クーペ風のスタイリングが印象的なメルセデスEQS450+。2560kgもの車重がありながら、電費は良好だった(大谷達也撮影)
クーペ風のスタイリングが印象的なメルセデスEQS450+。2560kgもの車重がありながら、電費は良好だった(大谷達也撮影)
 メルセデスベンツにとって最新かつ最高級の電気自動車(EV)が「EQS」です。日本で発表されたのは今年9月。ボディーサイズは全長が約5.2メートルで、同社最大のセダンであるSクラスに匹敵します。価格も今回試乗した標準モデルのEQS450+が1578万円。高性能版のAMG EQS 53 4MATIC+は2372万円にもなります。

 メルセデスのEVであることを示す「EQ」シリーズは、多くのメーカーが売り出しているEVの中でもとりわけ車内が静かで、乗り心地もソフト。いかにもメルセデスらしい印象です。その最高級モデル「EQS」は、ひときわ静粛性が高く、乗り心地も快適です。

 コックピット周りには大きなデジタルディスプレーがいくつも並び、多くの情報がグラフィカルに表示されます。アクセルやハンドルの操作をクルマがサポートしてくれる運転支援装置を使って高速道路を走っていると、自分が運転していることを忘れ、まるでSF小説に出てくる宇宙船を操っているような気分になります。

 EQSのもう一つの特徴は、セダンというよりも4ドアクーペのように見えるスポーティーな外観にあります。ボディー前端から後端までを、一筆書きのようなスムーズな曲線で描いたデザインのおかげもあって、0.20という空気抵抗係数を達成しました。これは量産車として世界最高の値だそうです。

 さらに107.8キロワットアワー(kWh)という巨大なバッテリーを搭載しています。この結果、航続距離は現在国内で販売されているEVとして最長の700キロメートルを実現しました。

 筆者は都内でEQSを借り出し、箱根の山道を走ってから返却。その時に200キロメートル以上走っていましたが、まだ400キロメートルの走行が可能でした。これであれば、日帰りドライブの途中で充電が必要になる−ということもなさそうです。高価なのでおいそれと手は出ませんが、航続距離の長さでEVへの既成概念を打ち破る力を備えていると感じました。 (自動車ライター)