スーパーGT第3戦鈴鹿特集GT300
不運続きの開幕2戦を鈴鹿で跳ね飛ばすつちやのトヨタ86MC
不運続きの開幕2戦を鈴鹿で跳ね飛ばすつちやのトヨタ86MC
 GT300クラスはスーパースポーツカーが覇権を争う華やかな場だ。メルセデスAMGやポルシェ911、アストンマーティンなどの超高級車が居並ぶなか、自動車メーカーなどの支援に頼らないプライベートチームとして奮闘するのが、松井孝允(31)/佐藤公哉(29)が駆る「つちやエンジニアリング」のトヨタ86MC。開幕2戦は雨絡みの悪天候に阻まれ思うような結果を残せなかったが、鈴鹿サーキットで開かれる第3戦では鬱憤(うっぷん)晴らしの独走Vを狙う。

雨に阻まれ苦戦…

つちやの(左から)土屋武士監督、佐藤公哉、松井孝允
つちやの(左から)土屋武士監督、佐藤公哉、松井孝允
 圧倒的な速さを見せつける時が訪れた。開幕2戦で悔しさを味わったつちやの86MCが、雪辱を期す鈴鹿に向けて着々と準備を進める。

 「ノーウエートなんで、みんながびっくりするようなタイムを出せるかもしれない。過去のデータも見直している」

 チームを率いる土屋武士監督(46)は5年目を迎えた86MCのデータを徹底的に見直し、万全の車体調整を模索する。苦手な雨に阻まれ、速さを結果に結びつけられなかった悔しさは、コース上でライバルを圧倒するしか晴らせない。

 つちやは長い歴史を誇る日本を代表するチームの1つ。1971年に父の春雄さん(74)が創業し、市販車ベースのツーリングカーで数々の実績を残した。シリーズの前身、全日本GT選手権でもGT300クラスで2度(98、99年)の王者を獲得。2014年12月に武士監督に代替わりしてSGTの活動を再開し、16年には再びGT300の頂点に立った。

 そんなGT300を代表する名門だが、完全な手作りチームだ。シリーズを運営するGTアソシエイション(GTA)から車体の基本骨格となるマザーシャシーやエンジンなどの提供を受けて開発した86MCは、職人かたぎの春雄さんが毎戦のようにオリジナルパーツを投入して進化させてきた。武士監督は「昔のようにホームセンターで買ってきた物を使ってね」。潤沢な資金はないが、やる気ならどこにも負けないのだ。

 選手も、やる気のある若手を起用する。「自動車メーカーの育成ではない選手らの希望のシートにしたい。昔はこんなチームばかりだったが、気づいたらうちだけ。続けるのが自分の使命だと思う」。今ではF1を含めスポンサーなどを持ち込む選手が多くなったが、つちやの判断基準はやる気と実力のみ。若い選手が夢を持ち続けられるチームとして踏ん張る。

 当然、活動資金はいつもぎりぎり。「今季は最後まで続けられるか微妙だった。みなさんの支援で真っ暗だった先行きに少し明かりが−」。チームを支えるサポーターズクラブのメンバーは200人を超え、昨年メインスポンサーになった飲料メーカー「ホッピービバレッジ」(石渡美奈社長)は支援の強化を決めた。情熱を理解する人々に支えられてきた。

 「うちのクルマが速くなるのは人間が進化するから。孝允と公哉に期待したい」。じっくり仕上げた86MCと、やる気を買って起用する2人のドライバー。チーム一丸となったつちやが鈴鹿で暴れ回る。

一般道ではありえない!スーパースポーツカーど派手バトル

 GT300はクルマ好きにはたまらない。欧州と日本のスーパースポーツカーが勢ぞろい。11メーカーの14車種がコース上でど派手なバトルを繰り広げるのだ。

 最多6台をエントリーするのは、日本が世界に誇る日産GT−RニスモGT3。昨季、大幅な改良が施されて戦闘力が向上し、ゲイナーの平中克幸(37)/安田裕信(35)組が第2戦富士を制して選手部門の2位につける。

 GT−Rをはじめ9車種が国際自動車連盟(FIA)が定めるGT3規定で作られ、トヨタ86MCなど日本独自の規定で作られるJAF−GTの5車種と争う図式。各車は基本的に市販車の延長線上のためエンジンも排気量が大きく異なり、自然吸気やターボで過給する車種などさまざま。それをコースごとにバランス・オブ・パワー(BOP)と呼ばれる性能調整を施し、戦力の均衡化を図っている。

 そのためトヨタの86やプリウスなどが、メルセデスやポルシェと渡り合う一般道ではあり得ないシーンが生まれる。好成績を挙げるとウエートハンディが増えるため、庶民でも手が届きそうなクルマが超高級スポーツカーをぶち抜く時も。柔よく剛を制する−ではないが、他では見られない戦いが繰り広げられる。