スズキGSX-RR
最終戦バレンシアでMotoGP復帰への一歩を踏み出す
 2014年の最終戦MotoGPクラス決勝が、スペイン・バレンシアサーキットで11月9日に行われた。このレースにスズキは、来季から本格復帰するファクトリーマシンGSX-RRをスポット参戦させ、実戦の中で現状の力を確認することとした。

 小雨がぱらつく曇り空の下、決勝レースは行われた。不安定なコンディションはライダーにとって難しい状況を作り、いつも以上の繊細なマシン操作と高い集中力を要求することとなった。

 チーム・スズキは活動を休止した2011年以来のMotoGPマシン参戦となる。ライダーは、ここまでマシン開発を担うライダーの一人として活躍してきたランディ・ドゥ・プニエ。前日に行われた予選では20位に付け、決勝ではポイント獲得のために一つでも前の順位獲得をねらった。しかしマシンのマイナートラブルにより、18周を残してレースをリタイヤすることとなった。

 チームはバレンシアサーキットに到着後、マシンのセットアップや、ここまでテストしてきた様々な事柄を実戦の中のデータで比較検討しながら、さらなるポテンシャルアップのためにハードワークを続けた。

 33歳のベテランライダーであるランディ・ドゥ・プニエは来季、スズキGSX-R1000でワールドスーパーバイクシリーズを戦うこととなった。そのためにチーム・スズキのスタッフは、ランディのMotoGPでの最後の大きな仕事となるこのレースで活躍できるよう、可能な限りのバックアップを行った。ランディ自身、このプロジェクトの重要性と今回のワイルドカード参戦の意味をよく理解しており、各セッションの中で得られたフィーリング、予期できる問題などを的確に指摘し、着実にマシンのセットアップを進めていった。

 スズキは2014年のオープンカテゴリーウイナーであるアレイシ・エスパルガロと、Moto3クラスのチャンピオンであるマーべリック・ビニャーレスをチームに迎え、2015シーズンを戦うこととなる。そして最終戦バレンシアの決勝の翌日には同サーキットで、メディア向けの発表会と、走行テストが行われた。
 ランディ・ドゥ・プニエ
 「この週末が簡単な仕事ではないことは事前に十分理解していた。チームの全員がベストを尽くし、一つでも上のポジションでゴールできるようにトライし続けたが、ギアボックス回りのトラブルが決勝中に発生してしまい、チェッカーを受ける前に走ることを止めなければならない状況になってしまった。こうした難しいコンディションでは、我々ワイルドカード参戦ライダーでも上位入賞を果たすチャンスがあるだけに、とても残念なトラブルだった。しかしレースは終わってしまったし今、私はもう、来季から参戦するワールドスーパーバイクに頭を切り換えたいと思う。今年、スズキのスタッフとともに行ってきたMotoGPマシンの開発は私にとって楽しい仕事だったし、その中で得たノウハウは次の新しいGSX-RRライダーたちに伝えたいと思う。」

 ダビデ・ブリビオ(チーム・マネージャー)
 「我々はこの週末、いくつかの技術的課題に直面した。それは、テストでは経験したことのないような種類の問題だった。問題を抱えたことはレースを戦う上で障害となるが、視点を変えればこのタイミングで実戦参加し、その中で問題を見付けることができたのはチームにとって大きな収穫と言える。我々は引き続き、エンジンやエレクトロニクスの熟成を図らなければならないし、この作業には既に着手している。我々はこの週末、マシンに関するたくさんの情報を得ることができた。そうした意味において、このバレンシアのレースはとても良いものであった。さらにこのバレンシアに残り、我々はテストを続ける。たった一日ですべてを解決するような方法を見付けることはできないのは分かっているが、意欲的にテストを続け、マシンを進化させていく。新しくチームに加わるライダーたちは一刻も早くGSX-RRに乗りたがっており、マシンの感覚を確かめたいと言っている。我々は彼らにベストコンディションで乗れるマシン、環境を用意し、良いテストにしたいと考えている。」

 寺田 覚(チーム・ディレクター)
 「チームにとって今週末はとてもタフなものとなった。我々はいくつかの技術的問題を抱えてしまったが、十分な解決策を見付けることができなかった。ランディはこの2年間、意欲的にテストをこなし、マシン開発に多大なる貢献を果たしてくれていただけに、彼の最後のMotoGPライドとなったこのレースで良い結果を出すことができず、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。我々は、彼が今回のレースで全力を尽くしてくれたことに心から感謝している。我々は3年間、MotoGPのステージから離れ、復帰第1戦を今日、迎えることができた。そしてそのレースで、非常にたくさんのことを学ぶことができたし、問題点を見付けることができたのは大きな収穫だった。明日、我々は若いGPライダーたちとテストを行うが、彼らのマシンインプレッションを聞くのがとても楽しみだ。まずは抱えている問題点を解決するのが最初の我々のやるべき仕事であり、来年2月のセパンテストに向け、マシンのさらなる進化を続けていく。」(SUZUKI)