スーパーGT第3戦鈴鹿特集GT500
鈴鹿は堅実に走り切る戦略を立てる平手晃平が乗り込むNDDPの日産GTーR
鈴鹿は堅実に走り切る戦略を立てる平手晃平が乗り込むNDDPの日産GTーR
 鈴鹿サーキット(三重県)を舞台に争われるスーパーGTの第3戦(26日決勝)を迎え、GT500クラスの日産GT−R、レクサスLC500陣営はダメージを最小限にとどめる戦いを思い描く。コース特性上ホンダNSXの優位が予想され、どれだけ上位に踏みとどまれるかの勝負になるという。そんな中、今季から日産に移籍したNDDP・B−Maxの平手晃平(33)も堅実な戦いを誓う。シーズン終盤にチャンピオン争いをする土台を築くため、確実なポイント獲得を目標に掲げた。

平手「地元で良いところを見せたいが…」

同僚のフレデリック・マコビッキ(左)と日産移籍後初の勝利に挑む平手晃平
同僚のフレデリック・マコビッキ(左)と日産移籍後初の勝利に挑む平手晃平
 愛知県小牧市出身の平手晃平にとって、鈴鹿サーキットはホームコースの1つ。本来なら旧知の知り合いも数多く駆けつけるところで勇姿をアピールしたい。

 「地元なんで良いところは見せたいが、ライバル勢も手ごわそう。無理に表彰台を狙うより、ポイントを確実に取るほうが大事。確実にいきたい」。いつもの強気な発言をぐっと堪え、現実的な目標を掲げた。

 無理もない。10代の育成選手時代から所属したトヨタを離れ、日産に移籍してまだ3戦目。「GT−Rを手足のように扱うことはできるようになったが、セットアップ(車体調整)はまだ開発途上。レースウイークを通して進めている段階」なのだ。

 平手は5月11、12日に開かれた鈴鹿に向けた事前テストに足を運んだが、チームのクルマは不参加。陣営のエース格、ニスモがテストするようすをつぶさに観察していたようだが、その成果を自分が乗るクルマに反映するには少なからず時間がかかるはずだ。

 今季からコンビを組むフレデリック・マコビッキ(38)=フランス=は5年ぶりのSGT復帰ながら、ポルシェワークスの一員として世界耐久選手権などにも出場中。「フレッド(マコビッキ)はルマンが終わればスーパーGTに集中できると聞いている。そこからでしょうね」。仏ルマン24時間レース(6月15〜16日決勝)が終われば、チーム力もぐんと上がるはずだ。

 「富士の500マイル(第5戦、8月4日決勝)で表彰台に上るのが1つのテーマ。そして最終的にチャンピオン争いができるよう、今はしっかり土台を築いていきたい」

 開幕2戦で4、6位に食い込み、選手部門のランキング5位につけている。試行錯誤を続けながらの戦いだということを考えれば上出来だろう。SGTは好成績を残せばウエートハンディが増えていく独特のルール。重点レースを設定するなど1年を通した戦略を練ることはタイトルを獲得する上で欠かせない。平手はレクサス陣営に所属した2013年、16年にタイトルを獲得した経験がある。シリーズを通した戦い方は知り尽くしている。

 開幕2戦の好調を維持したい鈴鹿では「予選Q1、Q2をしっかり戦い、岡山や富士のように確実にポイントを取りたい。それ以上は展開次第で。とにかく自分たちの力は100%出し切る」。第2戦富士では担当したQ1で最速タイムを記録している。NSXの有利が伝えられる中、平手が見せ場を作る。

セルモ、しぶとく走る!

第2戦で2年ぶりの勝利を挙げたセルモのレクサスLC500
第2戦で2年ぶりの勝利を挙げたセルモのレクサスLC500
 4月の開幕戦でつまずいたレクサス陣営で気を吐くのが、第2戦で逆転勝利を挙げたセルモの立川祐路(43)/石浦宏明(38)組だ。チーム体制を一新して挑む大事なシーズン、選手部門の2位で鈴鹿に挑むことになった。

 「NSX勢が速いと予想され、ウエートも重く予選Q1突破も困難な状況と思われるが、決勝のペースには自信がある。しぶとく走って1ポイントでも多く持ち帰りたい」

 今季からチームの取締役に就任した石浦は苦戦を覚悟するものの、諦めるつもりはない。43キロものウエートハンディを背負いながら1ポイントに執念を燃やす。チーム運営にもかかわるだけに例年以上に結果にこだわる。

 チームの総監督に就任した立川も結果に対するこだわりは強い。富士で2年ぶりの勝利を挙げたときには「見たか、新体制でも勝てるんだ!」と雄たけびを挙げた。何が何でもチーム、そして自身も6年ぶりのタイトルを手繰り寄せる強い気持ちで戦っている。

 現役を続けながら総監督に就任することに戸惑ったが、チームスタッフらからの強い要請を受けて引き受けたという。一度腹が決まれば狙うものはたった1つ。「令和初のチャンピオンになって、石浦取締役からボーナスをもらおう!」。いつもジョークが飛び交う明るいムードの新生セルモ。苦戦もようの鈴鹿でも前向きに挑み、確実にポイントを重ねる覚悟だ。

 鈴鹿を迎える石浦は「チーム力でポイント圏内に押し上げられるようなレースをしたい」。選手2人が首脳を務める新体制の底力を見せるチャンスだ。

好調ニスモ、表彰台に照準

苦戦覚悟の鈴鹿だがしぶとく戦うことを誓うセルモの立川祐路(左)と石浦宏明
苦戦覚悟の鈴鹿だがしぶとく戦うことを誓うセルモの立川祐路(左)と石浦宏明
 〇…GT−R勢はエース格となるニスモの松田次生(39)/ロニー・クインタレッリ(39)=イタリア=組(日産GT−R)が開幕から連続2位を記録して選手部門の首位に立つ。クインタレッリは「ここまで予想以上の結果だが、鈴鹿は走ってみないと分からない」と慎重だが、松田は「きっちり表彰台に上ってポイントを取りたい。テストでも悪くなかった」と見据える。ウエートハンディは49キロに達したが、表彰台の一角に狙いを定める。

トムス平川、頑張らねば

鈴鹿の打開策をスタッフと練るトムスの平川亮(左)
鈴鹿の打開策をスタッフと練るトムスの平川亮(左)
 〇…2017年に史上最年少コンビでGT500王者についたKeePerトムスの平川亮(25)/ニック・キャシディ(24)=ニュージーランド=組だが、今季は力を出し切れていない。第2戦富士では予選2番手に食い込む速さを見せながら、決勝ではアクシデントに巻き込まれて7位。ランキングも9位と低迷する。平川は「鈴鹿はNSXが強そうだから頑張らなければ−」と気を引き締める。本来の速さを取り戻しつつあるレクサスLC500を駆り、ライバル陣営に切り込んでいく。
ランキング首位に立つニスモの松田次生(左)とロニー・クインタレッリ
ランキング首位に立つニスモの松田次生(左)とロニー・クインタレッリ