“誓いのたこ揚げ”で今年のスタートを切ったノリック(カメラ=渡辺利博)
“誓いのたこ揚げ”で今年のスタートを切ったノリック(カメラ=渡辺利博)
「富士に誓う完全燃焼&12年ぶりヤマハ・タイトル奪還」

 ノリックこと阿部典史(28)が04年のロードレース世界選手権(WGP)のモトGPにフル参戦復活。自身のホームページで発表したもので、昨年12月、ヤマハと契約更改、参戦体制などについては触れていないが、ヤマハ陣営4番目のシートに座ることが決定したもよう。ヤマハ2チームのメーンスポンサーで、「ゴロワーズ」「フォルツナ」の両ブランドを持つアルタディス社が4人のライダーのシート振り分けを調整中だが、ノリックはテック3から参戦となりそうで、早ければ、今月中旬にも正式発表の運びとなるはずだ。


 真っ白な雪をかぶる富士山をバックに、ノリックがたこ揚げで新年のパフォーマンスだ。

 富士山頂に吹き上げる風は体ごと飛んでいきそうな勢いだったが、風を操るのはお手のもの。両手ににぎった「賀正」と「七福神」のたこを巧みにさばいたノリック。日本晴れの下で、最高の笑顔をみせてくれた。

 それもそのはずだ。念願のレギュラーシート奪還に、自然と声も弾む。「まだ詳細は言えませんが、フル参戦することが決まりました。去年は控えだったし、不完全燃焼のシーズン。今年はレギュラーですからね。自分の力を100%出し切りたい」と、力強く飛躍を誓った。

 ヤマハとの契約更改は昨年12月に終えている。ヤマハの構想としては今季の4台体制をそのまま維持することが決まっており、すでに発表されているV・ロッシ、C・チェカ、M・メランドリの3人にノリックが加わることが既定路線として予定されていたのだ。しかし、ホンダに移籍する予定のA・バロスとヤマハのメーンスポンサーのたばこ会社「アルタディス社」との話し合いがもつれ、最終決定に至らなかった。

 それが先月上旬、バロスの代理人を務める弁護士とアルタディス社との間で、2年契約の解消&ホンダへの移籍で合意。アルタディス社は一時、250クラスに参戦しているスペイン人ライダー、F・ニエトの起用を要望したといわれるが、ヤマハの当初の構想通り、実績のあるノリックで決着。昨年のテストライダー兼スーパーサブという厳しい境遇から、見事、レギュラー復活を果たしたというわけだ。

 ヤマハ陣営は今月下旬にマレーシア・セパンで今年初の合同テストをスタートさせる。エース、ロッシを軸にした新体制4人が勢ぞろいすることになるが、それまでにはチーム名など最終的な体制が発表されることになる。

 がけっぷちからはい上がったノリック。「詳しいことは、もう少し待ってください」と語るばかりだが、12年ぶりのタイトル奪還に燃える新生ヤマハ陣営の強力なパワーになりそうだ。 (遠藤智)
 〇…お正月恒例となったノリックのチャレンジシリーズ。世界最速500系のぞみとの記念撮影、スカイダイビング、ロッククライミングなどなど、話題を提供してきたが、昨年はレギュラーから外れて中断、今年も正式発表がこれからということで、ちょっと控えめ、富士山をバックにたこを揚げることになった。冬の空っ風の強さに撮影も難航かと思われたが、さすがに風を操るのはお手の物、あっさりとこなしてくれた。

 ノリックは94年にWGP500にスポット参戦。95年から02年までフル参戦(01年からはモトGP)し、総合5位が最高位。昨年は5戦出場でランク16位。通算成績は128戦3勝17回の表彰台。モトGP現役日本人ライダーでは最多の出場数だ。その記録更新と00年の日本GP以来の優勝に大きな期待がかかる。

 「こんなにきれいな富士山を見るのは初めてかも」とご機嫌だったノリック。復活を懸ける一年にふさわしい幕開けだった。(遠藤智)