全日本ロードレース選手権第3戦オートポリス(9月19日、20日)で、山口辰也がST1000にスポット参戦しました。トップライダーとして活躍し続けていた山口ですが、2018年全日本ロードレースJSB1000へのスポット参戦と鈴鹿8時間耐久ロードレースへの出場を最後に、レースでその名前を見つけることがなかったのですが、オートポリスでは「Team T2y with NOBLESSE FAMILY」からの参戦となり、久しぶりに元気な姿を見ることができました。

 山口は、2000年にホンダファクトリーライダーとして活躍、トップライダーとして走り続け、2010年にはST600クラスに自らチームを立ち上げ、プライベーターとして参戦、タイトルを獲得します。さらにダブルエントリーしたJ−GP2クラスでもランキング2位に食い込み、同年のロードレース世界選手権第12戦サンマリMoto2クラス、アジア選手権最終戦カタールSS600クラスにスポット参戦と、世界の舞台で走るという夢を叶えます。

 2011年は、TOHO Racingから参戦を開始、全日本ロードレース選手権ST600クラスで2連覇を果たします。2012年にはJSB1000に参戦してランキング3位、鈴鹿8時間耐久ロードレースでは市販キット車クラスで2位を獲得しました。そして2016年、全日本第8戦岡山でJSB1000で念願の勝利を飾りました。

 山口は埼玉県出身。家のそばにはサーキット秋ヶ瀬がありましたが、家庭の事情で走ることが叶わず、レースに興じる同年代の子どもたち、羨望のまなざしで見つめながら育ちました。いつかバイクで走りたいと願い続け、16歳で免許所得。そこからは、バイクとともに人生を歩み、レースとともにあるという印象でした。

 だから、昨年はどうしていたのだろうと思っていたのです。全日本ロードレースの会場で姿を見ることはありませんでしたが、自らのチームであり、プロジェクトであるTeam t2yを再始動し、オリジナルマフラーの開発、スクールなどを行いながら、BSB(ブリティッシュ・スーパーバイク)のSS600クラスに、イアン・ロッカー氏率いるTeam ILRから、開幕戦ブランズハッチと第2戦オールトンパークの2戦にスポット参戦して走り続けていました。
 そして、今年は全日本ロードレース参戦を目指し活動していたと言います。山口は「1年前から準備していたけど、新型コロナウィルスの影響もあり、スポンサー活動も厳しく、全日本参戦はできないかなと思っていた。それでも、メカニックもスタッフも待っていてくれた」と言います。その願いは、山口が繋いできたバイク仲間が叶えてくれました。エアロパーツ販売を手掛ける「NOBLESSE」の窪田一郎社長が、車両1台をチームの為に購入し、貸してくれることになり、さらに、ユーチューブ「NOBLESSEサブチャンネル」で支援を募ろうと、協力を申し出てくれました。さらに抗ウィルス、消臭スプレー販売を手掛けるKOKORO CAREやPlanBeeと支援が広がり、第3戦岡山国際からの参戦を計画し、事前テストにも参加しました。しかし残念ながら台風の影響で中止となり、第3戦オートポリス参戦となったそうです。
 迎えたレース、予選で山口は予選3番手に浮上してフロントロー獲得します。決勝では6位となり、その力を示しました。「転倒がなかったので、次のもてぎにも参戦できる。今回はスタートで失敗してしまい、追い上げの最後にギア抜けと、自分のミスで反省ばかり。でも、いろいろと確認できたので、もてぎではセットアップを進めて上位を狙いたい」と誓っています。

 現在、ST1000は、高橋裕紀が2連勝中。高橋と山口は、鈴鹿8耐で共に戦い、2位表彰台に登った仲でもあり、高橋との対決に期待が高まります。

 山口は「子供安全教室」やバイクでの交流会、ミニバイクレースを行うなど、独自の取り組みで、バイクの可能性と楽しさを伝えています。そこで出会った人たちが、山口の参戦を後押ししてくれているのです。山口は「まだまだバイクのこと、レースのことを知らない人がたくさんいる。少しでも知ってもらうためにも活動を続けたい。応援してくれる人たちにも恩返しができるよう、いい関係を築きたい」と語っていました。山口を応援してくれる一郎社長はユーチューバーとしても有名人とのこと。山口ファン、レースファン拡大に期待が持てそうです。ファン拡大で、山口の参戦が続くことを願っています。