日本GP勝利で「マジック点灯」だ!
2017年もてぎWGP日本GP特集(4)
ここぞという場面できっちり決めるマルク・マルケス
ここぞという場面できっちり決めるマルク・マルケス
 終盤3連戦の初戦が日本GP。今年は14戦を終えてチャンピオンの可能性を残す選手が5人いる。ランキング首位に立つのがホンダのマルク・マルケス(24)=スペイン=で、同2位につけるドゥカティのアンドレア・ドビツィオーゾ(31)=イタリア=に16点差をつけているが、まだ十分のリードとは言えない。昨年のように快勝してライバルを突き放したいところだ。

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日本GPは緊張の一戦

昨年はもてぎでタイトルを決めたが、今年は混戦のため、もてぎでのタイトル決定はない
昨年はもてぎでタイトルを決めたが、今年は混戦のため、もてぎでのタイトル決定はない
 波乱とハプニングの連続。シーズン9人の最多優勝者を生んだ2016年に続き、今季は終盤戦に入っても5人の選手がチャンピオンの可能性を残している。この激戦がさらに緊迫したものになるのか、それとも誰かが抜け出すのか。日本GPはチャンピオン争いを大きく左右する戦いになる。

 最大の注目は、第13戦サンマリノ、そして第14戦アラゴンで2連勝して、上り調子のマルケスだ。雨のサンマリノでは、ダニーロ・ペトルッチ(ドゥカティ)を最終ラップに逆転した。快晴のアラゴンでは、チャンピオン争いをするドビツィオーゾ(ドゥカティ)、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、そして後半に入って調子を上げているホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)との熾烈(しれつ)な争いを制した。

 勝負どころで全力アタックを試みたマルケスは、サンマリノでは「最終ラップに勝負しようと思った。(2位で終わるよりも優勝することでプラスになる)5点がチャンピオン争いを大きく助けることになるかも…」と言い、アラゴンでは「チャンピオンシップのことを考えるのは大事だが、今は全力を尽くすとき」と、あくまでも勝利にこだわる攻めの走りをこれでもかと見せつけた。

 自身の過去3回のモトGPタイトル決定のうち、2回をもてぎで決めている。タイトル王手で迎えた14年は確実に走って2位。昨年はあくまでも勝利にこだわり、ライバルの脱落もあってチャンピオンを決めた。今年の大会は、数字上では決定戦とならないが、今季6勝目を目指し、“マジック点灯”を果たす意気込みだ。

 1993年生まれ。モトGPにデビューした2013年に史上最年少の20歳で最高峰クラスで優勝すると、シーズン6勝、16回の表彰台で史上最年少のチャンピオン獲得。翌14年には、シーズン最多記録となる13回のPPとシーズン最多優勝記録13勝を樹立。「手のつけられない速さ」で2年連続チャンピオンを獲得した。

 15年はその速さに磨きがかかるも、優勝か転倒かというレースが続き、シーズン5勝で総合3位。ミスの多かった最大の要因は、マシンのセットアップに苦戦したこと。天才マルケスも、バイクが決まらなければどうにもならないということを教わった1年だった。その反省から、昨年は勝ちにいく戦いはこれまで通りだが、勝つのが難しいレースでは、着実に表彰台、そして完走を目指すという我慢のレースを実践するようになって3回目のタイトルを決定。そして今年は「勝負どころで100%」の走りをするマルケスがタイトルを引き寄せている。

 毎年、チャンピオン争いの天王山となる3連戦。今季最も緊張した戦いを強いられるマルケスの走りに注目だ。


◆マルケス5年連続トップ BMWアワード

 我慢と粘り強さ、そして勝負どころでの速さが加わったマルケスは、今季6回のPPを獲得。予選順位にポイントを与えシーズンの最速ライダーにBMWのクルマが贈呈される「BMW M Award―Best Qualifier MotoGP 2017」で5年連続トップを快走している。

 モトGPではこれまで86戦して43回のPPを獲得し、PP獲得率50%という驚異的な数字を誇る。最高峰クラスのPP獲得回数ではバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)の54回に続いて2番目の記録だが、3クラス通算では164戦で71回のPP獲得と史上最多記録を更新中。2番手にホルヘ・ロレンソ(264戦)の65回、ロッシの64回(361戦)と続き、獲得回数だけでなく、通算PP獲得率でも約43%という圧倒的な数字を誇る。文句なく、世界一速いライダーと言える。

ホームGPで今季初V狙う!!総合9位クラッチロー

昨年ほどの勢いはないが、安定した走りで上位につけるクラッチロー
昨年ほどの勢いはないが、安定した走りで上位につけるクラッチロー
 14戦を終えて総合9位のカル・クラッチロー(31)=英国=は、ホンダのホームGPとなる日本GPで今季初優勝を狙っている。今年は第2戦アルゼンチンGPでシーズン初表彰台となる3位になったが、それ以降は、表彰台にあと一歩のレースが続いている。予選でもフロントローが3回とここまでPP獲得はなし。今季初PP、初優勝に闘志を燃やす。今年は来季からのホンダ契約が決まり、ワークスライダーの一員になった。所属はLCRホンダのままだが、マルケスとペドロサとともにワークスサポートを受けてのシーズンとなる。

ペドロサ、得意のもてぎで期待

ダニ・ペドロサ
ダニ・ペドロサ
 チームメートのダニ・ペドロサ(32)=スペイン=は14戦を終えて1勝を含む8回の表彰台に立ち総合4位につけている。昨年の同時期も1勝を含む3回の表彰台で総合4位だったが、昨年に比べて今年は安定した走りを見せている。

 しかし、相変わらずウエットコンディションや“フラッグ・トゥ・フラッグ”がウイークポイントになっていて、オランダで13位、サンマリノで14位と低迷したことでチャンピオン争いでは後退した。日本のもてぎは得意のサーキット。11、12、15年と3回の大会制覇を成し遂げているだけに、今季2勝目と日本GP4回目の優勝が期待される。
◆ミラー「無念」の欠場

 ○…鈴鹿8時間耐久ロードレースで日本のファンにはすっかりおなじみになったマークVDSのジャック・ミラー(28)=オーストラリア=が、日本GPに向けてのトレーニング中に右脚脛骨(けいこつ)を骨折、日本GPを欠場することになった。今季を最後にホンダチームを離れるミラーにとってはホンダRC213Vで出場する最後の日本GPとなる予定だった。

 「ホンダのホームGPとなる日本GPに出場できなくて本当に残念」とコメント。日本GPからの連戦となる第16戦オーストラリアGPは自身にとってのホームGPで「フィリップアイランドでの復帰を目指す」ことになった。チームメートのティト・ラバット(28)=スペイン=も今年を最後にホンダチームを離れる。「ベストグリッド、ベストリザルトを目指したい」と意気込んだ。


◆青山博一、準備は万端

 ○…日本GPを欠場するミラーに代わり、ホンダ・レーシング・コーポレーション(HRC)でテストライダーを務める青山博一(35)がマークVDSから代役出場することが決まった。出場が決まった青山は「今年初めての実戦となるが、日本GPは昨年もダニ・ペドロサ選手の代役として出場している(15位)。昨年は土曜日からの走行だったが、それに比べれば今年は気持ちの準備もできている。日本のファンの前で走れるチャンスなので、楽しみにしている」とコメントした。

 青山は2009年の250cc(現モト2)世界チャンピオンで、日本人選手のWGP最多出場記録を更新中。今回の日本GPが175戦目になる。