が起きるか分からない。(僕らに)良い方向になることを期待している」。穏やかな表情で開幕を迎えるバトンに自信がにじむ。

山本「常にチャレンジャー」

 クニミツ連覇のカギを握る山本だが、開幕までのテストでは思うようにNSXを仕上げられなかったという。「ライバル勢の方がスピードがあるように見ている。われわれがセットアップを含め順調に物事を進められていない方が正しいかと」。バトンも指摘したように、2回の公式テストでは車体調整が思うように進まなかったようだ。

 ただし、シーズンが始まる前に白旗を揚げるわけがない。初タイトルを獲得した昨季も、ライバルと厳しい戦いを繰り広げながらチームの総合力を上げていった。

 「連覇のかかる大事なシーズンですが、常にチャレンジャーの気持ちを持って、チームとJB(バトン)と力を合わせていきたい」。昨季同様にバトンを引っ張り、ゼッケン1を背負ったNSXを栄光のゴールに導く。

◆ARTA・伊沢

 昨季唯一の年間2勝を挙げながらランキング3位に終わったARTAの野尻智紀(29)/伊沢拓也(34)組(NSX)も、今季のタイトル奪取に力が入る。テストではじっくりと車体調整を進めていった。

 参戦13年目のベテラン伊沢は「昨年良かった部分を残しつつレースで強いクルマに仕上げていった」と説明する。テストでは一発のタイムを追うのではなく、長丁場のレースで力を発揮できる勝負強いクルマ作りを目指した。

 コンビを組む野尻は「より実戦的なテストをしたい」と2度の公式テストで漏らした。第1回の岡山は天候に恵まれず、第2回の富士も冷え込みが厳しく、なかなか本番を見据えた作業ができなかった。しかし、それはライバルも一緒。テストでやり切れなかったところはあっても、シーズン開幕はやってくる。

 「タイヤ選択をやり切れてないが、昨年の開幕よりも状態は良い。自分たちがやれることをしっかりやるだけ」。チームは12年ぶり、自身は初めての王者に挑む伊沢の言葉に力がこもった。


◆ナカジマ・牧野

 〇…ナカジマからSGTのフル参戦デビューを控える牧野任祐(21)がまずまずのテストを過ごした。第2回の富士では初日の2回目に3番手タイムを記録。GT500では唯一のダンロップタイヤを装着しているためデータ収集に苦戦しているものの好感触をつかんだ。2016年にはスポット参戦して2位表彰台に上っているが、今年は新しい挑戦。自身のツィッターに「2日間の富士。確実に進歩を感じることができた。次はいよいよ開幕戦、岡山です」と力強く話した。

◆リアル・塚越

 〇…リアルは3年間在籍した小暮卓史(38)に代え、ナカジマからベルトラン・バゲット(33)=ベルギー=を迎えて在籍12年目の塚越広大(32)とコンビを組むことになった。塚越は「小暮さんには感謝していますが、新しい風が入ってリフレッシュ。(レースに)勝つだけでなくチャンピオンを取れるチームに成長したい」と決意を語る。昨季は開幕戦を制する最高のスタートを切ったが、第2、3戦の無得点が響いてランキング7位。新しい相棒としぶとく戦い抜く。