直線主体の大胆なデザインが特徴的なヒョンデのEV「アイオニック5」(大谷達也撮影)
直線主体の大胆なデザインが特徴的なヒョンデのEV「アイオニック5」(大谷達也撮影)
 韓国最大の自動車メーカー「ヒョンデ(現代自動車)」の電気自動車(EV)に試乗しました。

 キアやジェネシスなどのブランドを傘下に収めるヒョンデグループは、2021年に全世界で約668万台を販売し、トヨタ、フォルクスワーゲン、ルノー/日産/三菱に続く世界第4位にランクイン。今年も上半期にトヨタとフォルクスワーゲンに続く3位になったことが報道されました。

 日本市場では01年に参入したものの、販売が伸び悩んで09年に撤退した苦い過去があります。それが今年からの再参入を決定。経営トップの「競争が厳しい日本市場で高い評価を手に入れたい」という強い意志が働いた結果だそうです。

 販売戦略も大きく見直されました。これまでの「低価格路線」を撤回する一方で、日本市場に合わせた仕様をきめ細かく見直したそうです。名称も以前の「ヒュンダイ」から、韓国語の発音に近い「ヒョンデ」に改めました。

 注目されるのは、日本にはEVと燃料電池車(FCV)のみを販売するとした点にあります。独自性や先進性を強調しようという狙いがあるようです。今年から売り出したのも、EVの「アイオニック5」とFCV「ネクソ」の2車種です。

 試乗したのはアイオニック5です。デザインの斬新さに目を奪われましたが、運転もしやすく快適で、目立った弱点は見当たりませんでした。価格は479万円〜589万円で、10月末時点で約500台のオーダーが入っているそうです。デジタル装備が充実し、若い人たちから支持されても不思議ではないように感じました。

 EVを巡っては、欧州系の自動車メーカーが、こぞって「全面的にEVに切り替える」と声高に主張していた時期がありました。確かに少しずつEVモデルの数をふやしているものの、あと10年程度で「全面切り替え」の目標を達成するのは容易ではなさそうな状況です。今のところ、忠実に実践しているのは「ボルボ」だけというのが、私の見立てです。

 いずれにせよ、EV化を巡る世界情勢は刻一刻と変化を続けています。国産メーカーを含め、これから魅力的なクルマも出てくるでしょうが、将来像を断定的に語るのは危険といえるでしょう。 (自動車ライター)