2018年もてぎ日本GP開幕特集(3)
アレックス・リンスの走り
アレックス・リンスの走り
 モトGPに復帰して4年目の「チーム・スズキ・エクスター」が、ホームGPとなる日本GPで2年ぶりの表彰台と今季初優勝を狙う。今年はアンドレア・イアンノーネ(29)=イタリア=とアレックス・リンス(22)=スペイン=のレギュラー組に加え、テストライダーのシルバン・ギュントーリ(36)=フランス=が加わる3台体制で、今季最高のレースを見せる意気込みだ。

イアンノーネ、エンジニアに感謝

第2戦アルゼンチンでモトGP初表彰台を獲得、スタッフらと笑顔を見せるリンス
第2戦アルゼンチンでモトGP初表彰台を獲得、スタッフらと笑顔を見せるリンス
 モトGP6年目のイアンノーネは、今季ここまで3回の表彰台で総合9位。昨年はマシンとタイヤのマッチングに苦しんで総合13位に低迷したが、今年はGSX−RRのパフォーマンスをレースを追うごとに確実に引き出し、昨年を上回る走りを見せている。

 「マシンは確実に良くなっている。日々努力を続けてくれているスズキのエンジニアたちには本当に感謝」とイアンノーネ。第14戦アラゴンでは、チームメートのリンスと熾烈(しれつ)な表彰台争いを繰り広げて3位。スズキの2台が見せたランデブー走行はファンを喜ばせた。

 前戦タイではスタートに失敗して11位に終わったが、調子自体は上向きでホームGPを迎えた。「日本GPは僕らのマシンとは相性のいいサーキットだし、僕らもいまはいい状態。きっといいパフォーマンスを見せることができると思う」と闘志をみなぎらせる。

 スズキは16年の日本GPでは、当時所属していたマーベリック・ビニャーレスが3位。昨年の日本GPは、イアンノーネが表彰台にあと一歩の4位と健闘している。

 125ccやモト2では、今大会タイトル王手のマルク・マルケスや、現KTMのブラッドリー・スミス(27)=英国、ポル・エスパルガロ(27)=スペイン=らといい勝負をしていたイアンノーネ。走りも見た目もやんちゃなイメージがあるが、きちょうめんな性格でセッティング面でも貪欲。ツボにはまればマルケスもかなわない速さがあるだけに“大駆け”も期待できる。

 1999年(日本GP)、2000年(パシフィックGP)と日本で最高峰クラスを連勝したケニー・ロバーツJr.の栄光を再び−。スズキがチーム一丸となってもてぎに挑む。

アレックス・リンスもてぎ初の表彰台に気合十分

アンドレア・イアンノーネ
アンドレア・イアンノーネ
 モトGP2年目のリンスは今年、その才能を一気に開花させた。昨年はシーズン序盤に左手首を骨折して1年を棒に振ったが、今季はウインターテストから順調で、本来の速さを発揮している。

 ここまで2回の表彰台に立って総合10位。表彰台は、第2戦アルゼンチン3位、第8戦オランダ2位と、どちらのレースも激しいバトルが繰り広げられたが、リンスはこういうレースこそ勝負強さを発揮するタイプ。

 前戦タイでも予選11番手から8台に膨れあがったトップグループに加わり6位と好走。

 「後方からのスタートだったが、とにかくトップからのギャップが広がらないよう最初から全開でプッシュした。混戦の中で激しくバトルしたせいでタイヤを消耗、タイムもロスした。表彰台には立てなかったが、ここ数レースは比較的順調に行っている。次戦は僕にとってもチームにとってもとても大切な日本GP。この良い流れをキープし、ぜひとも良いウイークにしたい」。リンスは今季3回目の表彰台獲得と念願の初優勝に気合を入れた。

 モト3、モト2時代には、ともにチャンピオン争いに加わり、速いライダーとして注目を集めてきた。モトGPデビューの去年はけがのために力を発揮できなかったが、今年は随所で光る走りを見せている。イアンノーネとは対照的に、あまり細かいことにこだわらない楽天的なところがあるが、走り出せばスペイン人の熱い血が騒ぐ。スズキのホームで今季ベストを目指すリンスに期待だ。

スズキの軌跡

アンドレア・イアンノーネの走り
アンドレア・イアンノーネの走り
 モトGPクラスに復帰して4年目を迎えるスズキ。一昨年16年は所属していたマーベリック・ビニャーレスが大活躍。フランスGPで3位になり、08年のチェコGP(ロリス・カピロッシの3位)以来、12〜14年までの休止期間を入れて8年ぶりの表彰台を獲得。第12戦イギリスGPでは、予選3番手から独走でキャリア初優勝を飾った。スズキにとっては、07年のフランスGP(クリス・バーミューレン)以来9年ぶりの優勝だ。

 昨年は、イアンノーネとルーキーのリンスという2人そろっての新布陣になったが、リンスのけがもあり表彰台なしという厳しい結果に終わった。今年はエンジンのスペックを変更し、「やれることはすべてやった」(河内健テクニカルマネジャー)と、GSX−RRの総合力をアップさせた。その効果もあり、イアンノーネ3回、リンスが2回と5レースで表彰台に立った。

 昨年、表彰台なしに終わったことを受けて、スズキは新規参入や表彰台獲得ポイントで規定に到達しないメーカーに与えられる「コンセッションルール」の適用対象(1位3点、2位2点、3位1点で合計6点以下)となり、シーズン中のエンジン開発禁止除外やエンジン数が7基から9基に増加などの特典が与えられた。しかし、今年は5度の表彰台獲得でコンセッション適用が除外され、来季はホンダ、ヤマハ、ドゥカティと同じルールが適用されることになった。

 2020年は、スズキの創業100周年。この記念すべきシーズンに「タイトルを獲得するのが目標」(河内健TM)だ。

ギュントーリ「ファンに会えるのが楽しみ」

 ワイルドカードのギュントーリはスズキのテストライダーに就任して2年目のシーズン。経験豊富なベテランのフィードバックが、スズキGSX−RRの開発に大きな貢献を果たしている。

 昨年はけがをしたアレックス・リンスの代役で3レースに出場(15位が最高)今年は第7戦カタルーニャでは転倒したが、第10戦チェコでは、鈴鹿8耐で転倒した際に肋骨を2本折っていながら痛みに耐えて19位で完走した。今季3回目の出場となるギュントーリは「日本のファンに会えるのが楽しみ」とコメントを寄せた。