FIM世界耐久選手権最終戦 決勝
表彰式の中央で3連覇を喜ぶヤマハの(左から)ローズ、中須賀、ファンデルマーク、吉川監督。左は2位カワサキグリーンのカマルザマン、渡辺、ハスラム。右は3位TSRのエガーター、ドゥプニエ、フック
表彰式の中央で3連覇を喜ぶヤマハの(左から)ローズ、中須賀、ファンデルマーク、吉川監督。左は2位カワサキグリーンのカマルザマン、渡辺、ハスラム。右は3位TSRのエガーター、ドゥプニエ、フック
 【三重県・鈴鹿サーキット ペン=田村尚之、遠藤智、佐藤洋美 カメラ=河口貞史、大橋脩人】 中須賀克行(35)がエースライダーとして引っ張るヤマハ・ファクトリー・レーシング(YZF−R1)が3位以下を周回遅れにする圧巻の速さで、陣営初の3連覇を達成した。中須賀は日本人選手初の3連覇。2位にカワサキ・チーム・グリーンの渡辺一馬(27)組(ZX−10RR)が入り、3位はTSRのドミニク・エガーター(26)組(ホンダCBR1000RR・SP2)。世界耐久選手権(EWC)のタイトルは11位でゴールしたGMT94ヤマハのダビド・チェカ(37)組(YZF−R1)が逆転で獲得した。 (観衆=7万4000人)

3位以下周回遅れ

序盤、トップ争いをするヤマハのA・ローズ、(手前)とハルクプロのJ・ミラー
序盤、トップ争いをするヤマハのA・ローズ、(手前)とハルクプロのJ・ミラー
 王者の底力だ。序盤こそハルクプロとマッチレースを繰り広げたヤマハファクトリーだが、スタートから3時間を待たずに独走状態に持ち込んだ。バイクは壊れず、3人の選手はミスを犯さない。8時間の長丁場で、昨年に続き3位以下を周回遅れにしてみせた。

 「もう最高! この素晴らしい景色を見るために頑張ってきた。みんなの応援と、強力な2人のライダーがいたことが記録につながった」

 表彰台の真ん中で喜びを爆発させた中須賀は、真下を埋めたファンに感謝の思いを伝え、こだわっていたヤマハ初、そして日本人選手初の3連覇達成を喜んだ。

記録にこだわった

 中須賀は記録にこだわってきた。全日本ロード選手権のJSB1000クラスでは昨年前人未到の5連覇を達成し、通算7回も王者に立った。多くの選手が日本で好結果を残すと海外への飛躍を夢見るが、「ヤマハのモトGP開発テストや8耐車両の開発が自分の使命」と言い切る。全日本を戦うかたわら、ヤマハのロードレース世界選手権のモトGP車両や全日本、そして8耐を戦うバイクの開発を1人で担ってきたことに誇りを持つ。そしてレースでの好結果は、自らの仕事が正しかったことの証しだ。

ローズ最速タイム

 チームも万全の準備を進めた。今大会の技術的なキーポイントになった16・5インチフロントタイヤの選択も、いち早く4月には決めていた。EWCの16−17年シーズン最終戦の8耐は、今季から導入された17インチタイヤと16・5インチを選択でき、ヤマハは2連覇という実績を選んだ。それが予選からライバルにつけいるすきを与えず、決勝では同僚のアレックス・ローズがレース中最速タイムのレコードを更新する2分6秒932というタイムを記録したことでも実証した。

 また、今年から加入したマイケル・ファンデルマークには、中須賀が作り上げたYZFの感触を少しでも早く体験させるため、6月末に大分県・オートポリスで開かれた全日本JSBの第4戦にスポット参戦させた。レースでの結果は残らなかったが、その後に始まる8耐合同テスト前に予習をさせる周到さが、3選手にタイム差がない強いチームを作り上げた。

 2連覇を達成した昨年、吉川和多留監督が宣言したヤマハ黄金時代の到来は、史上初の3年連続ポールtoウインで証明した。

 ★3連覇 中須賀が日本人で初めて達成した。1993〜95年にアーロン・スライト(66年生まれ、ニュージーランド)が行っているが、同一チームではなかった。チームとしては過去に「チーム・キャビン・ホンダ」が2000〜02年に3連覇。しかしヤマハの3年連続ポールtoウインは史上初。昨年の記録を更新した。


 【お詫び】7月31日配信時点で、2枚目の走行写真の説明を「ヤマハの中須賀(手前)とハルクプロの高橋巧」としましたが、ヤマハはA・ローズ、ハルクプロはJ・ミラーでした。お詫びして訂正いたします。