大躍進のビニャーレスに闘志燃やす
2017年モトGP開幕プレビュー(1)
若さに似合わぬ成熟したレースぶりでタイトルを奪還したマルケス。新たなライバルとなったビニャーレスとの対決に闘志を燃やす(遠藤智撮影)
若さに似合わぬ成熟したレースぶりでタイトルを奪還したマルケス。新たなライバルとなったビニャーレスとの対決に闘志を燃やす(遠藤智撮影)
 今年のウインターテストで主役を務めたのは、スズキからヤマハに移籍したマーベリック・ビニャーレス(22)だった。オフの4回のテストですべてトップタイムをたたき出し、ライバルたちを“完封”。今季のチャンピオン候補の筆頭に躍り出た。対するディフェンディングチャンプのマルク・マルケス(24)=ホンダ=もこのビニャーレスの大躍進には警戒感を強めている。(ペン&カメラ=遠藤智)

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 モトGPにデビューして4年で3回のタイトル獲得。史上最年少優勝、史上最年少チャンピオンなど次々に記録を塗り替えてきたマルケスが、2年連続4回目のタイトル獲得に向けて充実のウインターテストを過ごした。

 今年の公式テスト3回のトータル9日間でトップタイムをマークしたのはわずか1回。連覇を狙うには物足りなく見えるが、今年はこれまでとは明らかに違う取り組みが見られた。

 最初のセパンでは、2種類のエンジンテストに多くの時間を割いた。昨年までのスクリーマー(等爆=パワー重視)か、それともビッグバン(同爆=乗りやすさ重視)エンジンか。まさに今年の戦いを大きく左右する重要なテストとなったが、マルケスもチームメートのダニ・ペドロサもビッグバンを選択。エンジンの仕様がほぼ固まったフィリップアイランドでは、天候に恵まれたこともあり、3日間で271ラップの最多周回数をこなした。いずれもレースシミュレーションを徹底的に優先し、誰も手の届かない境地に達したように見えた。

 「本当に多くのテストメニューをこなした。アタックする時間がなかったが、大事なのはロングラン。その点ではいいテストができたと思う」と成果をアピールした。

 モトGPではデビューから2連覇を達成したあと、迎えた3年目の15年はウインターテストでトップタイムを連発して3連覇確実と言われた。だが、シーズン序盤の転倒・ノーポイントで焦りが生じた。そして後れを挽回しようとして勝つか転ぶかというレースが続き、結果としてタイトルを逃した。その反省から、昨年は勝てるチャンスがあるときは攻めるが、勝てないと判断したときは確実に表彰台を狙う作戦に変更した。1つでも多く勝つことにこだわるよりも、1つでもミスをなくすことを重視。その方針転換がタイトル奪還につながった。

 デビューから4年連続で予選最速をたたえる「BMW・Mアワード」を獲得したように、予選での速さは健在。しかし、決勝では我慢の走りを実践。テストでも決勝を想定した走り込みに徹する。いろんなことにトライしてデータを蓄積し、手持ちの駒を増やすことに集中している。

「開幕戦が楽しみ」というマルケス。24歳にして老練さを身につけた王者はライバルたちにとってかなり手ごわいはずだ。