スーパーGT特集
力を出し切れなかった開幕戦の悔しさを富士山の麓で戦う第2戦で晴らしたいインパルのGT―R=3月の公式テストで
力を出し切れなかった開幕戦の悔しさを富士山の麓で戦う第2戦で晴らしたいインパルのGT―R=3月の公式テストで
 スーパーGTの第2戦「富士GT500kmレース」(5月4日決勝)が静岡県小山町の富士スピードウェイで開かれる。開幕戦(4月14日、岡山国際サーキット)は雨の影響でレースが途中打ち切りの大混乱。全チームともここから仕切り直しだ。GT500クラスではインパルの佐々木大樹(27)/ジェームス・ロシター(35)=英国=組(日産GT−R)が表彰台の真ん中に狙いを定める。オフシーズンのテストで抜群の仕上がりも、開幕戦は3位。装着するブリヂストンタイヤとの相性の良さを生かし、ライバルを打ち破りたい。

インパル必勝

富士で勝利をつかみ取りたいインパルの佐々木大樹(右)とジェームス・ロシター
富士で勝利をつかみ取りたいインパルの佐々木大樹(右)とジェームス・ロシター
 富士では絶対に負けたくない。開幕戦で3位に終わったインパルが必勝の決意で大一番に挑む。

 「テストでもジェームスがトップタイムを記録するなど調子が良かった。富士では確実に優勝を狙っていきたい」

 チームを引っ張る佐々木が決意を込めた。シーズン前のテストでは2月末から最速の座を守り通したが、開幕戦では悪天候とトラブルで力を出し切れず。その悔しさは、第2戦で表彰台の真ん中に立たない限り晴らせない。

 今季は装着するブリヂストン(BS)タイヤとの共同作業が実った。昨季からインパルに加入した佐々木を中心に開発を進め、昨シーズン中盤からテストでは好感触をつかんでいたという。その良い流れをオフシーズンのテストにつなげ、「タイヤはもちろん、セッティング(車体調整)の細かな部分を詰めた。トータルバランスが良くなり、自信を持って走れている」と優勝候補に挙げられるようになった。

 それだけに開幕戦で勝てなかったのは本当に悔しい。予選でロニー・クインタレッリ(39)=イタリア=がスーパーラップを刻んだニスモに敗れたのは受け入れられても、雨に翻弄(ほんろう)された決勝ではリスタートの度に順位を落とし、エンジン不調もあって5番手まで後退。ホンダの同士打ちで3位に繰り上がったが、納得できる結果ではない。

 しかし、佐々木は成果を強調する。「タフなコンディションとなり、トラブルもあった中での3位。チャンピオンを争う上では良かった」という。今季の目標はチームに24年ぶりのタイトルをもたらすこと。苦しみながらも表彰台に上れたことは次につながる。

 目標を達成するには、富士がカギを握る。「23号車(ニスモ)との勝負になると思う。チャンピオンを争うためにも前でゴールしたい」。ニスモとのGT−R対決を力でねじ伏せる。

打倒ニスモへBSもタイヤ一新

 3年連続でチャンピオンチームにタイヤを供給するブリヂストンは、今季も大荒れの展開となった開幕戦をARTAのホンダNSXで制した。タイヤ開発の方向性は基本的にこれまで通り。MSタイヤ開発部の松本真幸設計第2ユニットリーダー(40)は「グリップ(接地力)を上げ、それが長く持続できる開発方針は変わらない。あとはチームごとに味付けを変える作業になる」と説明した。

 オフシーズンのテストでは、BSを装着するインパルがトップタイムを連発した。松本リーダーは「昨年後半からテストでは良いタイムが出ていた。なかなか結果に結び付かなかったが、今年はクルマも良くなったようで。テストの感じでいってほしい」と話す。開幕戦では同じ日産陣営でミシュランタイヤを履くニスモに予選で敗れ、決勝では雨の混乱もあって3位。第2戦の富士ではGT−R対決を制してほしい思いでいっぱいだ。

 ただし、富士で優勝を争うチームの予想は難しいという。「開幕戦の予選結果を見るとGT−Rは速いが、富士は500キロレース。長い距離を走った時にどうなるか見切れていない部分もあるでしょう。昨年のレクサスのようにレースで強い車もあり、各チーム得意な分野がある」。タイヤを供給する3メーカーとも勝機があると分析した。

 ライバルとなるニスモは富士を得意にする。シーズンを通して苦しんだ昨季も富士では第2戦を制し、真夏の第5戦ではポールポジションを獲得した。「ニスモは速いでしょうが、BSも今季はタイヤの構造を新しくして、コンパウンド(ゴム種)も変えた。タイヤとしては一回り以上進化している。うまく結果につなげてほしい」。BSの松本リーダーは打倒ニスモの包囲網を敷く。



◆再度の激走見せる NSX勢

 開幕戦ではレース中にトップ3を独占したホンダNSX勢だが、富士には慎重な見通しを立てる。開幕Vを飾ったARTAの伊沢拓也(34)も「富士はNSXにとって昨年苦手だったサーキット。まずは昨年以上の結果を残せるよう頑張りたい」と控えめ。予選12番手から8位に食い込んだ昨年を上回るのが1つの目標という。

 コンビを組む野尻智紀(29)も「ホンダとして富士をどう戦うかがポイント」。開幕戦はハーフポイントのため第2戦のウエートハンディは連勝も狙える20キロだが、慎重な姿勢を崩さない。

 3月に富士で開かれた公式テストでNSX勢は軒並み下位に沈んだ。それを踏まえた目標なのだろうが、同じように公式テストでパッとしなかった岡山国際の開幕戦では高いパフォーマンスを見せた。良い意味の裏切りが富士でも起こる可能性は高い。

◆大嶋&山下反撃だ ルマン

 開幕戦では良いところなく終わったレクサスLC500陣営は、ホームコースの富士で雪辱を誓う。特に事前テストで好調だったルマンの大嶋和也(31)/山下健太(23)組は絶対にやり返したいところだ。

 3月に富士で開かれた公式テストでは2日目に最速タイムを記録し、これまでにない好感触をつかんだ。大嶋が「多くのデータを蓄積でき中身の濃いテスト」と成果を強調すれば、山下は「開幕2連勝でチャンピオン−」と気勢を上げた。しかし、開幕戦ではレクサス勢が予選から軒並み沈み、ルマンは決勝で雨用タイヤの選択も外れて13位に終わった。

 ただし、このままでは終われない。脇阪寿一監督(46)は「開幕戦は不完全燃焼だが、気持ちを切り替え富士に備える」。必ずテストの勢いを取り戻してみせる。