母国GP制覇に挑む9人の侍
2017年もてぎWGP日本GP特集(1)
 ホームGPを迎える日本人選手らが闘志満々だ。モト2に中上貴晶(25)=カレックス=と長島哲太(25)=同、モト3に鈴木竜生(20)、佐々木歩夢(17)、鳥羽海渡(17)=すべてホンダ=の5人のレギュラー陣が、優勝&表彰台を狙う。ワイルドカードでは、モトGPに中須賀克行(36)=ヤマハ=と、負傷したジャック・ミラー(22)=ホンダ=の代役に青山博一(35)、モト2は水野涼(19)=カレックス=と榎戸育寛(19)=同=が出場。総勢9人の日本人選手たちの熱い走りに注目だ。

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日本のエース、モト2中上

中上貴晶
中上貴晶
 6年目を迎えるモト2の中上が、ホームGP初制覇を狙う。来季はモトGPへの昇格も決まり、モト2での日本GPは今回がラスト。悲願の母国優勝に向け、ひときわ気合が入る。

 「昨年の日本GPでは4位だったが、優勝は手の届くところにあった。それだけに何が何でも勝って、日の丸を表彰台の真ん中に立てたい。夢見てきた母国GPの優勝。今年は勝ちます!」と宣言した。

 現在14戦を終え、総合7位。今季序盤は、開幕戦カタール、第3戦アメリカズでともに3位と順調なスタートを切ったが、欧州ラウンドに入って苦戦。第8戦オランダで再び表彰台を獲得するも、チャンピオン争いからは後退してしまった。

 そんな中、モトGP昇格発表のうれしさに勢いを得て、直後の第12戦イギリスで、ようやく今季初優勝を決めた。同じくモトGPに昇格するフランコ・モルビデッリやトーマス・ルティを引き離す走りで、実力の一端を見せつけた。

 「今年はまだ、自分が望んだ結果を全然残せていない。ここまで8勝を挙げているモルビデッリのような結果を思い描いていたのに、優勝数も表彰台の数も、かけ離れている」と中上。「チャンピオン争いをしなくちゃダメ。日本GPからの残り4戦は、すべて優勝を狙わなければ」と力を込める。

 ツインリンクもてぎの勝負どころは「90度コーナー」とキッパリ。「でも、そこまで勝負を引っ張りたくない」と先行逃げ切り作戦を目指す。秘策はブレーキング。「バイクのセットアップ(車体調整)は、もてぎ特有のものが求められる」とし、ホームGPの利を最大限生かしたい考えだ。

 来季からのモトGPフル参戦は、2014年の青山博一以来、日本人として4年ぶり。「日本のファンに、昇格が決まった自分の走りをぜひ見てもらいたい」と勝利への自信は十分。日本のエースに注目だ。

プライドかけて走る!モト2長島

長島哲太
長島哲太
 モト2の長島哲太が、レギュラーライダーとして初の日本GPに挑む。2014年にイタリアのJiRからモト2にフル参戦したが、けがで日本GPは欠場。過去2度、代役(13年)とワイルドカード(16年)で日本GPに出場し、それぞれ20位、14位だった。

 今年は現時点で総合27位。第4戦スペインで15位になり、初ポイント。第11戦オーストリアではベストリザルトの12位、第13戦サンマリノで14位と、ポイントを3回獲得した。

 「後半戦はマシンが新型になり、調子が上がってきた。日本GPではもちろんベストリザルト、トップ10入りが目標。とても楽しみ」と笑顔を見せる。来季もモト2参戦を継続。「まず成長ぶりを見てもらいたい」と日本のファンを魅了する意気込みだ。

期待の若手、モト3で奮闘中

上から鳥羽海渡、佐々木歩夢、鈴木竜生
上から鳥羽海渡、佐々木歩夢、鈴木竜生
◆鳥羽 現実を痛感、課題は安定性

 昨年、FIM・CEVレプソル国際選手権(CEV)のモト3で日本人選手として初優勝を達成し、注目の中で参戦しているモト3の鳥羽海渡が、日本GPからの復活にかける。

 これまで、予選では20番手後半のポジションに沈み、決勝では転倒か、完走してもノーポイントのレースが続いた。他車の転倒に巻き込まれるなど、運もなかった。

 「正直、毎戦トップ10は狙えると思っていた。でも現実はそれほど甘くなかった。今の課題は安定性。とにかく、母国GPでこれまでの悪い流れを払拭(ふっしょく)できたら・・・」。

 来年に向け、もてぎが最も重要なレースになると自身に言い聞かせ、闘志をかき立てる。ポケバイ時代から佐々木歩夢としのぎを削ってきた。佐々木とともに日本GPでの初表彰台を狙う。


◆佐々木 自信取り戻し目標大きく

 昨年のルーキーズカップチャンピオン(日本人初)で、今季モト3にデビューした佐々木歩夢が、上り調子で日本GPを迎える。

 今年は開幕戦カタールで11位とルーキーとしては上々のスタートを切ったが、以後は苦戦の連続。第2戦アルゼンチン、第3戦アメリカズでトップグループに加われず自信喪失。

 そんな中、ロングランに重点を置き、ミーティングに時間を費やすことで、セッティングについてさまざまなことを学んだ。それが功を奏し、「後半戦に入ってから、予選ではトップ10に入れるようになった。いいグリッドからトップグループに入れば、いいレースができる。トップグループで戦う自分を見てもらいたい」と佐々木。目標は初優勝か初表彰台と大きい。


◆鈴木 上位選手に闘志むき出し

 モト3で3年目の鈴木竜生が今季ベストを目指す。現在総合15位。厳しい戦いの中、今季これまで8位を3回獲得した。ホームGPの声援を力に「あと一歩」を実現する意気込みだ。

 「第8戦オランダで2回目の8位になってからは、その辺のポジションで走れる自信がついた。トップグループのライダーと実質的な差はない。ぜひ表彰台を狙いたい」と、同じホンダに乗ョアン・ミル、2位のロマーノ・フェナティらに闘志むき出しだ。

 過去2年はマシンのパフォーマンスで劣るマヒンドラで戦った。今年はホンダに乗り換えたことで、周囲も自身も大きな期待を抱く。「まず予選をしっかり走り、いいグリッドを獲得する。日本の人々にもっと自分を知ってもらいたい」と目を輝かせる。

ワイルドカードに3人

 ワイルドカードで今年も3人の日本人選手が参加する。モトGPは、ヤマハのマシン開発を担当し、昨年、全日本JSB1000で史上最多記録の5連覇を達成した36歳の中須賀克行(ヤマハ)で、ワイルドカードでの参戦は今年で6年連続。過去5年は12年9位、13年11位、14年12位、15年8位、16年11位とすべてのレースで完走。実戦でのマシン開発という重役を担いながら10位前後でフィニッシュという素晴らしい成績を残している。

 さらに、けがをしたホルヘ・ロレンソの代役で出場した12年のバレンシアGPでは2位表彰台に立ち、日本のファンを大いに喜ばせた。中須賀は「今年も日本GPに出場することができて光栄。恥ずかしくない走りをしたい」と張り切っている。

 モト2には、全日本ロードJGP3の15年のチャンピオンで、今季JGP2で最終戦を残しタイトルを獲得した水野涼(19)と、昨年のST600のチャンピオンで、今季JGP2にスイッチし6戦を終えて総合4位の榎戸育寛(19)が出場する。ともに車体はカレックスに初めて経験するモト2の統一エンジンを搭載して挑む。厳しい戦いになることは必至だが、世界の走りを吸収する意気込みだ。


◆青山、代役参戦 日本人の最多出場記録更新中

 モトGPに参戦するマークVDSは、けがのため欠場するジャック・ミラーに代わり、青山博一を起用すると発表した。ミラーは9月29日、アンドラ公国でモトクロストレーニング中、右脚を骨折した。

 代役に抜てきされた青山は「代役出場のチャンスを与えてくれたマークVDSに感謝したい。今年初めての実戦だが、日本GPは昨年もダニ・ペドロサ選手の代役として出場した。日本のファンの前で走れるチャンスなので、楽しみ」とコメントした。青山は日本人選手の最多出場記録を更新中で、現在174戦に出場。今回が175戦目になる。