オーストラリアGPプレビュー

 日本GPからの連戦となる第16戦オーストラリアGPが、10月17日(金)から19日(日)までの3日間、フィリップアイランド・サーキットで開催されます。前戦日本GPでは、昨年史上最年少記録でチャンピオンに輝いたRepsol Honda Teamのマルク・マルケスが、2年連続でタイトルを獲得。1963年にマイク・ヘイルウッドが23歳152日で樹立した、最年少での2年連続チャンピオンの記録を21歳237日でブレイクし、また一つMotoGPの歴史を塗り替えました。

 シーズン15戦を終えて、マルケスは11度のポールポジション(PP)を獲得し、11勝を挙げています。タイトル争いのプレッシャーから解放されたマルケスは、これからの3戦で、1997年にミック・ドゥーハンが樹立した、シーズン最多PP記録の12回と、12勝という大記録に挑むことになります。

 昨年のオーストラリアGPは、路面改修の影響でタイヤの消耗が激しく、ライダーの安全のためにMoto2クラスはレース周回数を短縮して開催。さらに、MotoGPクラスは周回数を短縮した上で、レース途中で新品タイヤを装着したマシンにチェンジする「フラッグ・トゥ・フラッグ」で行われました。この大会でマルケスは、指定されたピットインの周回数をミス。タイトル獲得を目前に失格という残念なレースでした。あれから一年、タイトルを獲得して挑むことになった今年の大会は、その雪辱に燃えています。

 今年は、シーズン開幕前にHonda、ヤマハ、ドゥカティのワークスチームが、フィリップアイランドでブリヂストンのタイヤテストを行い、万全の体制で挑むことになりましたが、マルケスはケガのためにこのテストに参加していません。今大会はマルケスにとって、フィリップアイランドの路面に対応した新しいタイヤでの初走行となりますが、今季12度目のPP獲得と12勝目への期待が膨らんでいます。

 フィリップアイランドは、一周4.448kmで高速コーナーが連続するレイアウトになっています。シーズンを通してアベレージの高い高速サーキットの一つですが、アクセルの全開率が高いコースレイアウトのため、エンジンの性能差がほとんど出ません。また、こうしたコースレイアウトの特徴により、スリップストリームを使い合うことになるため、毎年し烈なバトルが繰り広げられます。今年も壮絶な優勝争いが予想されますが、マルケスのシーズン最多PP、最多優勝の新記録への挑戦のほかに、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)と、バレンティーノ・ロッシ、ホルヘ・ロレンソのヤマハ勢による総合2位争いも注目されます。

 15戦を終えてペドロサとロッシは230点。ロレンソが227点という接近戦になっています。この3人の戦いは最終戦まで続くことが予想されるだけに、今大会は緊張感あふれる展開が予想されます。前戦日本GPで4位のペドロサは、「ツインリンクもてぎでは思うようなレースができなかったです。今大会はその雪辱に挑みたいです」と語り、気合満点。ペドロサにとってフィリップアイランドは、優勝未経験の数少ないサーキットの一つですが、総合2位を確実にするためにも、今季2勝目とフィリップアイランド初制覇に闘志を燃やしています。

 総合9位につけるステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、昨年、マレーシアGPで負ったケガのため、初日のフリー走行は走りましたが、予選と決勝をキャンセルしました。今年は2年ぶりの決勝レースになりますが、「得意なコース」と本人が語るだけあって闘志満々。今季ベストリザルトと今季初表彰台を狙います。また、マシンのセットアップが決まらず、シーズン中盤戦以降で苦戦が続いているアルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)は、問題解決に全力を注ぎ、今季2度目の表彰台を狙います。

 Hondaの市販レーシングマシン「RCV1000R」勢も、今季ベストリザルトに向けて気合を入れています。総合13位のスコット・レディング(GO & FUN Honda Gresini)は、前戦日本GPで16位と、ポイントを獲得できませんでした。今シーズン初めての、完走してもポイントを獲得できなかった悔しいレースとなっただけに、その雪辱に燃えています。第14戦アラゴンGPで8位、前戦日本GPで13位と、2戦連続でRCV1000R勢トップとなり、総合14位の青山博一(Drive M7 Aspar)は、アラゴンGPの8位を超えるベストフィニッシュを狙います。復帰3戦目となるニッキー・ヘイデン(Drive M7 Aspar)、2年ぶりのオーストラリアGPとなるカレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)も今季ベストを狙っています。

 今大会、Hondaは、最高峰クラスで4年連続21度目のコンストラクターズタイトルに王手をかけており、Hondaマシンを駆るライダーが3位以内でフィニッシュすれば、自力でのタイトル獲得となります。
 タイトル争いが上位3選手に絞られているMoto2クラスは、総合首位のエステベ・ラバト(Marc VDS Racing Team)が294点、総合2位のミカ・カリオ(Marc VDS Racing Team)が256点、総合3位のマーベリック・ビニャーレス(Paginas Amarillas HP 40)が224点となっています。今大会、ラバトがカリオに12点差をつけてゴールすればタイトルが決まるだけに、大きな注目を集めています。

 また、タイトル獲得の可能性を残すビニャーレスですが、3戦を残してラバトと70点差。事実上タイトル争いから脱落しているだけに、プレッシャーもなく全力で挑みます。第14戦アラゴンGPで今季2勝目、第15戦日本GPで2位と調子を上げているだけに、今季3勝目が期待されます。

 フィリップアイランドは、スリップストリームの使い合いとなることから、予選、決勝での接近戦が注目されます。前戦日本GPで13位の中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は、今季ベストリザルトに挑みます。負傷欠場の長島哲太(Teluru Team JiR Webike)の代役として出場の小山知良も、2年ぶりのオーストラリアGPを楽しみにしています。

 Moto3クラスもタイトル争いが山場となっています。総合首位のアレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0)は、総合2位のジャック・ミラー(KTM)に25点差をつけてオーストラリアGPを迎えました。今大会はミラーのホームグランプリですが、マルケスは「とにかくミラーに先着したいです」と、前戦日本GPからの2連勝となる今季4勝目を目指します。

 総合3位で、前戦日本GP10位と苦戦のアレックス・リンス(Estrella Galicia 0,0)は、チームメートのアレックス・マルケスと37点差になりましたが、残り3戦での逆転に闘志を燃やしています。昨年の大会では優勝しており、大会2連覇に注目されます、総合5位のエフレン・バスケス(SaxoPrint-RTG)は、日本GPで5戦ぶりの表彰台獲得となる2位。し烈な総合4位争いを勝ち抜くために、今大会も表彰台獲得に気合を入れています。
 マルク・マルケス(MotoGP チャンピオン)
 「数日前に日本で成し遂げた喜びに、少しだけ浸っています。2年連続でチャンピオンになれるなんて夢のようです。家族、チーム、Honda、Repsol、すべての関係者に対して、そのサポートに感謝しなければなりません。今大会は、これまでよりも少しだけリラックスして大会に挑むことができます。とは言え、引き続き、いい結果を残してシーズンを締めくくりたいと思っています。昨年の大会は悪夢のようだったので、今年はその雪辱を果たしたいです。ここは楽しい要素が多く、好きなサーキットです。天気がよくなることを願っていますし、天気がよければ週末は楽しめると思います」

 ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合3位)
 「日本GPは少しストレスがたまるものでした。しかし、そのことは忘れて、フィリップアイランドの戦いを楽しみたいです。ここでは、シーズン開幕前にタイヤテストをしていますが、あれから数カ月が経ち、コンディションも違うので、もう一度確かめながらの走行になると思います。今年のゴールはチャンピオンシップで2位になることです。その達成のために、100%の力を注ぎたいと思っています。フィリップアイランドは、とてもエキサイティングなコースです。昨年のような問題が起こらないことを望むばかりです」

 ステファン・ブラドル(MotoGP 総合9位)
 「みんなと同じように、フィリップアイランドは好きなサーキットです。スピード感あふれるコースで、リズム感もあります。125cc、Moto2時代もいい成績を残してきました。しかし、課題は天気が不安定なこと。だから天気がよくなることを望んでいます。我々の目標はこれまでと変わらないし、少しでもいい成績を残そうとモチベーションが高いです。今年はフリー走行でタイムが出るのですが、予選ではほかのライダーたちに比べると、思うほどタイムが伸びず、マシンも改善しないのが課題です。今週末は、このポイントの改善に集中して取り組んでいきたいです」

 アルバロ・バウティスタ(MotoGP 総合11位)
 「フィリップアイランドは前戦日本GPのもてぎとは全く異なるサーキットで、安定性が重要となる高速コーナーが多いです。このコースで、もし、これまでと同じようにリアタイヤのグリップに苦労するようなら、厳しい戦いになると思います。レースを左右するポイントは2つ。1つは不安定な天気で、この時期はいつも雨が多いこと。それともう1つはタイヤ。昨年と同じような問題が起きるかもしれません。いずれにしても、新しいコンパウンドのタイヤでしっかりロングランをしなければなりません。もし、リアグリップの問題を解決できなければ、厳しい戦いになると思います」

 スコット・レディング(MotoGP 総合13位)
 「フィリップアイランドは大好きなサーキット。高速コースなので、ここをMotoGPのマシンで走るとなれば、楽しいに決まっています。でも、フィリップアイランドはいつも強い風が吹くので、その状況でマシンがどんな挙動をするのかを見極めなくてはなりません。もてぎではフルタンクの状態でのブレーキングに問題があり、最悪のレースとなってしまいました。今大会では、この解決策を見つけなければなりません」

 青山博一(MotoGP 総合14位)
 「今、チームのモチベーションがとても高いです。フィリップアイランドは特別なサーキットで、高速コーナーもタイトなコーナーもあって、とても好きなレイアウトです。しかし、天候が不安定で、強風が吹き荒れたり寒かったりするので、今年は天気がいいことを望んでいます。天候に恵まれれば、安定したいいレースができると思います。このサーキットは、高速ストレートが1本だけ。そのほかの中高速コーナーとタイトなコーナーは我々のマシンに適していますから、それが追い風になると思います。セットアップを進め、もてぎよりもいい結果を残したいです」

 ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合16位)
 「フィリップアイランドはいつも楽しみにしていて、復帰3戦目でこの大会を迎えられるのがうれしいです。このサーキットはすべての要素を備えていますし、自分が育ったダートトラックのような走りになるところが多く、とても好きです。加えて、それほどハードブレーキングのポイントが少ないので、手首への負担が少なくて助かります。左コーナーが多いので、右手への負担も少ないです。今大会はいいレースができると信じています」

 カレル・アブラハム(MotoGP 総合17位)
 「もてぎではブレーキの問題に苦しみましたが、フィリップアイランドはハードブレーキングのポイントが少ないので、期待しています。もてぎでは大きなディスクプレートを使って、うまくいきませんでした。今回はスタンダードなサイズのもので走るので、日本GPのような原因不明のブレーキ問題に悩まされることはないと思います。フィリップアイランドは、250cc時代の09年に6位というベストリザルトを残しています。昨年の大会は出場できませんでしたが、MotoGPクラスでは10位以内の結果を残しているので、今大会はHonda RCV1000R勢のトップを狙っていきたいです」
 エステベ・ラバト(Moto2 総合1位)
 「ダンロップのタイヤテストを今年の開幕前のテストで行っていますが、あまりアドバンテージにはならないと思います。なぜならMoto2クラスの上位ライダーは、このサーキットをよく知っているからです。フィリップアイランドは好きなサーキットですが、前戦日本GPのもてぎでは、好きなサーキットだったのに問題が発生しました。そういうこともあるので、今大会もいいセッティングを見つけるために全力を尽くさなければなりません。そして、目指すゴールは日曜日の決勝で勝つことです」

 ミカ・カリオ(Moto2 総合2位)
 「前戦日本GPでは、自信があったのですが、トラブルがあって思うように走れませんでした。その問題を今大会で解決しなければなりません。そして、解決策のアイディアもあります。ただし、金曜日のフリー走行でそれを試して、方向性を間違えないようにしなければなりません。昨年の大会はタイヤの問題がありましたが、シーズン前のダンロップのテストでクリアできたと思います。もちろん、テストのときとはコンディションが異なりますが、テストのときにいいラップタイムを刻むことができているので、とても楽しみにしています」

 マーベリック・ビニャーレス(Moto2 総合3位)
 「フィリップアイランドでは速く走れると思います。Moto3クラスで出場した昨年の大会は、1000分の3秒差で2位でした。Moto2では初めてのレースとなりますが、いいレベルに仕上がっています。チームは今、強い状態をキープしていますし、ここでもう一度トップを取りたいと思っています」

 中上貴晶(Moto2 総合23位)
 「今年のベストリザルトを狙った日本GPは、予選までの走りを結果につなげられず、本当にふがいない結果になりました。応援してくれたファンの方々には申し訳ない気持ちです。シーズンは残り3戦になりましたが、ここで皆さんの期待に応えたいと思います。昨年のオーストラリア大会はスタートに失敗して結果を残せませんでした。しかし、好きなサーキットなので、今年こそという気持ちです」

 アレックス・マルケス(Moto3 総合1位)
 「フィリップアイランドは一番好きなサーキットの一つです。でも、タイトルを争う(ジャック)ミラーにとってはホームサーキットになるので、オーストラリアのファンのサポートはすべて彼のものになると思います。今大会は我々にとって本当に重要なレースになりますし、もう一度もてぎのように勝ちたいと思います。なにがなんでもミラーと(アレックス)リンスの前でゴールして、マレーシアにつなげたいです」

 アレックス・リンス(Moto3 総合3位)
 「フィリップアイランドは、自分の走りに最も合っているサーキットだと思いますし、表彰台を勝ち取るためにベストを尽くします。まずはいいグリッドを勝ち取ることが最初の目標となります。もちろん、それだけでは十分でないことも分かっていますが、昨年のように優勝を目指したいです」

 エフレン・バスケス(Moto3 総合5位)
 「大好きなサーキットなので、今大会の目標は、レースを楽しむことです。タイトルを獲得する可能性は事実上なくなりましたし、それだけに残り3戦を実りあるものにしたいと思います。もてぎの2位という結果は、これまで結果を残せなかった戦いを深く考えさせられるものになりました。すべてのセッションでしっかり力を出せたら、おのずといい結果がついてくると思っています」(HONDA)