新春対談で95年の飛躍を誓い合ったノリック(左)と野田=東京・港区の新高輪プリンスホテルで(カメラ=野間智)
新春対談で95年の飛躍を誓い合ったノリック(左)と野田=東京・港区の新高輪プリンスホテルで(カメラ=野間智)
「95年は猪突猛進!! お立ち台必ず」

 世界に雄々しく羽ばたく若鷹二羽……、F1へ本格挑戦する野田英樹とWGP(世界選手権二輪)GP1(500CC)にフル参戦するノリックこと阿部典史が、新年にかける思いを語り合う夢対談が実現した。野田25歳、ノリック19歳。フレッシュなトークを。(司会=遠藤智)
 ――95年期待のおふたりの初顔合わせが実現しました。まず95年の活動予定からうかがいましょうか。

 野田「阿部君は随分いいチームで走れるそうですね」

 阿部「ありがとうございます。チーム・ロバーツに決まりました」

 野田「スゴい。チーム・ロバーツっていうと、F1で言うとマクラーレンかな。チームメートはだれ?」

 阿部「ルカ・カダローラです。野田さんの方は順調にいっていますか? シムテックとか……」

 野田「ええ、何とか年内に決まりました」

 ――ノリックは今19歳ですけど、野田さんは19歳のころはどこで走ってました?

 野田「日本でF3を走ってました。20歳でヨーロッパに行ったんです。でも、阿部君は19歳でGPの500CCに乗っちゃうわけでしょ。500でチャンピオン取ったら、次どうするの? 四輪には興味ないの?」

 阿部「いや、実は去年のオフにカートを買ったんです。外国製エンジンの速いヤツで、結構楽しめるんですよ」

 野田「僕はバイクと知り合う前にカートと知り合っちゃったから。それが13歳の時。カート知らなかったら、二輪に行ってたかもしれないな」

 ――ノリックは今年から外国住まいになるけど、どこに住むの?

 阿部「チームの拠点があるスペインかアメリカに住むつもりです。どちらになるかは分かりませんが、言葉が不安で」

 ――野田さんはもう海外は長くて、英語の方はかなり?

 野田「英語は問題ないですけど」

 ――ノリックは契約の時、英語をしっかり勉強してきなさいと言われたそうですよ。

 野田「16歳の時にアメリカ行ったことあるんでしょ。だったら、大丈夫じゃない?」

 阿部「ダメなんです。勉強なんか一切していなし、ただバイクに乗ることしか考えてませんでしたから。この前F1のレースをテレビで見てたら、野田さんがインタビューに出て、英語ペラペラだから、スゲエなあって尊敬してしまいました。僕もやんなきゃいけないって思うんだけど、結局やんない(笑い)」

 野田「でも、僕も19歳のころは話せなかったなあ。20歳になって向こうへ行っても、一言も話せなかったんです。“ハワユー”って聞かれても、何を言われてるのか分からなくて。“ハロー”と“バイ”しか言えなくて。1年で片言、ちゃんとしゃべれるようになるには2年はかかりましたよ」

 ――どんな勉強したんですか?

 野田「1年目は学校に行きました。ある程度しゃべれるようになると、友達はできるし、やっぱり上達の近道は現地でガールフレンドを見つけることじゃないですか」

 阿部「いいアドバイス、ありがとうございます(笑い)」

 野田「でも、スペインで見つけちゃダメだよ。確かにスペインの女の子はきれいだけど、それじゃ英語勉強できないから」

 阿部「ハハハッ、そうですね」

 ――ノリックの今後の予定は? 忙しくなる?

 阿部「昨年、12月10日にトレーニングのためにアメリカへ出掛けて、年末に帰って来ました。年明けは、豪州の開幕直前までアメリカに滞在することになります」

 野田「阿部君は普段もバイクに乗っているの?」

 阿部「普段の足は車です」

 野田「でも、東京だとバイクの方が渋滞で苦労しないからいいんじゃない?」

 阿部「そうですけど、どうせ乗るのなら限定解除に乗りたいんです。でも、免許持ってないから」

 野田「取りに行きゃ、すぐじゃないの」

 阿部「実は落ちたんですよ! 試験官が何が不満だったか知らないけど、試験に落とされて頭にきたから、取りに行ってないんです」

 ――そのうっぷんはレースで晴らすとして、アメリカでの食生活は? 自炊はできますか?

 阿部「できないです、何も」

 野田「炊飯器持っていった方がいいよ。僕はイギリスにいる時は週3回くらいご飯を炊いた。イタリアにいた時はスパゲティで十分だったけど、イギリスは飯まずいから自分で作らないと満足できない」

 ――ノリックはご飯党じゃないんですか。

 阿部「米は大好きですよ。でも、なぜか向こうに行くと食べる機会がない。欲求不満になりそうです(笑い)」

 ――野田さんが料理を教えてあげたら。

 野田「僕だって、ロクなもんは作れませんよ。カレーとかちらし寿司程度。でも、面白いよ、料理やり出すと」

 ――まだノリックは19歳。将来はいつの間にか料理しているかもしれませんね。

 阿部「そうなったらいいんですけど」

 野田「料理できるガールフレンド見つける方が早かったりして」

 阿部「いやあ、どうなることやら(笑い)。それより野田さん、今年の抱負は」

 野田「気合は入っていますよ。実質2年目だから、その中で再来年くらいにトップ争いができたらいいな、と思ってます。で、今年は右京さんに頑張ってもらおうっと(笑い)」

 阿部「ぼくは当たってくだけろ。がむしゃらにやるだけです」

 (東京・港区の新高輪プリンスホテルで)
◆阿部典史(あべ・のりふみ) 
 75年9月7日、東京都世田谷区生まれの19歳。愛称ノリック。オートレーサーの父・光雄さんの影響を受け、ポケバイでミニバイクレースを始めた。中学卒業と同時に渡米しダートレースで修行。93年に国際A級昇格と同時に全日本選手権の500ccクラスにデビュー。18歳で史上最年少チャンピオン。WGPは昨年4月の日本GPにスポット参戦。初の海外レースとなるイギリスGPで転倒して右手甲を骨折も、チェコGP、アメリカGPで6位入賞。

◆野田英樹(のだ・ひでき)
 69年3月7日、大阪府豊中市生まれの25歳。13歳でカートデビュー。87年にFJ1600に参戦し15戦4勝。89年に渡英し、ヨーロッパFVLシリーズで優勝1回、入賞7回で総合5位。90年英F3に昇格し、最高4位。91年は優勝1回、総合7位。92年から国際F3000に参戦し、94年第3戦で日本人初の表彰台(3位)に上った。F1には94年第14戦ヨーロッパGPからの3レースにラルースで参戦。いずれもリタイアに終わった。