赤松孝撮影
赤松孝撮影
 9月19日と20日、全日本ロードレース選手権第3戦オートポリスが開催されました。第2戦に予定されていた岡山国際が大型台風の予報でキャンセルされ、開幕戦となったSUGO大会から、約1か月空いての開催でした。今季から始まったST1000にスポット参戦したライダーたちを紹介したいと思います。

 一回目は、Vamos Racing with A−TECHから参戦した岩戸亮介。2013年に名門・チーム高武から全日本ロードに参戦して頭角を現し、2018年シーズンに全日本ロードレース選手権JGP2でチャンピオンを獲得。次期ホンダのエースライダーになるのではと言われ、大注目の岩戸でしたが、2019年にカワサキチームグリーンに迎えられ、渡辺一馬とともにJSB1000に参戦、ランキング9位となりました。

 今年、飛躍が期待される若手ライダーとして、チームグリーンは岩戸をエースライダーに昇格させ単独参戦すると噂されていたのですが、全日本ロードへの参戦は無くなり、Kawasaki Thailand Racing Team ARRCからARRC ASB1000クラスに初挑戦することが発表されました。

 ARRC開幕戦は3月7日、8日にマレーシア・セパンサーキットで行われ、岩戸は初の海外レースに挑みました。雨となったレース1ではヤマハ・伊藤勇樹が初優勝を飾り、ドライコンディションとなったレース2では、BMWを駆るドイツのマルクス・レイテルバーガーが優勝を果たしました。

 岩戸はレース1では転倒、レース2は7位でチェッカー。本人にとっては悔しい結果でしたが、監督の藤原克昭は「初めての海外レース、マシンもタイヤもチームも初めて。全てが初めてという挑戦はかなり厳しいもの。それでも、その中で力を発揮していかなければならない」と岩戸の境遇に理解を示しながらも、いずれ力を発揮してくれることを期待していました。

 岩戸は「アジアのレベルは高く、レース2で勝ったマルクスは、スーパーストックのチャンピオン。他のアジア参戦のライダーたちも強豪で、ここでしっかりと戦うことで成長したい」と今後の活躍を誓いました。
赤松孝撮影
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 しかし、新型コロナウィルスの猛威で、その後のARRCの再開は難しく、シリーズ戦は中止が発表されました。

 帰国した岩戸は、自粛期間中、自宅で出来るトレーニングをこなし、自粛が明けてからは自転車トレーニング、モタードと屋外に出て、鍛錬の日々をこなします。岩戸は「この期間をマイナスに捉えるのはなく、プラスにしたいとトレーニングを続けています。モタードでは中古タイヤをもらって、時間の許す限り乗り続けています。レースが1番ですが、それでも、スキルアップできていると感じています」と前向き。

 そんな努力を続ける岩戸に、カワサキが動いてくれました。アジアのスタッフが集まり、オートポリスへの参戦が実現したのです。岩戸は「JGP2で戦ったライダーがST1000に多く参戦しています。だがら、走るのが楽しみです。福岡県出身の自分にとっては地元のレース、カワサキにとってホームコースですし、目指すのは優勝。参戦する以上、勝ちを狙います」と気合がこもっていました。
赤松孝撮影
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 事前のテスト走行では天候に恵まれず、結果的にはぶっつけ本番のレースとなります。

 迎えた決勝レース、岩戸はトップ争いを繰り広げます。名越哲平との2番手争いを見せ、レース終盤では、元チームメイトの作本輝介(ホンダ)が3番手・岩戸を追う展開に。作本も鹿児島県出身の地元ライダーで、ライバルでもあり、ふたりの走りにファンは釘付けでした。

 最後は作本を振り切り、3位表彰台を獲得。レース前に「自分をアピールしたい。岩戸というライダーがいるのだと示したい」と話した言葉通り、岩戸はしっかりとした存在感をもって表彰台に登りました。今後の参戦は未定とのことですが、これからの活躍に注目しなければと思わせる戦いを見せてくれたのです。多くのライダーが活躍の場を奪われることなく、レースができる日が待ち遠しいです。
赤松孝撮影
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