第9戦イギリスGP編
3戦連続の不順な天候。必勝の思いも空回り、6位に終わったノリック(カメラ=GP Photos)
3戦連続の不順な天候。必勝の思いも空回り、6位に終わったノリック(カメラ=GP Photos)
 WGP第9戦イギリスGPもまた雨に見舞われ、これで3戦連続の不順な天候となった。しかもウエットからドライへと変わる難しいコンディション。予選7番手から序盤に2位まで浮上したノリックこと阿部典史だが、乾くにつれてじりじりと後退。最後は6位でゴールするのがやっと。得意なサーキットで優勝に燃えていたノリックだが、終わってみれば、ため息が漏れるレース。無情の雨にがっくりと肩を落としていた。(聞き手=遠藤智)
 ――だめだったね。

ノリック「そうですね。だめでした」

 ――カタロニア、オランダと、これで3戦連続の雨のレース。全く異常なシーズンだね。

 「そうなんですよ。僕がフル参戦するようになってから、雨のレースは95年の鈴鹿が最初。その次がいつだったか、えんど〜さん、覚えてますか?」

 ――いつだっけ? 何回もあったような気がするけどね。

 「それが何回もないんですよ。確かに125や250がウエットになったことはあるけど、500の決勝が雨になったのは、去年のもてぎの日本GPだけ。中断した一昨年のオランダを入れても、この5年で雨のレースは2回と半分。それが今年はもう……」

 ――9戦で3回。3日間通じて雨が降らなかったのは日本とイタリアの2戦だけ。後はことごとく。すいませんねえ。

 「別にえんど〜さんが悪いわけじゃないけど……」

 ――まあそうだけどさ。でもサーキット入りすると選手たちは必ず週末は雨かな? って心配している。そのたびに大丈夫、晴れるから、と何の根拠もなく言ってきたし、その責任を感じているんだよ。

 「僕は雨でもちゃんと走れるんですよ。でも降るならしっかり降ってほしいだけ。前回のオランダとか今回のように、途中から乾いていくような中途半端な路面は嫌いなんですよ」

 ――今回はぬれている序盤が良くて、乾き始めてからペースが上がらなかった。前にバロス。後ろにケニーを引き連れて追い上げていたときは、よ〜し、と思ったもの。それが一体、どうしちゃったわけ?

 「今回は表彰台に立ったカタロニアと同じセッティングで走ったんですけど、ぬれているときはいい感じだった。バロスにどんどん追いついていったしね。でもコース上の水がどんどん薄くなって、そのうちにライン上が乾き始めてしまった。本当ならどんどんペースが上がるはずなのに今回はだめだった。やっぱりセッティングなんだと思いますね」

 ――乾き始めてから、ケニーに抜かれ、マクウィリアムス、カピロッシに抜かれた。バロスはどんどん落ちていったけど1周で2秒くらい遅かった?

 「そうですね。乾いてから最高で2秒くらい遅くなった。滑りまくって、どうしようもなくなったんですよ」

 ――路面が乾いてタイヤが消耗していくから仕方がないけど、優勝したロッシなんか、あまりにも滑るから終盤はコーナーで1速上のギアを使って走っていたらしいよ。

 「本当ですかぁ?」

 ――ほんと、ほんと。

 「うーん……」

 ――まあ、ぬかるみにはまった時のテクニックだけど、ホンダのバイクはよっぽどトルクがあるんだろうね。普通はそんなことできないもんなあ。ところでテレビ見た? 見れば、その辺のところがちょっと分かるかもね。

 「いいレースじゃなかったからなあ。見る気もしないし、見たくもないです」

 ――まあまあ、そう言わず、これからのためにも見てほしいな。確かにノリックにとっては、超悔しいレースだったと思うけど、でもヤマハ勢で一番だったんだから。

 「でも、レースではイチバンじゃないもの」

 ――そうだけどね。でも今回のリザルトを見ると、そうそうたる顔触れがノリックの下にズラリと並んでいる。クリヴィーレにビアッジ、岡田、チェカ……。

 「いつもそうじゃないですか」

 ――ああ、ごめんごめん。怒った?

 「いえ、怒ってないですけど」

 ――それにしても、ノリックにとって今回もまた何だかな、ってレースになったね。最後は周回遅れにぶつけられて、グールベルグにやられているし。

 「まあ、あれがなければ5位だったんですけどね。でも、今回のレースは僕にとっては分かりやすいレースだった。だってこのサーキットでは絶対に勝てるという自信があったし、5勝という今年の目標のひとつがここだったし、勝つぞ、絶対に勝つぞって思っていた。勝てないにしても表彰台に立つんだって思ってた。それが本番でいきなりウエット。しかもどんどんドライになってしまった。降るなら降る。晴れるなら晴れろって感じだったから」

 ――分かりやすいけど、やっぱりもやもやしているなあ(笑)。そのもやもやと悔しさを次のザクセンリンクにぶつけよう。降っても勝つ、晴れても勝つぞっていう感じにね。

 「今度こそ、ということですね」

■2000年7月12日掲載