第14戦南アフリカGP編
コシンスキー(19)、バロス(5)の間でもがくノリック(6)。今回はレースに関して収穫なし(カメラ=竹内秀信)
コシンスキー(19)、バロス(5)の間でもがくノリック(6)。今回はレースに関して収穫なし(カメラ=竹内秀信)
 グランプリ初開催となった第14戦南アフリカGPは阿部典史にとって、何もかもがうまくいかないレースだった。予選では今季最低の11番手、決勝も9位。スタートからゴールまで波乱なく走り切ったレースの中では、今季最悪の結果となった。滑りやすいコンディション、セッティングの決まらないバイク。不完全燃焼を通り越していらだちを募らせるノリックだった。
 初めてのサーキット。初めて訪れる南アフリカ。1週間前のオーストラリアGPで、トップ集団にいながらトラブルで大幅にポジションダウンという悔しいレースをした後だったから、今回のウェルコムはすごく楽しみにしていた。

 ところが、予選初日からどうもうまくいかない。その理田はフロントタイヤのグリップ感がなくて思い切り攻められなかったこと。初日、2日目とあらゆることを試みたが、いいセッティングを見つけることができなかった。

 2日間の予選が終わってみれば11位。今年はほとんどのレースで2列目以内でスタートしていたし、3列目になるのは久しぶり。ウェルコムは、セッションを追うごとに路面のグリップは上がったのだけど、ラインを外すと極端にグリップが落ちる。あっという間にコケそうになるので、とにかくロケットスタートを決めないといけないと、めちゃくちゃ気合が入った。でも、正直いって自信はなかった。というのも、前回は決勝日のウオームアップでセッティング変更の方向が見えた。それが今回はまったく見えない。結局、予選で一番良かった状態に戻すしかなかったからなんだ。

 だから、不安を抱えての決勝になった。それでもスタートの飛び出しはうまくいった。よ〜し、これならと思ったのだが、みんな考えていることは同じで、1コーナーではグリップのいい路面の奪い合いとなってガシャガシャと混雑してしまったんだ。

 それで1コーナーでいいポジションを取ることができなかった。結局、1周目は10番手。それで焦ってしまったのか、2周目に大失敗をする。ワイドラインになってしまったコーナーがあって、ものの見事に滑る路面に、おっとととと……となる。モタモタしているうちに、それまでに抜いた何台かに抜き返され、もともと後ろにいた選手にも抜かれて2周目は11番手という最悪の状況だった。

 次の周回も同じようなことをしてポジションは変わらなかったけれど、トップ集団は完全に見えなくなってしまう。それからは1人で淡々と走る展開となって、終わってみたら9位になっていたんだ。

 がっかりしたというか、今回は何もかもがうまくいかなかったし、言葉もなかった。予選から抱えていたフロントのグリップ感のなさに加えて、どういうわけか、決勝ではリアのグリップもあまり良くなかった。それは僕だけじゃなかった。戦ったポジションは違うけれど、ジュニア(ロバーツJr)も、PPスタートの岡田さんも同じだった。それだけ今回はセッティングが難しかったし、決勝で選択したタイヤが大きく影響したような感じだった。

 今年になって3列目スタートは4回目だった。でも、こんなに手ごたえを感じられないレースは初めて。決勝でもコースアウトといったハプニングがないのに9位という最低の結果だった。

 今回は、オーストラリアGPから南アフリカという2週連続の開催だった。その間に、南アフリカの隣の国のジンバブエに「ライダース・フォア・ヘルス基金」の視察に出掛けた。水も電気もない、本当に貧しい人たちが住んでいる地区を訪れたのだが、いつもグランプリでやっているチャリティーが、こんなところで使われているのだなということが本当によく分かった。

 今回、レースではあまり得るものがなかったけれど、僕の人生経験の中では、すごくためになるグランプリだった。今年は残るは南アメリカの2戦だけ。次は僕の得意なブラジルだけに、何としてもいい結果に結びつけたい。タラレバのない、いいレースにしようと思っている。

■1999年10月13日掲載