第7戦オランダGP編
決勝はリタイアだったが予選では見事な走りを披露したノリック(カメラ=竹内秀信)
決勝はリタイアだったが予選では見事な走りを披露したノリック(カメラ=竹内秀信)
 今季初のフロントローから序盤は上々のレースを展開したノリックだったが、エンジントラブルで無念のリタイア。連続表彰台は夢と消えた。が、予選では“スーパーポール”(WSBの1周アタック)で見事な速さを披露するなど、その存在感を強烈にアピール。今週末のドニントン(イギリスGP)の活躍が楽しみになってきた。
 今年イチバンの悲しいレースだった。リタイアしたからじゃなくトップグループに離されたこと。エンジンが止まってコース脇にバイクを止めた時はとにかく悔しくて仕方がなかったけど、ピットまで歩いて帰る途中、どうしてこんなレースしか……と考え、悲しくなってしまったんだ。

 前回のマドリードはソフトコンパウンドのタイヤでうまくいった。自分のペースが落ち始めた時にみんなきっと落ちてくる、と読んでそうした。今回もマドリードと同じソフトを選んだ。予選でいい感じだったし、ミシュランのエンジニアも「決勝でも絶対にもつ」って言っていた。でも他の選手は僕より硬いコンパウンドのタイヤをチョイスしたみたい。タイヤが滑り出してから失敗したと思ったけどもうどうしようもなかった。

 スタートはうまくいき、3番グリッドからトップへ。1コーナーまでのストレートでドゥーハンにかわされたけど、序盤はかる〜くついていけるって感じだった。それがビアッジに抜かれ、クラファーとバロスにも抜かれ、それからはペースを上げられなくて苦労した。バロスだけは何度か抜いたけど、すぐに抜き返される。そんなことをやっているうちにドゥーハンとビアッジ、そしてクラファーのトップグループにどんどん離されてしまった。

 レース後、優勝したドゥーハンが「後ろにいるアベが、みんなを抑えてくれるんじゃないかと期待した」なんて言っていたってのを聞いて、ふざけやがってと、超〜頭にきた。確かに予選ではドゥーハンに引っ張ってもらってタイムが出ているしフロントロー記者会見で「ありがとう」と言ったけどね。そのうちドゥーハンの前を走って「彼が後ろでみんなを抑えてくれたから今回は楽な展開だった。ミックさん、ありがとう」って言ってやるゾ。こんなこと言ってもただの負け惜しみにしか聞こえないだろうけど、まあ、今に見てろって感じ。

 予選はすごかった。ヴァルドマンが転んでバイクが炎上。2分12秒を残して赤旗中断になったんだ。その時、僕は9位、どうしても2列目に上がりたかった。チームは反対したけど無理なアタックはしないからと言ってトライさせてもらったんだ。アッセンは全力で走って2分2〜3秒のサーキット。ピットロードからスタートして2分12秒以内で帰ってくるのは結構厳しい。だから、ピットロードの出口に並んでいる連中の間に強引に割り込み、一番前でシグナルが青になると同時に全力で走り出した。タイミング良くドゥーハンが抜いていって後ろにつけた。ドゥーハンもこの時点でクラファーに負けていたし最初から全力だった。ドゥーハンの後ろでフィニッシュラインを過ぎた時には残り5秒という際どさ。最後の1周はまさしく“スーパーポール”って感じだったけど、これでドゥーハンはクラファーを逆転してトップへ、僕も3位に浮上できた。

 一昨年のブラジルGP以来のフロントローでうれしかったけどフロントローだと記者会見があったりちょっと面倒。今回も予選が終わってサイン会、すぐに記者会見と続きすごく忙しかった。

 予選は5番手がいいやなんて言っていたけど、やっぱりフロントローからスタートしてみると楽だった。一昨年まではフロントローに並ぶと眠れないほど緊張したけど、今回はそんなに緊張しなかったしね。

 今回はもう一つ悲しいことがあった。レイニーさんが今年限りで辞めることを発表した。会見に向かう直前、レイニーさんはスタッフ全員を集め、辞めることを伝えたけど目が潤んでいた。

 僕がWGPに参戦できたのはレイニーさんのおかげ。僕はいつも勝つために走ってきたし、いつでも勝ちたいと思っているけど、チーム・レイニーで走るようになってから、それを果たしてない。引退までにレイニーさんを表彰台の一番高い所に上げてやるゾって誓った。

■1998年7月2日掲載