スーパーGT特集(GT500)
セルモのレクサス
セルモのレクサス
 スーパーGTのGT500クラスにレクサスLC500で参戦するセルモが異例の体制になった。ドライバーの立川祐路(43)がチーム総監督を兼務し同僚の石浦宏明(37)も運営会社の取締役に就任。チーム首脳の2人がコースで直接ライバルと火花を散らすことになった。岡山県の岡山国際サーキットで開かれる開幕戦(14日決勝)が新体制のデビュー戦。結果に対する責任もより重くなり、6年ぶりのタイトル奪還に突き進む。

チーム首脳 直接バトル

セルモの取締役となった石浦宏明(左)とチーム総監督に就任した立川祐路。責任をズシリと感じる。
セルモの取締役となった石浦宏明(左)とチーム総監督に就任した立川祐路。責任をズシリと感じる。
 レクサス陣営を引っ張るセルモが進化した。ドライバー2人がチーム運営に直接関わることになり、全ての物事がスムーズに進み総合力も高まった。

 「みんなで力を合わせて頑張ろう−というかたちでこの体制になった。チームがひとつになって結果を出したい」

 総監督を兼務する立川は新しいチャレンジに意欲を見せる。セルモの卜部治久オーナーから打診された時には「ドライバーとして走るし、両立は難しい」と悩んだが、全スタッフの中でチーム最古参となり、これまでも中心になって問題を解決してきたこともあって承諾した。

 レース中の難しい判断などは、絶大な信頼を寄せる村田卓児エンジニアに任せるという。「監督はレースをするまでの準備が仕事。始まってしまえばエンジニアが決めるもの。もちろん責任は僕が取ります」。レース週末が始まれば、歴代2位の通算18勝を挙げているドライバーとしての仕事に専念する。

「本当に言い訳ができない」

 オーナーから取締役に指名された石浦は「まさかこんな展開になるとは−」と驚いたという。それでも「2人で力を合わせて頑張ってほしい」という要望を受け入れ、ドライバーとして現役の現在は控えめな活動になるが、チームを強くするという目標を裏方として支える覚悟を決めた。

 石浦は「現場の自分たちが良くしなければ−というプレッシャーもあるが、受け身だった部分も積極的にアイデアを出すようになった」。立川総監督を中心にした新体制に前向きだ。

 クルマの仕上がり状況も順調という。石浦は「例年以上にライバルメーカーも手ごわそうだが、勝つために2度のセパンテスト(マレーシア)、5度の国内テストをこなしてきた。開幕戦が楽しみ」と力を込めた。岡山国際で開かれた第1回公式テスト(3月16、17日)でも総合4番手を記録。戦える状況に整えてきた。

 「監督もドライバーもするので、本当に言い訳ができない。でも、結果を残すためにこの体制にしたのだから」。総監督としての責任を両肩に背負う立川は、2013年以来のタイトル奪還を見据えた。

ルマン 山下が加入

 レクサス勢の中で最も充実したオフシーズンを過ごしたのは、山下健太(23)が新加入したルマンだ。在籍9年目の大嶋和也(31)とのコンビで、2度の公式テストで速さをアピールした。

 大嶋は「シーズンオフはずっと調子が良い。いろんなセットアップ(車体調整)を試し、データもたくさん取れた」と満足そう。今季から加入した阿部和也エンジニアがチーム全体をうまく引っ張っており、速さだけでなく内容の濃いテストを行ってきた。

 バンドウから移籍した山下も好タイムを連発した。「クルマもタイヤもかなり良い。岡山(開幕戦)を勝って、富士(第2戦)も勝ちたい。そのままタイトルも−」。納得できるテストをこなした自信がみなぎる。

 ルマンと大嶋はあと一歩でタイトルを逃した悔しい経験がある。2016年がランキング2位で、17年は同3位。新しい力が加わった今年こそは−の思いは強い。「クルマのバランスが良い。チャンピオンを目標に頑張る」。これまでの悔しさを一気に晴らす。

トムス 「タイトル奪還」へ準備着々

 昨季3ポイント差で連覇を逃したKeePerトムスの平川亮(25)/ニック・キャシディ(24)=ニュージーランド=組は、富士の公式テスト最終日を3番手で締めくくった。オフシーズンテストの内容は濃く、2回の公式テストでは4日間で445周もの走り込みを行った。目標の「タイトル奪還」に向け着々と準備を進めている。

 一方、auトムスは関口雄飛(31)が岡山の公式テストで総合3番手タイムを記録。富士ではタイヤ選択の作業と、第2戦にスポット参戦する宮田莉朋(19)の習熟に充てたが、「開幕戦までにやるべきことは全て終え、準備万端で迎えることができる」と成果を強調した。

 今年も2台体制を敷くトムスは、互いに切磋琢磨(せっさたくま)してタイトルを狙う。



◆バンドウ・坪井

 〇…バンドウからGT500にフル参戦デビューする坪井翔(23)は、2回の公式テストでレクサスLC500を少しずつ自分のモノにしていった。富士の公式テストを終えると「いろいろと見えてくるものが多く実りあるテストになった。時間を有効活用して開幕に備えたい」と話した。昨季はサードから代役参戦した第2戦でデビュー戦2位の快挙を達成したが、レギュラーとして戦うのは別。まずは経験豊富な同僚の国本雄資(28)としっかりクルマを作り込みたい。

◆サード・中山

 〇…GT500クラスに初挑戦するサードの中山雄一(27)は、2015年からGT300クラスでタイトルを争った実績が認められての起用だ。「メーカーの看板を背負って戦うクラス。実力を認められてうれしいが、プレッシャーも大きい」と襟元を正した。同僚は元F1ドライバーで、2016年王者のヘイキ・コバライネン(37)=フィンランド。「ヘイキさんは実力も経験も豊富。いろんなことを吸収したい。1戦ずつ積み重ねたい」。恵まれた環境で飛躍する。