スーパーGT特集(GT500)
テストではトップタイムを記録し続けたインパルの日産GT−R
テストではトップタイムを記録し続けたインパルの日産GT−R
 日産GT−Rを操るインパルの佐々木大樹(27)/ジェームス・ロシター(35)=英国=組が完璧なオフシーズンを過ごした。2月末のマレーシアテストから最速タイムを刻み続け、参加したメーカーテスト、第1回公式テスト、第2回公式テスト全てで最速の座を奪った。装着するブリヂストンタイヤの開発が進み、進化したGT−Rの速さも増した。チーム改革を進めた星野一義監督(71)も確かな手応え。開幕戦(14日決勝)ウイナーの大本命だ。

驚速!!ライバルあ然「もっといけた」

絶好調でテストを打ち上げたインパルのジェームス・ロシター(左)と佐々木大樹
絶好調でテストを打ち上げたインパルのジェームス・ロシター(左)と佐々木大樹
 カルソニックブルーに彩られたインパルのGT−Rがハンパない。オフシーズンのテストでは、加入2年目の佐々木が最速タイムを刻み続け、レクサス陣営から移籍したばかりのロシターも最後の公式テストでトップタイムをマーク。圧巻の走りを続けた。

 「チーム改革を進めた成果が出た。こんなに調子が良いのは50年を越えるレース人生で初めて」

 闘将と呼ばれる星野監督も仕上がりの良さに驚くばかり。昨年から「一つずつ弱い部分を消していった」という改革を進め、スタッフの配置換えなどを積極的に進めた結果、チームの雰囲気は見違えるように良くなり、クルマの開発も一気に進んだ。

 圧巻だったのは、開幕戦の舞台となる岡山国際サーキットで開かれた第1回公式テストの初日(3月16日)に佐々木がたたき出したタイムだ。非公式ながらコースレコードを1秒以上も上回る1分17秒167をマーク。ライバル陣営もあっけにとられる驚異的な速さだった。

 驚きのタイムを記録した佐々木だが、「もっといけたと思う。1分16秒9ぐらいは。とにかくクルマの状態がすごく良い。トータルバランスが優れている」。昨季終盤から車体調整の方向性をつかみ、地道に進めてきた作業が今年に入って成果となって現れた。装着するブリヂストンタイヤとの相性も良く、テストでは全チームの中でナンバーワンの仕上がりだ。

昨季雪辱へ24年ぶりタイ取る!!

 昨年末にニスモが開いたオーディションを勝ち抜きインパルのシートをつかんだロシターも、新天地にすっかり慣れた。「ずっと走り込みをさせてもらったので、今ではとても居心地が良い。最後のテストでトップタイムを記録できたのは良かった」。富士で開かれた第2回公式テストで記録した総合トップタイムも自信につながった。

 昨季のインパルは散々だった。1982年から支援を受ける自動車部品関連メーカー「カルソニックカンセイ」の創立80年だったこともあり、チーム一丸となってタイトルを狙ったが、結果は一度も表彰台に上れずランキング12位に低迷。その悔しさを今年は絶対に晴らしたい。

 「カルソニックブルーのクルマは速くなければいけないんだよ。10年間の眠りから覚めたような気分。今年は取る!」。星野監督は1995年以来、24年ぶりとなるタイトル奪還を宣言した。

ニスモ 逆襲の気配

 昨季屈辱を味わったGT−R勢のエース、ニスモが逆襲の気配だ。2度の公式テストでは常に上位タイムを記録し、安定した速さを見せた。

 それでも松田次生(39)は慎重だ。「簡単じゃないと思っている。(ライバルと)同じ土俵の近くまできたが、ふたを開けてみないと分からない」。空力や足回り、車体調整がうまく進んでテストでは戦える状況となったが、開幕戦を迎えなければ本当の戦力分布図は見えてこない。

 ロニー・クインタレッリ(39)=イタリア=とのコンビも6年目。2014、15年にはシリーズを連覇したが、3連覇を狙った16年は最終大会でまさかの逆転を食らって流れを失った。昨季は戦闘力不足も響き、タイトル争いに絡めずランキング8位に終わった。

 シリーズ最多4度の王者を経験するクインタレッリは「いきなり良くなるほど甘くない。ニスモ、ミシュラン(タイヤ供給元)、ドライバー2人が一生懸命頑張っている」。再び頂点に立つまでハードワークを続ける。

“日産・平手”浸透だ

 今オフの話題をさらったのが、平手晃平(33)の日産陣営への移籍だ。トヨタ(レクサス)で2度の王者を獲得した中心選手が他メーカーに移るのは極めて異例だ。

 「お世話になった方も多いので悩みましたが、まだ500で戦いたかった。声をかけていただいたニスモのオーディションを受けました」

 2017年限りでレクサスのGT500シートを失い、昨季は古巣のトヨタ系チーム「apr」からGT300クラスに挑戦したが、総合トップを争いたい気持ちは断ちきれず。16歳から育成選手として支援してくれたトヨタを“卒業”する決断を下した。

 所属するNDDP・B−Maxでは、同じくオーディションを受けたフレデリック・マコビッキ(38)=フランス=とコンビを組む。2013、14年にはホンダ系の童夢からGT500に参戦しており、5年ぶりの復帰は平手同様にメーカーの枠を越えた移籍。「日本に戻ってこれて本当にうれしい。新天地で頑張りたい」とこちらも気分一新だ。

 オフシーズンのテストでは2人のドライバーがGT−Rの特性を探ることからスタート。平手は「戦闘力を秘めているが、ピーキーなところもある。うまくはまったらものすごく速い。それを探っていった」と振り返る。一つずつ階段を上るような作業を進めた。

 「マコ(ビッキ)も僕も監督(田中利和氏)も1年目。焦らず確実に結果を残していきたい」。日産の平手をじっくりと浸透させる。

◆SF経験生かす KONDO

 〇…KONDOも好調なGT−Rの流れに乗り、まずまずのオフシーズンを過ごした。インパルから移籍したヤン・マーデンボロー(27)=英国=も「新しい挑戦だけど、(テストでは)順調にきている」と落ち着いた雰囲気だ。タイヤがブリヂストンからヨコハマに替わったが、ヨコハマが1社供給するスーパーフォーミュラでの経験が生きているという。コンビを組む高星明誠(26)は「まだまだ満足いく仕上がりではないが、開幕戦は全力で頑張る」と力を込めた。