熱戦を支え続けて25年
山田宏GM推進部課長が思い出振り返る
2004年の第7戦リオGPでブリヂストンのモトGP初勝利を挙げた玉田が、第12戦日本GP(もてぎ)でも勝ってガッツポーズ
2004年の第7戦リオGPでブリヂストンのモトGP初勝利を挙げた玉田が、第12戦日本GP(もてぎ)でも勝ってガッツポーズ
 1991年からロードレース世界選手権(WGP)にタイヤを供給してきたブリヂストン(BS)が今季限りでWGPから撤退する。その25年間のうち、最後の7年は最高峰モトGPクラスをBS1社で支えてきた。今週のシリーズ第15戦日本GP(11日決勝)はBSにとって最後の母国戦となる。同社の山田宏グローバルモータースポーツ推進部課長(56)がもてぎのタイヤ特性を解説するとともに、25年間の思い出を語ってくれた。

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 2002年にモトGPにチャレンジを開始したブリヂストン(BS)は、04年のリオGPで玉田誠(ホンダ)が初優勝を達成、07年の日本GPでケーシー・ストーナー(ドゥカティ)がBSタイヤを装着したライダーとしては初のシリーズチャンピオンに輝いた。
凱旋勝利を喜んだ玉田(中)、2位はバレンティーノ・ロッシ(左)、3位が中野真矢と懐かしい表彰台
凱旋勝利を喜んだ玉田(中)、2位はバレンティーノ・ロッシ(左)、3位が中野真矢と懐かしい表彰台
 ミシュラン、ダンロップとの厳しいタイヤ競争時代を経て、09年からはBSの1社供給となり、これまでモトGPの厳しい戦いを支えてきた。そのBSが今年を最後にモトGPへのタイヤ供給に終止符を打つことになった。

 そして今回が最後の日本GPとなるのだが、長年現場で指揮を執ってきた山田宏グローバルモータースポーツ推進部課長は「1991年に125ccでグランプリにチャレンジを開始してから25年が過ぎようとしている。125cc時代は、30勝ぐらいしたけれど、タイトルを獲得することはできなかった。そして、02年にモトGPにチャレンジを開始したときには、BSとして総力を挙げて挑んだ。当時、500ccではミシュランが圧倒的に強かったし、われわれから見れば、雲の上の存在だった。そのミシュランに勝とうと5年計画で挑み、予定より少し遅れたけれど、07年にタイトルを取ることができたのはうれしかった」と振り返った。

 タイヤ競争が激しかったころは、負ければタイヤのせい、勝てばタイヤのおかげと言われた。タイヤメーカーにとっては、本当に厳しい時代だった。

 「やりがいはありました。負けたときは本当に悔しかったし、その分、勝ったときの喜びも大きかった。タイヤメーカーのコンペ時代、そして1社供給時代を含めて、技術者として、それぞれの時代の難しさはあるけれど、最高に面白いと言われるモトGPの戦いに貢献できたかなと思う。今年でとりあえずブリヂストンのモトGPへのチャレンジは終わりますが、やるべきことはやった。だから悔いはありません」
07年日本GP、BSライダー初のチャンプに輝いたストーナー
07年日本GP、BSライダー初のチャンプに輝いたストーナー
 そして、この25年間で印象に残るライダーは多数いたというが、「その中でもストーナーの強烈な速さ、ロッシの記憶力の良さと分析の正確さ、そして、ルーキーでチャンピオンを取った新人類のマルケス、タイヤのエッジグリップを使って驚異的なコーナリングスピードで走るロレンソ」の4人の名前を挙げた。「できることなら、この4人のガチンコの戦いを見たかった」と山田さん。

 一番うれしかったレースは、冒頭にも触れているが、04年に玉田が初優勝したリオGP。そして、07年にストーナーがタイトルを決めた日本GP。「あの2つのレースは、忘れられない。本当にうれしかったし、涙が止まらなかった。今年がとりあえず最後の日本GPになりますが、良い天気になってもらって、当分、破られないようなタイムをマークしてもらえたらうれしい」と最後の日本GPへ意気込んでいた。

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WGPのタイヤとともに25年を過ごしたブリヂストンの山田宏さんも最後の日本GPを前に感慨深げだ
WGPのタイヤとともに25年を過ごしたブリヂストンの山田宏さんも最後の日本GPを前に感慨深げだ
 ブリヂストン(BS)はホームGPへ万全の体制で挑む。フロントにはソフト/ミディアム/ハードの3種類。リアにはEXソフト(左右非対称)、ソフト(左右非対称)、ミディアムの3種類を用意している。

 山田グローバルモータースポーツ推進部課長によれば、もてぎは典型的なストップ&ゴーのサーキットで、フランスのルマンと並んで最もタイヤに優しいため、ソフトコンパウンドのタイヤを供給することができるという。「基本的には昨年と同じだが、ファクトリーの硬い側のタイヤ(ミディアム)を去年のデータを参考に、左右非対称から対称にした」と山田さん。

 軟らかいコンパウンドが使えるサーキットということで、1段階軟らかいタイヤが使える「オープン」が予選では有利。昨年はドゥカティのA・ドビツィオーゾがポールポジション(PP)を獲得したが、今年もホンダ、ヤマハ、ドゥカティ、そしてスズキを加えた4メーカーの厳しい戦いが予想されている。
◇モトGP 主なエントリー◇
◇モトGP 主なエントリー◇
◇日本GP 過去10年の優勝者◇
◇日本GP 過去10年の優勝者◇