高い質感を維持しながら軽量化を実現したスズキ・スイフト(大谷達也撮影)
高い質感を維持しながら軽量化を実現したスズキ・スイフト(大谷達也撮影)
 スズキの小型車「スイフト」が7年ぶりにフルモデルチェンジし、5代目が昨年末から売り出されました。デザインや走りの良さが人気のコンパクトカーで、購入者の平均年齢が44・8歳と、競合他車に比べて約10歳も若いことが特徴です。

 新型もデザイン性や走りの良さを維持しつつ、インターネットに接続できるコネクテッド機能や安全装備を充実。ターゲットの若年層にアピールすることを目指したといいます。

 実際に試乗してみると、開発者の意図どおり、走りの軽快さが印象的でした。少し硬めの足回りは、小気味よいハンドリングを生み出す一方で、ボディーがしっかりとしているため、足回りからの衝撃を巧みに吸収し、いやなショックを伝えません。ちょっと欧州車に似た味付けですが、ハンドリングと乗り心地をここまで高い次元で両立させた日本車は、そう多くはありません。

 実はスイフトが最も売れている海外市場はインドで、続いて欧州。走りの良さは、欧州での人気を維持するには必須だったと考えられます。

 一方で、最も注目されるのは「軽さ」です。試乗車は、簡易的なハイブリッドシステムの「マイルドハイブリッド」を装着していたにもかかわらず、車重は950キロ。競合社にも近い重さの車種はありますが、スイフトほど走りの上質さや、内外装の造りのよさには到達していないように思います。

 スズキは、鈴木修前会長が「1部品1グラム軽量化運動」を推進するなど、昔から軽量化に熱心な自動車メーカーです。その根底には、「クルマの重量増はコスト増に直結する」という考え方があったようです。

 私も、主に二つの理由から軽量化運動は重要だと考えます。一つは鈴木前会長と同じくコスト削減です。今後はさまざまな規制強化で、自動車の価格はどんどん上昇し、多くの人が手の届かない商品になる恐れがあります。これを防ぐためにもコスト削減は欠かせないでしょう。新しいスイフトは上級グレードこそ200万円超ですが、廉価版は172万7000円と軽自動車並みです。

 もう一つは省資源。世界人口がこのまま増え続ければ、さまざまな資源需要が増加して、資源不足に陥ると予想されています。そうした時代に備えるためにも、軽量化は重要です。

 そもそも軽くすれば燃費は良くなり、走りも軽快になります。ちなみに新型スイフトはカタログ上、燃費が最高28・9キロ/リットル。そうした工夫を質感を落とすことなく実現しているスズキの姿勢に強い共感を覚えました。(自動車ライター)