スーパーGT特集(GT300)
17年ぶりタイトルへ
GT300クラスの最多勝更新を狙うKチューンズの新田
GT300クラスの最多勝更新を狙うKチューンズの新田
 GT参戦25年目、最多の通算20勝を挙げているKチューンズの新田守男は今季も好調だ。新人の阪口晴南(19)とコンビを組んで勝利を重ねそうな勢いだ。

 「開幕戦で表彰台の一角に食い込めるよう、晴南をバックアップしていきたい」

 昨季はレクサスRC F+ブリヂストンタイヤの好パッケージを手にし、5年ぶりの勝利を挙げるなど計2勝。成績に波があってランキング6位だったが、今季は17年ぶりのタイトルを見据えている。

 オフシーズンのテストでは「昨年より進めたセットアップ(車体調整)にするため、いろんなメニューをこなした」という。第1回公式テストが開かれた岡山国際サーキットでは好タイムを連発したものの「まだしっくりこない」と、勝てるクルマに仕上げる作業に没頭した。

相棒・坂口の潜在能力引き出す

新田が乗り込むレクサスRC F GT3
新田が乗り込むレクサスRC F GT3
 コンビを組む阪口との差は実に33歳。親子のような関係ながら、潜在能力の高さを認める。「器用なドライバー。結構乗れている。GT500に抜かれる時などの対処方法は経験を積むしかない」。FIA−F4や全日本F3を戦ってきた生きの良い相棒をコントロールするのも、記録更新の役に立つ。

 ただし、2010年までコンビを組んでいた高木真一と並ぶ最多勝には執着していない。「僕が勝ったら真ちゃんが並んでくるし。互いに勝てれば−」。ドライバーの力だけで勝てるわけではないことを、たたき上げの大ベテランは良く知っている。チームの一員として偉業に挑む。

クルマも相棒も変わった

NSXに乗り換え新田との最多勝争いに挑む高木
NSXに乗り換え新田との最多勝争いに挑む高木
 通算20勝で最多勝タイの高木真一はARTAのGT300クラスで19年目(通算22年目)のシーズンを迎える。クルマがホンダNSX GT3に替わり、相棒もフル参戦ルーキーの福住仁嶺(22)に変更。新しい挑戦となった。

 「NSXは最初から気持ち良く走れた。シェークダウン(試走)でもトラブルゼロで、セットアップ作業も進められた」

 新しい愛車は好感触だ。3月上旬に鈴鹿サーキット(三重県)で行ったシェークダウンからトラブルなく走り込め、2度の公式テストで着実な進化を果たした。「(エンジンを車体中央に搭載する)ミッドシップなんでクルマの動きはとても良い」。唯一の課題は、ブリヂストンが初めてNSX GT3用のタイヤを供給するためデータが少ないこと。それも時間が解決してくれる。

 新しい同僚の福住も強力な戦力だ。昨季までF1に併催されるF2を戦った期待の若手。「問題ない。のみ込みも早いし、元々このクラスにいるドライバーじゃない」と高い評価をする。

昨季逃したタイトルに挑む

高木はクルマをホンダNSX GT3に乗り換えた
高木はクルマをホンダNSX GT3に乗り換えた
 昨季は最終戦で悔しい思いをした。ライバルに10ポイント以上の大差を築いて総合首位で乗り込んだが、まさかの失速。16年ぶり2度目のタイトルを逃し、実に4度目の同2位に終わった。今季は新田との最多勝争いもさることながら、あと一歩で逃したチャンピオンを大きな目標に掲げる。

 「クルマのポテンシャルは高いし、この1年しっかり戦えそうだ」。並み居る強敵を打ち負かし、必ずGT300の頂点まで上り詰める。

★開幕戦のQ1は2組制を導入

 GT300クラスは開幕戦の予選Q1(第1ラウンド)に2組制を導入することになった。39台のエントリーがあり、全長が3.703キロと短くテクニカルな岡山国際サーキットではコース上の混雑が予想されるため。昨季の年間順位でA、Bに組分けされ、10分間の予選を行い、それぞれ上位8台がQ2に進出する。2組制は昨年の第6戦SUGO大会以来。

★今季は14車種

 車両バリエーションの豊富さがGT300クラスの魅力の一つ。今季は国際自動車連盟の規則で作られるFIA−GT3が9車種、日本独自のJAF−GTが5車種の計14車種となった。新型車両はアストンマーティン・ヴァンテージ、マクラーレン720S、トヨタ・プリウスPHVの3車種。最多エントリーは日産GT−Rの6台で、メルセデスAMGの4台、ホンダNSXとレクサスRC Fが3台で続く。


◆初のWエントリー KONDO

 〇…KONDOは今季からGT300にも日産GT−RニスモGT3を持ち込み、参戦14年目のGT500と合わせ初めてのWエントリーを果たす。近藤真彦監督(54)は「GT300は簡単じゃないが、最低1勝。2勝はしたい」と意気込む。日産自動車の販社メカニックを毎戦6人投入し、昨季までのスーパー耐久同様に整備士養成専門学校「日産自動車大学校」の生徒がチーム運営に関わる。「みんなの夢を乗せているから−」。マッチのビッグプロジェクトが始動する。

◆伝統ラークカラー マクラーレン

 〇…マクラーレン・カスタマー・レーシング・ジャパンが持ち込んだマクラーレン720S GT3は今季注目の1台。1996年にGT500クラスを制覇したマクラーレンGT−Rをほうふつさせる蛍光ピンクのカラーリングが印象的だ。乗り込む荒聖治(44)は「本来はバランスが良く、安定して速いクルマ。ただし性能調整があるので余裕はない」と漏らした。23年前にはスタッフとして働いていた思い入れのあるクルマ。「まさか伝統のラークカラーに乗れるとは−」と感慨深げだ。