スーパーGT特集
富士のコース特性にぴったり合うARTAのホンダNSX
富士のコース特性にぴったり合うARTAのホンダNSX
 スーパーGTのGT300クラスはARTAの高木真一(48)/福住仁嶺(22)組(ホンダNSX)が、富士スピードウェイで開かれる第2戦で表彰台の頂に狙いを定める。岡山国際サーキットの開幕戦(4月14日)では、クラス最多勝で並んでいたKチューンズの新田守男(52)組(レクサスRC F)に逆転を許して一歩リードされたが、高木は富士で3連勝中。4連勝を飾って再びライバルに肩を並べる覚悟。最多勝争いの第2ラウンドが幕を開ける。

「ウェート軽い状態で戦える」

再びGT300最多勝に並ぶ意気込みの高木真一(右)。ARTAの同僚福住仁嶺(左)もサポートする
再びGT300最多勝に並ぶ意気込みの高木真一(右)。ARTAの同僚福住仁嶺(左)もサポートする
 得意な富士は譲れない。2017年の第5戦から富士では負け知らずの高木が4連勝に狙いを定めた。

 「1−2位の点差も少なく、(富士では)ウエートが軽い状態で戦えるメリットがある。4連勝がかかっているし」

 開幕戦では宿敵に逆転負けを喫したが、レースが途中で打ち切られてハーフポイント。第2戦の富士に搭載するウエートハンディはたった17キロに抑えられ、ランキング首位の新田組とはわずか1・5ポイント差。レースもタイトル争いも十分に戦える状態で迎えられる好機と捉えた。

 富士は大好物だ。昨季までの車両BMW・M6は富士では無類の強さを発揮し、3年間で6戦4勝、2位1回という好成績を残した。今季はホンダNSXに替えたが、3月の公式テストの感触は悪くなかった。装着するブリヂストンタイヤは、もっか富士で5連勝中。心地よい追い風が吹いている感じだ。

 2010年まで12年間コンビを組んでいた宿敵であり、信頼関係もある新田との最多勝争いでは一歩リードを許した。ただし、その1勝は途中打ち切りのレース。「あれはダメでしょう。1勝に入らないよぉ〜。追いついたら言おうかな」。開幕戦のレース直後には得意のジョークで報道陣から笑いを取ったが、富士で並ぶ決意は固い。

 ただし、今季の目標はタイトル奪取のみ。同じ目標を掲げた昨季もランキング首位で最終戦に挑みながら、まさかの失速で戴冠できなかった。サーキットによって得手不得手が少ないNSXを手にした今季は、大きなリスクは背負わず確実に上位入賞を繰り返す戦略を徹底したい。開幕戦も多少の無理をすればトップを守り通せた可能性もあったが、「チャンピオンを考えたレースをした」と必要以上のブロックはしなかった。

 「ライバルも強力だからねぇ〜。どうなるか分からないが、得意な富士はしっかり戦いたい」。最多勝に並ぶ富士4連勝で、ランキング首位にも躍り出る。

新田白旗ムード

開幕戦を制したKチューンズの新田守男(左)が最多勝争いをリードしたが、富士では苦戦を覚悟する。右は同僚の阪口晴南
開幕戦を制したKチューンズの新田守男(左)が最多勝争いをリードしたが、富士では苦戦を覚悟する。右は同僚の阪口晴南
 開幕戦を制して通算21勝としたKチューンズの新田守男は、GT300クラス最多勝の単独首位に立った。ハーフポイントだったため、第2戦のウエートハンディは20キロ。優勝争いに絡める可能性を残した。

 しかし、見通しは芳しくない。「公式テストから富士は厳しかった。得意とする55号車(ARTA)が来ると思う。僕らはノーチャンス」。昨年から施された性能調整の影響で、乗り込むレクサスRC Fは富士が苦手なコースになった。最多勝を争う高木に追い付かれるのを覚悟する。

 コンビを組む阪口晴南も「富士は厳しいと思う。優勝は55号車じゃないですか」と戦う前からお手上げムードだ。ただし、1年を通して考えたら取りこぼしはしたくない。「苦しいなりに1ポイントでも多く取れるよう、新田さんと頑張りたい」。コース上の好パフォーマンス同様に、19歳のルーキーは頼もしい。



◆つちや 恩返しの快走誓う

 開幕戦でまさかのクラッシュ&リタイアに終わったつちやが富士で恩返しの快走を誓う。破損したトヨタ86MCの修理に対し、昨年まで同じクルマを使っていたアップガレージから部品提供の申し出があり、何とか第2戦に間に合わすことができたという。

 土屋武士監督(46)は「僕たちは走ることでしかご恩をお返しできない。頑張って走る。ライバルなのに…。懐の大きさに感激している」と話す。今季からホンダNSXにスイッチしたアップガレージはGT300クラスで順位を争う直接のライバルながら、プライベートチーム同士の“友情”は熱い。

 富士は公式テストで最速タイムを記録した相性の良いコース。装着するヨコハマゴムとオフシーズンに進めたタイヤ開発の成果も出したい。

◆埼玉トヨペット さらなる高みを

 開幕戦で初めての表彰台に上った埼玉トヨペットのトヨタ・マークX MCがさらなる高みに挑む。今季からタイヤをブリヂストンに変更したことに合わせ、車体調整を一から見直したことが躍進を支えた。

 参戦初年度の2017年からチームをけん引する脇阪薫一(44)は「タイヤを替えたが、ここまで早く結果を出せるとは−」と開幕戦で漏らした。トヨタ自動車の販売会社メカニックが車両の整備や開発を行うユニークな挑戦。3位表彰台で努力が報われた。

 ただし、こんなもんじゃない−という気持ちは強い。冷たい雨の中で争われた開幕戦では、車重が軽いことがデメリットになってタイヤがなかなか発動しなかった。薫一の「僕らのパフォーマンスを全然出せなかった。その面では悔しい」という思いを晴らすのは富士しかない。