500の速さならオレも負けない!! WGP4年目を迎えたノリックは世界最速の新幹線「のぞみ」にチャンピオンを誓う=JR西日本博多総合車両所で
500の速さならオレも負けない!! WGP4年目を迎えたノリックは世界最速の新幹線「のぞみ」にチャンピオンを誓う=JR西日本博多総合車両所で
ノリック、みんなの“のぞみ”乗せて新シーズンへ発進

 WGP500CCクラスで4年目のシーズンを迎えるノリックこと阿部典史がタイトル獲りへ発進! 1998年の新年を、世界一速い新幹線『500系のぞみ』とともに祝った。もちろん、ノリックの目標は世界一。周囲も世界チャンピオンの誕生を今や遅しと待ち受けている。みんなの“のぞみ”を乗せて、さあ新しいシーズンがスタートする。
 ノリックと「500系のぞみ」の“時速300km対決”が実現。ともに世界最速を誇るつわものだけに、対面した瞬間にお互いの実力を認め合った。じっと見つめ合う2人はまるで会話しているよう。

 「見るからに速そう。まるで飛行機みたい。今までの新幹線とはやっぱり違う」とノリック。「君こそ見るからに速そうだ。チャンピオンの風格が漂っているし、今までとは違うシーズンになりそうだ」と“のぞみ”がライトを光らせて予言した。

 そんな初夢はともかく、昨年、フランスのTGVを抜いて世界一になった500系のぞみに触発されて、ノリックが全身にアドレナリンをたぎらせたことは事実だ。

 「去年はシーズン3勝という目標を達成できなかった。だから今年は、取りあえずシーズン1勝目を挙げて、去年達成できなかった3勝を目指すところから始めたい。そのためにも、去年の最終戦オーストラリアGPのようなレースを開幕戦からできるようにしたいですね」

 95年からWGPの500CCクラスにフル参戦、96年には初優勝を飾り、トントン拍子で頂点を目指してきた。しかし昨年はデビュー以来、初めてスランプに直面する。ランキングも7位に低迷。

 しかし、最終戦オーストラリアGPでは本来の走りを取り戻し、優勝争いを演じて3位になった。これまで味わったことのない苦しいシーズンが、ノリックをひと回りもふた回りも成長させ、バイクとのコンビネーションが良ければ“速い”ことを証明した。

 これまで弱点となっていたのは、予選の走りとバイクのセッティング能力。本番にならないと本当の走りができなかったノリックだが、98年に向けてのオフのテストではこれを解消。「自分に合ったバイク。走りに何の迷いもないバイクに仕上げるテクニックもやっと覚えてきた」と、ウイークポイントを完全に克服した。

 持ち前の速さに経験が備わって、安定感が増した。それでいて22歳という若さ。ヤマハのエースとして、ニッポンのエースとして、日本人初の500CCチャンピオンが現実のものになってきた。世界一への“のぞみ”が、いよいよ手の届くところへやってきたのだ。

 新しいシーズンに向けてのテストは、2月上旬からオーストラリアで始まる。開幕戦は3月29日のマレーシアGP。バイクで世界最速の500CCマシンに乗るノリック。のぞみと世界最速の対決の始まりだ。「開幕戦ダッシュ(奪取)」。そんな期待のシーズンが、まもなく幕を開けようとしている(遠藤智)

 ○…WGP・500CCクラス4年目のシーズンを迎えるノリックは、90〜92年と3年連続で同クラスでチャンピオンになったW・レイニー監督率いる「ヤマハ・チーム・レイニー」から出場。今年は「ゼッケン7」をつけて戦う。チームメートはフランス人のJ−M・バイル。フルモデルチェンジとなった98年型ヤマハYZR500も好調で、6年ぶりのタイトル獲得に燃えるヤマハの期待を一身に担っている。

 ★500系のぞみ 昨年11月29日のダイヤ改正で、東京〜博多間を4時間49分、最高速度300kmで営業運転を始めたJR西日本の新幹線。トンネルに入る際の圧力波や騒音を軽減するために、約15mに及ぶロングノーズとなっているのが特徴。スピード感あふれる丸く滑らかな車体形状と乗り心地を良くするためにアクティブサスペンションを採用。技術の最先端を行く新型車両でもある。16両編成の500系のぞみの値段は1編成45億円。

 2停車駅間の平均速度記録(広島〜小倉間192・2kmを44分で走行)261・8km/hは、フランスTGVの253km/hを抜いて世界記録と認定された。

 「500系」は型式で、最初のこだまが「0系」、現在ののぞみが「300系」。