第7戦カタロニアGP編
大の仲良しのロバーツ(右)と“天気予報”するノリック(カメラ=GP Photos)
大の仲良しのロバーツ(右)と“天気予報”するノリック(カメラ=GP Photos)
 今季初のフルウエットとなった第7戦力タロニアGPでノリックこと阿部典史はきっちりと今季2度目の2位に入った。ツルツルと滑る路面に選手たちは悪戦苦闘。チャンピオン、A・クリヴィーレを筆頭に転倒者が続出するなか、上々のライディング。優勝のK・ロバーツには届かなかったが、今季3度目の表彰台。日本GPに次ぐ優勝の期待はさらに膨らみ、目標の今季5勝も夢ではなさそうだ。(聞き手=遠藤智)
 ――今季2回目の2位。おめでとう、でいいのかな?

 ノリック「いいですよ。自分でもやれるだけやったという100%の2位。満足してます」

 ――見ていていいぞという感じ。チェッカーではウイリーも披露できた。

 「見てました? いや〜、グランプリに来てウイリーでチェッカーを受けたのは初めて。全日本以来で6〜7年ぶりのウイリーチェッカーでした」

 ――なぜウイリーを?

 「それは簡単。これまではゴールするときに余裕がなかったから。とにかく、いつも無我夢中だった」

 ――では、16回目の表彰台は記念すべき表彰台。今回はロバーツが逃げ、後ろとの差も開いていた。追い付かないし、追い付かれないし……という状態。変な言い方だけど、そういう意味でウイリーする余裕があったってこと?

 「雨のレースはいつも疲れるけれど、今回は特別疲れた。スタートからゴールまでの約52分間、ほとんどひとりで走っていたし、一瞬も気が抜けなかった。ラップタイマーも壊れていたし、走りながら自分のタイムもチェックできなかった。ちょっとでもミスるとコケそうだったし、ずっと集中していたんです。それで、ああ、終わったなっていう解放感もあって、最後はウイリーを決めてみました」

 ――確かに滑る路面だったよね。ノリックと競り合っていたチェカが転び、ジベルノーも転んだ。クリヴィーレも転んでいる。岡田はタイヤの選択に失敗してまるでペースが上がらなかった。

 「滑りましたね。だけど今回はいろんな意味で、すべてがいい方向に転がった。土曜日の予選でウエットからドライになりつつある時に、こんなコンディションになった時のためにと、インターミディエイトを使ってみたら、これが全然ダメ。岡田さんはそれを選択して失敗したみたい。それに朝のウオームアップで転んだときに、これが限界というところを知ることもできたし」

 ――チェカに抜かれ、ジベルノーに抜かれた時に妙に冷静だったのは、そのせいなの?

 「そうですね。だから、今回はケニーの速さにはビックリで、とてもついていけないと思った。それなのにチェカとジベルノーがどんどんペースを上げていく……。大丈夫なの? と思っていたら、案の定でしたね」

 ――ステーンと行きました。

 「そうですね。まさにステーンと……」

 ――そのとき、しめしめって思った?

 「二人が転んだのは、125も250もたくさん転んでいた場所ですよね。でもそこはやっぱりスペインですからね。彼らは行くしかなかったでしょうね」

 ――同じ状況で、これがもし日本だったらノリックも無理を承知で行く?

 「でしょうね、間違いなく」

 ――で?

 「やはりステーン、ですかね」

 ――力タロニアで良かったね、ほんと。ところで、今回の2位とフランスの2位とはどう違ったの?

 「今回はあれ以上どうしようもなかった。あのペースを守りきるのが精いっぱいだったから。だから、最後まで走りきってすがすがしいというか、フランスのような悔しさはなかったですね」

 ――今回のレースはチャンピオンに向け、また一歩成長したなって印象だった。でも、ひとつだけ言わせてもらえれば、今回のようなレースもあるんだから予選では最低でも2列目をとってもらいたい。雨のレースでは、スタートで前に出るのは大変だから。

 「そうなんですよ。今回は珍しく雨なのにスタートが決まった。予選12位、3列目は確かに厳しかったですね。予選も、もう少しきれいにまとめなくちゃ、ですね」

 ――次も雨の多いオランダGP。今年のノリックはどっちでも、の感じだね。

 「また雨になりサバイバルレースなら今回のようなベテランライディングを見せます、て感じですね」

 ――それはそれで楽しみだけど、その発言は何だかノリックらしくなくて複雑だね。

■2000年6月14日掲載