第10戦ドイツGP編
レース後、汗まみれのノリックはさぞや怒りまくっていると思いきや…(カメラ=GP Photos)
レース後、汗まみれのノリックはさぞや怒りまくっていると思いきや…(カメラ=GP Photos)
 阿部典史の得意とするザクセンリンクだけに期待の膨らんだドイツGP。初日11番手、2日目15番手と予選では相変わらず苦戦したが、決勝では4列目からまたしてもロケットスタートを見せて5番手に浮上した。が、6周目に痛恨のコースアウト。17番手までポジションを落とし、最後は11位でフィニッシュするのが精いっぱい。悔しい結果になったが、当のノリックの表情は意外にも……。(聞き手=遠藤智)
 ――いいスタートだったね。

 ノリック「そうですね。自分でもビックリするくらいうまく決まりましたね」

 ――予選2日目が終わって心配していたんだけど、相変わちずノリックはスタートがうまいなってうなってしまったよ。

 「ここは抜きどころがないし、グリッドに並んでいるときも不安でしたけどね。ところが、これが決まってしまったんですね」

 ――でも、厳しい言い方をすれば、今回のいいとこは、これだけ。1周目5番手。で、2周目、3周目と来て、ああ、後ろに哲ちゃん(原田)が来たな〜と思ったら、その翌周からテレビにも映らなくなったし、モニターでもがく〜んとポジションが落ちていた。一体どうしたの?

 「1コーナーを過ぎて、が〜んと下って右、そして右からが〜んと上るコーナーで原田さんにインを差された。その時にアウトにはらんでエンジンの回転が落ちて立ち上がりで遅れた。それで原田さんに1秒くらい離されてしまって、これはまずいぞとちょっと焦って、次の周の1コーナーで突っ込み過ぎたんです」

 ――6周目だよね。レースは31周。まだ始まったばっかり。トップグループが混戦だったし、もう下位グループはテレビにも映らなかった。

 「でも今回は結果はだめだったけど、自分でもびっくりするくらいすっきり、さわやかな気分で終えられたんですよ」

 ――どうして?

 「コースに復帰したときは、もう前にだれもいなかった。あ〜あってガックリしたけど、そこから開き直って走ったら、これがびっくりするくらいいい走りができた。終盤には今回のレースで3番目のタイムが出せたし、初めから力を抜いて、自分を信じて走れば、絶対にいけるってことをあらためて感じましたからね」

 ――ということは、最初はカが入り過ぎていたの?

 「というか、今回は、2日間の予選と決勝で天気が変わった。久しぶりに快晴になって路面温度も上がった。それで決勝は、ミシュランの勧めもあって硬めのコンパウンドをチョイスした。でも、予選ではあまりいい感触じゃなかったし、それがちょっと気になっていた。結果としては良かったんですけどね」

 ――ということは、タイヤも人間も最初はかたかったってことだね。

 「……」

 ――ごめんごめん。でも昔から言ってるじゃん。焦るな、力を抜けって。まったく人の言うことを聞かないからだよ。

 「言いますね、えんど〜さん。でも今回はちょっと違う。自分として、これだなって感じるものがあったんですよね。それは、予選が悪くても自分を信じるということ。それと、やっぱり予選はいいに越したことはないし、苦手な予選もどう走ればいいのかということを、ちょっとつかんだかなっということですね」

 ――つまり、加減ってやつ?

 「そう、いい加減っていうのを……」

 ――日本GPから7レース。そろそろ優勝してもらわないとね、いい加減!

 「それって、駄じゃれですか?」

 ――ところで、今回、オランダから、子供にノリックって名前をつけた親子が来てたんだって?

 「そうなんですよ。オランダ人の夫婦で、子供にノリックって名前をつけたのでぜひ会いたいって来てくれた。一緒に写真を撮ってサインをしてあげた」

 ――うれしいね。

 「うれしいですね。ベルギーにも僕と同じ名前をつけた子供がいるんですよ」

 ――ということは、世界中のノリックのためにもますます頑張らないといけない。それにテレビに映ってもらわないと、こっちも大変なんだから頼むよ。

 「えんど〜さんはサーキットにいるんだから、そのときは自分で何とかしてください。まあ、いつもテレビに映るように頑張りますけどね」

■2000年7月26日掲載