新型コロナ禍で約3カ月遅れの初戦は無観客開催
ホンダNSXはミッドシップからFRに変更
6月の公式テストで抜群の仕上がりをみせたクニミツのホンダNSX(GTA提供)
6月の公式テストで抜群の仕上がりをみせたクニミツのホンダNSX(GTA提供)
 新型コロナウイルスの感染拡大で延期されたスーパGT(SGT)が、3カ月遅れで開幕戦「たかのこのホテル FUJI GT300km RACE」(19日予選&決勝)を迎える。舞台は変則日程のため今年4戦を予定する静岡県の富士スピードウェイで、ウイルスの感染防止策として無観客で開催される。今季はGT500クラスが、ドイツツーリングカー選手権(DTM)との統一車両規則「CLASS ONE(クラス1)」で作られた車両に一新。トヨタ、ホンダ、日産が新型車両を投入し、新たなスタートを切る。

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【GT500クラス】

 新型車両が出そろった今季のGT500クラスは、ホンダNSXが注目の的になりそうだ。クラス1規定に合わせ、昨季までの車体中央にエンジンを搭載するミッドシップレイアウトから、他陣営と同じフロントエンジン/リア駆動のFRレイアウトに変更。“大手術”をしたことで、車体の最終調整に手を焼くと思われたが、6月末に富士で開かれた最後の公式テストでは初日、2日目ともトップタイムを記録する速さを見せた。

 総合トップにつけたのは2018年王者のクニミツだ。タイムを記録した新加入の牧野任祐は「優勝して開幕ダッシュを決めたい」と力を込める。雨が降っていた2日目午前も最速を記録し、クルマの仕上がり状況は上々のよう。コンビを組むホンダ陣営のエース格、山本尚貴も「(テストで)開幕戦に向けた手応えを感じられた。さらに進化させ、チーム一丸となって戦いたい」と開幕Vを取りに行く。

 NSX勢はARTAが2日目最速(総合5番手)を記録し、リアルも総合3番手。3月に岡山国際サーキットで開かれた第1回公式テストの内容はいま一歩だったが、新型コロナの自粛期間にクルマを仕上げたホンダ陣営が、シーズン序盤をけん引しそうな勢いだ。

トヨタは15年ぶりにスープラが復活

安定した速さをアピールしたauトムスのトヨタ・スープラ(GTA提供)
安定した速さをアピールしたauトムスのトヨタ・スープラ(GTA提供)
 15年ぶりに復活するトヨタ・スープラ勢も安定した速さが光る。auとKeePerのトムス2台がNSX勢と互角に渡り合ってテストの上位につけ、昨季、初王者を獲得した大嶋和也を迎えた新チーム、ルーキーもレースを見据えたロングランで安定していた。

 最後の公式テストで総合2番手タイムを記録したauのサッシャ・フェネストラズは控えめな目標を掲げる。「開幕戦を勝ちたいけれど、安定して良い成績を残すことが今年の目標。最初のシーズンだし、しっかり学びながらポイントを重ねていきたい」。周囲も驚く速さを見せるGT500ルーキーは、1年を通した戦いを見据えていた。

日産は正常進化版のGTーRで勝負

テストではトラブルが出たものの本番での巻き返しを狙うニスモの日産GT―R(GTA提供)
テストではトラブルが出たものの本番での巻き返しを狙うニスモの日産GT―R(GTA提供)
 公式テストでトラブルが出て苦戦模様の日産GT―R勢も、このまま新しいシーズンを迎えるわけではない。車両は一新されたが、昨季からの正常進化版。一つずつ問題をつぶしていけば、必ずタイトル争いに絡んでくるはずだ。

 シリーズ最多、4度の王者を経験するニスモのロニー・クインタレッリも逆襲を思い描く。「ライバルらはすごく速いが、自分たちが持っているものをしっかりまとめて戦いたい。富士は良い思い出のあるサーキット。集中して準備を進めていく」。数々の好結果を残してきた得意なコースで、大駆けを狙う。

 今季は新型コロナの影響で変則日程となり、富士で4戦も開かれる。開幕戦を制したチームが、シーズンの流れをつかみ取りそうな予感だ。

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GT300は今年も大混戦…グッドスマイルが一歩リードか

3年周期の当たり年、タイトル奪還を狙うグッドスマイルのメルセデスAMG(GTA提供)
3年周期の当たり年、タイトル奪還を狙うグッドスマイルのメルセデスAMG(GTA提供)
【GT300クラス】

 14車種、30台が年間エントリーするGT300クラスは今年も大混戦が予想される。公式テストまでの仕上がり状況では、グッドスマイルの谷口信輝/片岡龍也組(メルセデスAMG)が一歩リードしているような雰囲気だ。

 今年は3年ごと(2011、14、17年)にタイトルを獲得している“当たり年”。6月末に富士で開かれた公式テストでは、初日が2番手で2日目も3番手。安定した速さが群を抜く。谷口は「久しぶりのGTカー。ブランクも何のその。全然なんともなく速かった」と自身の好調さもアピール。4回目のタイトル奪還に狙いを定める。

 富士で最速タイムを記録したのは、R&Dスポーツの井口卓人/山内英輝組(スバルBRZ)。昨季まではトラブルに悩まされることも多かったが、今年は違う。山内は「2日間トラブルなく走れたのに成長を感じられた。自分の走りも攻めていきたい」。久しぶりに暴れ回りそうな勢いを感じさせる。

 新型車の投入で注目されるのは、トヨタ・スープラを自社開発した埼玉トヨペット。車両製作会社の力を借り、一から作り上げたJAF―GT車両だ。所属2年目の吉田広樹は「パッと乗って、そこそこ走れた」と素性の良さに満足そう。テスト最終日を4番手で締めくくっており、台風の目になる可能性を秘めている。

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FCY規則が導入

 ★規則変更 今季からF1などでバーチャルセーフティーカーと呼ばれるフル・コース・イエロー(FCY)規則が導入された。コース上に車両が止まった時などに車両内でFCYが表示され、全周が追い抜き禁止となって時速80kmに制限される。セーフティーカー(SC)を導入するほどではないと判断された時に提示され、運営のスピード化と安全性の向上が目的。また、SC導入時のピットインに関する規則も変更された。GT300クラスはウエートハンディ制度の運用方法が変更され、1〜6戦は1ポイントに対して昨年までの2キロから3キロに変更。最大100キロは変わらない。