第10戦チェコGP編
アウディRS4と記念撮影。待ちに待ったクルマがやっと納車になった(カメラ=遠藤智)
アウディRS4と記念撮影。待ちに待ったクルマがやっと納車になった(カメラ=遠藤智)
 第10戦チェコGPはノリックにとって何とも悔しい戦いとなった。11番グリッドからロケットスタートを決めて一気に3番手、ラスト3周まではトップのV・ロッシを追撃する2番手という快走を見せたが、終わってみれば4位。2戦連続で表彰台を逃した。予選用タイヤといわれる“ベリーソフト”を使ったことがレースでどう出たのか。ノリックが振り返る。
 悔しかった。また表彰台に立てなかった、という気持ちでいっぱいだった。最近、バトルになると負ける。今まではバトルになったら絶対に負けなかったのに……と、ただただ悔しかった。

 ピットに帰ってくると、皆がっかりしているのがよく分かった。それもそうだ。あと一歩で表彰台だったんだから。2位を走っていて、だれもが絶対に表彰台に立つだろうと思ったはず。しかし、ラスト2周でクリヴィーレとカピロッシに抜かれて4位。ドイツでもそうだったけれど、また最後にポジションを落としてしまった。

 でも、一番悔しかったのは、だれよりもこの僕だった、ということを知ってほしい。とにかく悔いが残ったのは、ケニー(ロバーツ)を抜くまでは2分2秒台前半で走れていたのに、抜いた後に2秒中盤から後半に落ちてしまったこと。ラスト2周でクリヴィーレとカピロッシに抜かれたのも悔しいけど、すべての原因は、あの中盤から終盤にかけてペースを維持できなかったことだった。

 あとでテレビを見て感じたのは、ビアッジが転び、ロッシがトップになって、僕が2番手になったとき、後ろにいたクリヴィーレが、が然やる気を出してしまったということ。

 クリヴィーレの後ろにはカピロッシが迫っていたし、僕がいい目標になってしまった。実際に後の記者会見で、クリヴィーレは、ビアッジが転び、表彰台が見えてきたけど、後ろにはカピロッシがぴったりとついていて……ということを言っていたらしい。

 とはいえ、僕が抜かれてしまったことは事実なんだ。それもこれも、中盤にペースが落ちてしまい、後ろの二人をやる気にさせてしまったのが一番いけない。あのとき、ああしていれば、このとき、こうしていれば、といろいろと考えるけど、自分にとっては100%の走りをやった。タイヤのせいでもないし、バイクのせいでもない。最近バトルに勝てない、という言葉は全部自分に向けられた言葉だという気がした。

 レースが終わった後、僕が“ベリーソフト”のリアタイヤを使ったことが随分と話題になったらしい。通常は予選でタイムを出す時に使う、ソフトのタイヤだった。これまで決勝では一度も使ったことはなかったけど、2日目の予選で使ったときに、グリップがいい、というよりも、すごくフィーリングが良かった。それで決勝前のウオームアップでもう一度使ってみることにしたけど、そこでもやっぱり、これしかないと思い、決勝で使うことにした。

 確かにミシュランのエンジニアからは、今までだれも使ったことがないから……と、ほかのタイヤを薦められた。しかし自分では絶対にいけると思ったし、レースが終わった後も僕の判断に間違いはなかったと思った。

 だから、ただただ悔しい。もうあれ以上は自分としては頑張れなかったけど、ラスト2周でクリヴィーレとカピロッシに抜かれてしまっただけに、もっと頑張れたんじゃないかと……。何度思い返しても、本当に悔しいレースだった。

 でも、もう終わったこと。気持ちは次のポルトガルに向けて切り替わっている。ポルトガルのエストリルは開幕前のテストでも調子が上向いたところだし、ここで流れを変えたい。それにドイツとチェコのレースはすごくいい勉強になった。今度こそは、と気合を入れているんだ。

 話は変わるけど、今回はうれしいことが一つ。今年の春にオーダーしていたクルマがやっと納車になったんだ。アウディのRS4。見た目は普通のクルマだけど、これが速いの何の。ツインターボの350馬力。バルセロナでもほとんど走っているのを見ないし、目立つの何の。ヨーロッパではずっとレンタカーだったし、すごくうれしい。毎日、慣らし運転を兼ねドライブしまくり。次のポルトガルも、このクルマで行こうかなと思っている。

■2001年8月31日掲載