第14戦リオGP編
レース後の表情はさえない(カメラ=GP Photos)
レース後の表情はさえない(カメラ=GP Photos)
 最も得意とするリオGP。阿部典史は、昨年の優勝を入れて過去3度表彰台に立っているブラジルのネルソン・ピケ・サーキットで2連勝を狙ったが、今年は惜しくも一歩届かず4位に終わった。予選は6位。スタートも決まり、4台のトップ争いに加わったもののついにトップに立つことができなかった原因は何か。久しぶりに希望を近くに引き寄せただけに、悔しさもひとしおだ。
 ――展開としては申し分なかったよね。

 ノリック「そうですね。スタートも決まったし、いい感じでレースは始まった。今回は絶対に勝てると思っていた」

 ――ペースも、ノリックの言っていた通り、1分52秒台後半から53秒台の戦いになった。読みも当たっていた。

 「そうですね。何もかもが予想通りの展開になった」

 ――でも勝てなかった。どうして?

 「それは、僕より勝ったロッシと2位のバロスが、ちょっとずつペースが速かった。僕もついていけるペースだったけど、最後までマッコイ(3位)を抜けなかった」

 ――見てるほうも何だかイライラしたなあ。何で抜けないんだって……。

 「でしょう。抜けそうで抜けない。横には並ぶんだけど、前に出られなかった。とにかく、何もかもが予想通りの展開になったけど、マッコイを抜けなかったのがすべての原因。そういう意味では、今回はいいレースだったけど、自分の走りができなくて不完全燃焼でしたね」

 ――で、何度も聞くけど。何で抜けなかったの?

 「ブレーキングもそれほど深くはない。立ち上がりでも、めちゃめちゃスライドさせている。とにかく、すごくロスの大きい走り。だから、普通に考えれば絶対に抜けるはずなのに、スライドが終わって、タイヤがグリップしてからの加速がすごいんですよね」

 ――って言っても、同じヤマハの500。何でって感じがするけどね。体重の違い? マッコイのほうが小柄だし軽いから?

 「だと僕も思ったんですけどね。それが体重は変わらない。それに、こっちはマッコイを抜こうと立ち上がり重視のラインで走っている。それなのに、ストレートで離されてしまう。で、コーナーで追い付いてという繰り返しだった」

 ――同じバイクなのに。

 「でしょう。あれだけ滑らせたら、絶対にあんなに加速するはずがない。でも、びゅ〜〜んと走っていく。結論として、とにかくマッコイのはエンジンが速い。同じことをビアッジも言っているし、あれは七不思議のひとつですね」

 ――とは言っても、バロスとロッシはマッコイを抜いて行った。あの2人はホンダだけど。

 「まあ、今回のレースは、ブレーキングでホンダにアドバンテージがあったのかもしれない。僕もマッコイにさえ引っ掛からなければ、あの2人に付いていけたと思う。とにかく、マッコイの後ろについてから、ずっと、いらいらのしっぱなし。後ろにいたビアッジも、それは同じだったと思うけど…。今まで、どういうわけかマッコイとは競り合ったことがなかったし、ほんと、てこずってしまった」

 ――どうして今まで競り合わなかったの?

 「それは僕がだめだったコースであいつが速くて、僕が良かったところで、あいつがだめだったからですね。マッコイが今年勝ったのは、全部グリップの悪いサーキット。だから、あの走りで勝てたんだなって納得させられましたけどね」

 ――今回は違った。

 「そうですね。やっぱり2連勝しているし、勢いがある。今年はみんな、マッコイと競り合うと、かなりてこずっていたけど、それが実感として分かりましたね」

 ――今週はツインリンクもてぎで第15戦パシフィックGPがあるけど、ブラジルからの長旅はどうだった?

 「完全に時差ボケ。土曜の決勝が終わってその日の夜のフライトで日本へ。昼と夜がひっくり返ってる。まずいっすね」

 ――去年は雨のもてぎで3位になっている。2年連続表彰台と、ブラジルの雪辱戦だね。

 「そうですね。去年は雨のレースで運もあって3位になれた。もてぎはどちらかというと得意なサーキットじゃないんですけどね。でも、今年は、ドライでも表彰台に立てるように頑張りたい。ブラジルはいいレースだったけど結果がついてこなかった。今週は内容に結果がともなうようなレースにしたいですね」

 ――鈴鹿以来、もう11戦連続で優勝なし。そろそろ勝ってもらわないとね。悔しいレースだったなんて原稿、もう書きたくないしね。

 「すいません。うれしいって原稿書いてもらえるように、頑張ります」(聞き手=遠藤智)

■2000年10月11日掲載